BPO とアウトソーシングとの違いを解説 持続可能な組織を形成するには

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BPO(Business Process Outsourcing:ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、企業の業務プロセスを外部の企業に委託する事業形態を意味します。業務設計から改善案の実行による業務効率化まで、一連の業務に幅広く対応することができます。

正しく活用することで多くのメリットを受けることができる BPO サービスですが、利用前に知っておきたい注意点もあります。

この記事では、BPO サービスの概要や具体的な業務の受託内容、メリットやデメリットなどについて詳しく解説していきます

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BPO サービスとは

BPO サービスとは、企業が自社で行う様々な業務プロセスの一部または全部を、社外の専門業者に委託することを指します。

元々は企業活動を推進する上では欠かせないが、直接的な利益を生むことがないノンコア業務を対象とすることが多かった BPO サービスですが、現在はマーケティングや営業といったコア業務に至るまで幅広く拡大しています。

以下に挙げるような様々な要因によって、国内の BPO サービス市場は年々拡大しています。

  • 労働人口の減少/人手不足
  • 労働契約法改正
  • 働き方改革の推進
  • 外資系企業による日本市場の参入増加
  • 新型コロナウィルスによる事業変革

IDC Japan が2022年5月に発表した「国内ビジネスプロセスアウトソーシングサービス市場予測:2022年~2026」1)によると、2021年の同市場は前年比5.1%増の8856億円で、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR)は3.9%、2026年の同市場規模は1兆717億円と予測されています。

BPO サービスとアウトソーシングの違い

BPO はその名前が示すとおり広義ではアウトソーシングの一種ですが、一般的な業務委託とはその目的が異なります。

アウトソーシングは外部からのリソース調達を目的としており、自社の業務を単に委託するだけなので、委託の内容に業務効率化などの要素は含まれてせん。また、一時的に発生した案件を委託する場合もあります。

これに対して、BPO はリソース調達以外にも、業務設計から業務の効果分析、改善案実行による業務効率化まで、総合的に外部業者に任せるものです。

アウトソーシングの概要は以下の記事で知ることができます。

あわせて読みたい:営業アウトソーシングとは?メリットや選び方のポイントを徹底解説 – Accel by Magic Moment 

BPO サービスの対象となる業務領域

人事/総務

契約書などの書類管理、採用や入退職処理、給与計算などが人事/総務の主な業務範囲です。

BPO サービスでは、これらの業務遂行は勿論、研修や福利厚生の企画立案から運用まで企業の総務/人事業務をサポートします。

特に、労働人口が減少している昨今において、研修/福利厚生の充実は採用活動において大きな影響を及ぼします。しかし、社員のニーズにあった研修/福利厚生のプランの立案や運用には人的コストが大きく掛かってしまいます。

また、労務や社会保障に関わる法律は毎年頻繁に更新されるため、領域に特化したキャリアを持つスペシャリストが必要です。そのため、総務/人事領域での BPO サービスのニーズが高まっています。

財務/経理

記帳や請求書発行、月次決算、税務処理などが財務/経理の主な業務範囲です。

財務/経理は、定型業務が多いノンコア業務であるため、外部委託しやすく、BPO サービスが比較的早い段階から活用されていた領域です。ノンコア業務に必要な人的コストを削減することで、自社の主力事業や競争力を高めるためのコア業務に注力することができます。

また近年では、財務/経理分野でのデジタル化/DX 推進など、業務プロセスの改善を含む総合的な支援を行う場合も多くあります。

マーケティング

BPO サービスは、上述したようにノンコア業務が中心でしたが、近年ではマーケティング/営業領域といったコア業務を担う BPO サービスも増えてきています。

マーケティング部門では、サービスの認知拡大やブランディング支援、またリード獲得などの業務に加え、市場調査や販売戦略の策定などの事業計画に直接関連するマーケティング業務まで一連の業務が支援対象となります。

営業 

BPO サービスは、営業部門でも活用が可能です。例えば創業からの社歴が浅く、十分な営業リソースや経験・ノウハウを自社に蓄積できていない場合などには、BPOを有効に活用することで大きな武器となります。

営業活動

営業リソースが不足している場合、顧客からの問い合わせに十分対応できず、その後の顧客フォローが不十分でリピーター顧客へと育てることが難しいなどの状況が発生します。

こうした際には、人材を BPO で調達することで、営業機会の損失を防ぐとともに成約率を高めることが期待されます。

営業プロセスの構築

実際の営業活動とともに営業プロセスを構築する上でも、BPO を活用することができます。顧客視点での営業プロセスを導入することで、効率的かつ効果的な営業活動が実践可能となります。

また、アポイントや商談、また成約に至るまでの一連の営業活動の検証を通じて、営業プロセスに存在するアポ率やリードタイムなどのボトルネックの発見につながるケースもあります。特に、近年ではインサイドセールスと呼ばれる非対面型の営業手法が広がり、あらゆる営業組織でノウハウが不足していることから、インサイドセールスの外注を検討する企業も現れています。外注のポイントは以下の記事をご覧ください。

あわせて読みたい:インサイドセールスを外注するポイントとは?代行サービスを紹介 – Accel by Magic Moment

BPOサービスのメリット・デメリット

次に、BPO を実際に導入した際のメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

BPOサービスのメリット

まず、BPO サービスの主なメリットについて解説します。メリットとしては、採用や教育コストの削減、業務効率化、専門業者のスキル活用などが挙げられます。

採用・教育コストの削減

BPO を導入することによって、人材の採用や教育に関する費用の削減が期待できます。自社でハイスペックな人材を豊富に有していれば問題はありませんが、こうした人材は採用や育成コストが高くなりがちです。

