インサイトの発見に必要な「データクレンジング」とは?メリットと手順を解説。

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要約SUMMARY
  • データクレンジングとは、データベースから不正確なデータやエラー・矛盾などを発見し、正しいデータとなるように修正するプロセスです
  • データクレンジングによって、データの品質を高めることで、より優れた意思決定が実現できます
  • 本記事では、メリットや手順について詳しく紹介します

全体最適の観点からビジネスの意思決定を行うためには、各部門で分断されたデータを統合・分析・可視化することが重要です。しかし、データが古くなっていたり、不正確なデータが多いケースがあるため、データ統合に失敗する企業は少なくありません。そこで、課題になりやすい「データクレンジング」について、メリットや手順について詳しく紹介します。

データクレンジングとは?

データクレンジングとは、データベースから不正確なデータやエラー・矛盾などを発見し、正しいデータとなるように修正するプロセスのことを表します。

BtoBビジネスを展開する企業では、SalesforceやHubSpotといったSFA/CRMツールに加えて、MarketoやSalesforce PardotといったMAツールの中に、多くの顧客データが含まれています。しかし、

  • オフィス移転によって住所が変わった
  • 退職によってメールアドレスが無効になった
  • 前株・後株が間違っていたため、データに重複があった
  • 全角英語と半角英語のコンタクトがあり、データに重複があった

といった理由でデータの品質が下がり、意思決定の質が下がってしまうことがあります。そのため、企業はデータの品質を重要視するようになりました。

Tetra社の調査によると、マーケティング担当者の40%が、データを効果的に活用できていないと回答しています。データクレンジングによって、データの品質を高めることで、より優れた意思決定が実現できるようになるでしょう。

BIツールの記事にはなりますが、こちらの記事を読んでいただけると、いかにデータの品質が重要なのか理解できます。

データクレンジングのメリットとは?

では、データクレンジングによって、具体的にどのようなメリットがあるでしょうか?

1. 顧客ライフサイクル全体のオペレーション効率化

正確な顧客データによって、質の高い見込み顧客のリストを作成できるようになるため、セールス・マーケティング、そしてカスタマーサクセスにわたる顧客ライフサイクル全体のオペレーションを効率化できます。例えば無効になったメールアドレスが少なくなるため、EメールマーケティングのROIを最大化できるでしょう。

2. 意思決定の質の向上

Sirius Decisionsによると、BtoBビジネスを展開する一般的な企業は、12ヶ月から18ヶ月ごとにデータ量が2倍に増えます。最初は正確に入力していたとしても、時が経つにつれて無効なデータが増えていくことは想像に容易いはずです。正しいデータが多ければ多いほど、正確なボトルネックを把握することができ、優れた打ち手を抽出できるようになります。

3. 生産性の向上

欠損のないデータベースを保つことによって、マーケティングやセールスの労働時間を最大限に短縮することができるでしょう。古すぎる商談データに基づいたEメールキャンペーンを実施してしまったり、正確な入金データによって不正が行われるリスクなどを抑えることができます。

4. 収益の改善

整合性があり、一貫したデータを保有することに取り組む企業は、優れた顧客体験を提供することができます。その結果、顧客のエンゲージメントは深まり、継続した契約を望むことになるでしょう。

また、重複データがある場合、同じ顧客にメールや架電を実施してしまうため、2倍のコストが発生します。その上、同様のコンテンツが2回連続で先方に届けば、サービスやプロダクトに対する興味関心が失われてしまう恐れもあります。

データクレンジングの具体的な6つの手順とは?

次にデータクレンジングの手順を紹介します。

1. データの取得

CRM・SFA・MA等のツールから、顧客データを取得します。ExcelやCSVによって取得する方法やAPIによって直接取得する方法があります。

API連携をこちらの記事で詳しく解説しています。

2. データセットの統合

データセットは形式が異なるケースがほとんどです。そのため、データを変換しながら、共通のデータベースに統合しましょう。

3. 不足しているデータの追加

オフィスの住所やウェブサイトのURL・顧客のメールアドレスなど、不足している情報を追加します。

4. データの標準化・正規化

各カラムに同じ内容のデータが存在するよう、データを分離・結合させます。この手順により、名字・名前・メールアドレス・電話番号等の項目が規則的に入力されている状態になります。必要に応じて、重複の確認を行います。

5. データの検証

データベースのデータを検証して、正しいデータが入力・統合されているかどうか確認します。

6. データの出力

最後は、クレンジング済みのデータをExcelやCSV等の形式で出力して、SFA・CRM・MAなどに反映させます。

最後に

以上、データクレンジングのメリットや手順を紹介しました。

しかし、実際のデータクレンジングは非常に労力がかかり、顧客データが多ければ多いほど時間もコストもかかります。

根本的にデータの品質向上させるためには、データクレンジングだけでなく、必要なデータの定義から担当者の適切なデータ入力を定常的にモニタリングしていくデータマネジメントプロセスを構築していく必要があります。

そもそもなぜデータの品質が下がるのかについて、こちらの記事で解説しております。
合わせてぜひお読みください。