BtoB SaaSにおけるAPI連携の重要性と3つの落とし穴

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要約SUMMARY
  • SaaS 市場の急成長により、データの分断が課題となった今、API 連携が必要とされている。
  • API 連携によって「分断されたデータの統合」、「データ統合によるリアルタイムな可視化」、「統合されたデータによる正確な意思決定」、「情報管理コストの削減」といったメリットを享受できる。
  • しかし、API 連携には3つの落とし穴があり、この課題を乗り越えるためにはデータクレンジングというプロセスが不可欠である。

SaaSの登場により、マーケティング・セールス・カスタマーサクセス等の部門で複数ツールを導入・運用する企業が増えました。同時に、顧客データの分断という課題を解決するため、API連携を検討するも失敗してしまうユーザーも少なくありません。この記事では、API連携の重要性と3つの落とし穴について紹介します。

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なぜAPI連携は重要なのか

ボクシルの調査によると、国内の SaaS 市場の CAGR(年平均成長率)約13%を維持しており、2025年の SaaS 市場規模は 2020年度実績の約2倍となる1兆 5,000億円規模まで成長が見込まれています。

そして、SaaSはマーケティング・セールス・カスタマーサクセスといった部門に限らず、経理や法務などのバックオフィスでも注目を浴びています。しかし、新しいSaaSが導入されるたびに、組織の中には新たなデータベースが誕生し、希少なデータは分断されてしまいます。

こういった課題を解決するために生み出されたものが「API連携」です。

APIとは

API とは、Application Programming Interface の略であり、ソフトウェア同士が相互にやりとりする際に使用されるインタフェースの仕様のことです。

元々1 台のコンピューター上で OS やアプリケーションソフトが提供する機能を利用するために生まれましたが、現在では、多様な企業がWEB 上に API を公開、利用を促進しており、API への注目が集まっています。

API連携によるメリット

SaaS 市場の勃興により注目される「API 連携」ですが、SaaS の API 連携を行うことによって得ることができるメリットは次の4点です。

  • 分断されたデータの統合
  • データ統合によるリアルタイムな可視化
  • 統合データによる正確な意思決定
  • 情報管理コストの削減

このように API 連携を行い顧客データを統合、リアルタイムに可視化することで、適切な施策へとつなげることができます。

API連携事例

具体的なAPI連携事例については、こちらの記事で詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください。

しかし、API連携には3つの落とし穴があった

API連携はデータベース同士を簡単に接続することができることが強みですが、それでもデータ構造やセキュリティに関する知識が求められ、ノンプログラマーでも安心して活用できるわけではありません。では、どのような課題が生じやすいのでしょうか?

1. APIの仕様変更

API連携は永遠に続くわけではありません。ソフトウェアベンダーの仕様変更により、これまで利用できていたAPI連携ができなくなる恐れがあります。

例えば、仕様のアップデート後も下位互換があれば問題ありませんが、気づかないうちに異なる顧客データが統合されており、間違った姓名でEメールを送信してしまうといった問題も発生しかねません。

2. サーバーの障害

ExcelやCSVでローカルにデータを保有しているケースと異なり、API連携先のサービスのホスティングサーバーが正常に稼働していなければ、データも正確に取得できない恐れがあります。またAPIの過剰リクエストによって制限を被ったり、外部の第三者が不正アクセスするなどの危険性もあります。

3. 不正確なデータ

API連携では、特定のツールからデータを取得し、必要な処理・分析・可視化を行います。しかし、双方の顧客データでメールアドレス・電話番号・姓名といったデータが相違していた場合、一人の顧客データが複数存在している状態になる可能性があります。また、連携に必要なデータが不足していることも考えられます。

データが重複していた場合、架電やメールのコストも2倍となり、顧客獲得のコストが肥大化するでしょう。

API連携のポイント

API連携におけるこのような課題を解決するためには、データクレンジングと呼ばれるプロセスが不可欠になります。

データクレンジングとは、データベースから不正確なデータやエラー・矛盾などを発見し、正しいデータとなるように修正するプロセスのことです。データクレンジングによって、データの品質を高めることで、より優れた意思決定が実現できます。

API 連携における課題を解決するために不可欠であるデータクレンジングについて、こちらの記事で詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください。

最後に

勃興するSaaSによって、データの分断が課題となった今、API連携は大きな注目を浴びています。API連携によって、ユーザーは

  • 分断されたデータの統合
  • データ統合によるリアルタイムな可視化
  • 統合データによる正確な意思決定
  • 情報管理コストの削減

といったメリットを享受できるようになりました。

しかし、API連携には

  • APIの仕様変更
  • サーバーの障害
  • 不正確なデータ

といった課題もあり、場合によっては連携失敗の影響が顧客に及ぶこともあります。

データクレンジングというプロセスを通して、3つの課題を解決し、API 連携によるメリットを享受しましょう。

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参考