こうした状況下では、自社の社員が有するスキルに範囲で対応できるレベルの業務は内製で対応し、高度な専門性が必要な業務は、必要に応じて外部依頼し、リソースを確保すると効果的です。

スポット的に外部人材を活用することで、求人や採用、教育に要する金銭的コストだけでなく、社員が高度な業務内容を理解し、身につけるまでにかかる時間的コストも削減することが可能となります。

外部の人材を用いて人件費を流動化でき、人件費全体を削減できるメリットもあります。

なお、企業として採用や教育を自社で賄(まかな)う際に必要となるコストと、必要に応じて BPO を活用する際のコストメリットを比較し、無理なく、また効果的な成果が出るように全体最適を心がけることが大切です。

総じて言えば、本来は固定費である人件費を「必要に応じて」調整できることは、BPO導入の大きなメリットのひとつといえます。

業務効率化

BPO を導入することで「定型業務」を委託することができます。一例を挙げれば、自社の各部門間で連携を取っておらず、類似の作業を重複して行っていたり、似たような多くの書類を無駄に作成している場合には、定型業務の遂行自体が非効率な状態になっています。

こうした状況下では、定型業務を BPO 業者に委託し、業務の効率化を図ることが有益です。企業から BPO の委託を受けた事業者は、依頼元企業が抱える問題点の分析やマニュアルの整備、また書式や処理方法の統一、IT システムの導入といった業務プロセスの改善を行います。

また、BPO を活用することで、自社のコア業務に人材や資金を集中的に投入できるメリットがあります。

専門業者のスキルを活用できる

専門業者は、BPO 受託業務に関する専門的なノウハウを持ち、当該分野のスペシャリストを多数抱えているので、特定業務に関する高いスキルや自社にないリソースの獲得が期待できます。

例えば、税務や会計などの分野では、制度が年々複雑化しているため、こうした専門的な内容については一般の企業が都度適格に対応するのは困難です。こうした状況下では、BPO サービスを利用して、特定業務に精通した専門家に依頼すれば、法律や規制になどしっかりと対応できる安心感があります。

その結果、企業としては専門業者に任せた内容以外の主力業務に注力できるので、大きなメリットが得られます。

BPO サービスのデメリット

主なデメリットとしては、情報漏洩に対するセキュリティ対策が必要な点と、業務ノウハウや技術を自社内に定着させるのが難しい点が挙げられます。

情報漏洩に対するセキュリティ対策

業務を外部の BPO 業者に委託することで、どうしても情報漏洩といったセキュリティの脆弱性が発生してしまいます。

自社内におけるセキュリティ対策に十分配慮していても、外部の委託先企業でのセキュリティが不十分であったり、管理意識や規範意識、社員のモラルによって不測のトラブルが発生する可能性があります。事後の保障などを定めていても、一旦漏洩してしまった情報は元に戻せず、企業として致命的なダメージを蒙(こうむ)るリスクがあります。

このため、BPO 委託先企業のセキュリティについて、契約上でも依頼前にしっかりと確認しておくことが重要です。

業務ノウハウや技術が自社に定着しない

BPO を外部に委託することで、自社の社員が業務上のノウハウやスキル・経験を積むことができなくなります。このため、外部に委託した業務のノウハウが将来にわたって自社に定着せず、その結果として、契約が終了した後は社内の誰も当該業務の内容がわからないといった問題点が発生します。

こうした状況を避けるためには、外部に BPO サービスを委託し、活用する一方、バランスを考慮して、自社の社員でも業務ノウハウやスキルが蓄積できるような対策を講じ、社員の育成を検討することが必要となります。

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BPO サービスを選ぶ際のポイント

BPO サービスの意味や特徴、メリットやデメリットなどについて解説しました。

BPO の範囲が拡大した背景もあり、一口に BPO といっても、サービス提供業者としては様々な企業が存在しています。

こうした状況下では、自社のニーズや課題に適した BPO サービスを選定することが大切です。

主なポイントについて解説します。

導入コストが適正か

BPO サービスを導入するにあたっては、単にコストが安ければいいというものではありません。

サービス提供業者の業務品質や業務量、対応可能な範囲などが自社の目的と整合してるのかを比較・検討することが大切です。そして、自社が求めている目標や課題の解決が可能であり、コスト面でも適正で許容範囲なのかを見極めることがポイントです。

まず、自社が BPO で何をしたいのかという目的を明確にすることが重要となります。

セキュリティとモラル

忘れてならないのは、BPO サービス提供業者における、情報漏洩やセキュリティに対する意識の高さです。コンプライアンスの順守が重要視される現代では、情報漏洩による企業のダメージは致命的であり、個人情報の漏洩による損害賠償リスクも莫大なものとなってしまいます。

こうした状況を招かないよう、契約時には必ず秘密保持契約を締結した上で、当該業者がセキュリティやモラルに関する高い認識と理解を有しているか考慮しましょう。

面談の機会などを利用して直接先方の担当者にヒアリングし、またセキュリティ対策について示した社内規定などもチェックするなどの体制をしっかりと確認することが重要です。

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LINE 社などの企業で活用が進み、新規事業のグロースやインサイドセールスの立ち上げ期間において立ち上げ期間、成約率の向上に貢献しています。

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LINE 社での事例は以下の記事からご確認いただけます。

導入事例:「1件から106件へ」顧客ニーズを紡ぎ、営業から辿った LINE社 のプロダクトグロース

《引用文献》

1)IDC Japan, 「国内ビジネスプロセスアウトソーシングサービス市場予測:2022年~2026」. 2022-05. https://www.idc.com/jp/research/report-list, (参照 2022-12-22)