CRM 市場規模・成長予測【最新版】

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この記事で取り上げている業界は、CRM 市場です。CRM とは「顧客関係管理」を意味するビジネス用語です。

多様化する顧客のニーズに対応するためには、顧客情報を管理し、効率よく運用していく必要があります。そういったニーズから成長を見せています。

ですが、CRMの導入、実装には意思決定層と現場の両方において、CRM の重要性を理解することが欠かせません。

本記事では、CRM 市場規模や最新の動向、今後の予想を踏まえて、市場が拡大している背景にはどのような要因があるのか理解しましょう。

この記事では、活用されている部門や、国内で人気の CRM を解説しております。

また、既に営業ツールを導入している方やこれから導入を検討している方に向け、「データの活用で成果が出せる営業組織をつくる」ための考え方をまとめた資料を無料でご覧いただけます。

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CRM とは

広義の意味だと CRM( Customer Relationship Management ) とは「 顧客関係管理」のことを指しますが、近年多くの企業で導入が進んでいるツールとしての意味では、企業の CRM (顧客関係管理) 戦略と取り組みをサポートするように設計されたソフトウェア プラットフォームのことです。

CRM ツールを活用すると単純な顧客データの収集と整理はもちろん、高度な顧客データ分析、 顧客のセグメント化 、 次善のアクションの推奨 事項の実行まで行うことができます。

具体的な改善の施策を考えられるため、結果として顧客にとって『より良いサービス』を提供できると言われています。

そのため、CRM は LTV(顧客生涯価値)の向上に繋がるとされ、多くの企業で導入が促進されていくことが予想されます。

CRM の主な対象業務

CRM にはさまざまな機能がありますが、これから CRM を入れるべき主な業務は何でしょうか。

カスタマーサクセス

企業と顧客の関係性づくりに欠かせないカスタマーサクセスでは、CRM を導入することで、担当者は顧客の取引履歴や行動履歴等の情報を活用して顧客にとってより良いサービスを案内し、取引を加速させることができます。

カスタマーサクセスの業務目的は、顧客の自社に対するロイヤルティを高め、強固な顧客関係を構築できるようにさせることです。

顧客の自社に対するロイヤルティを高めるためには、顧客体験を向上させる必要があり、「自社が狙うべき LTV の高い顧客像を定めること」が重要なポイントになります。

そして、その顧客の属性ごとに顧客にとっての理想的な顧客体験を得られるフローと、それを支える顧客体験、優れた顧客体験を提供するアプローチを仮説立てるようにしましょう。

この仮説の検証プロセスにおいてデータが重要な鍵となります。

顧客の行動と自社のアプローチの相関性を可視化できるデータガバナンスを構築しましょう。そのための手段として CRM が有益なのです。

問い合わせやクレーム内容も顧客情報に紐づけて蓄積できるため、その結果、顧客ニーズに沿った対応が迅速に行えるため顧客満足度の改善や向上にも貢献します。

特に、コールセンターでは、CRM の必要性が注目されています。CTI (Computer Telephony Integration)という電話と PC を連携させた独自のシステムとCRMを連携させることで、顧客満足度の向上を図れます。

システム化を図ることで、カスタマーセンターに問い合わせがあったときに電話番号などから即座に詳細な顧客情報の確認が可能になります。

営業

CRM ツールは、顧客の氏名、所属企業、役職などの基本情報に加え、商談の履歴や案件の進捗状況などあらゆる情報の一元管理が可能です。

そのため CRM は営業活動を支援するためにも活用されます。

組織内で散在していたデータをCRMに集約することで、現状をリアルタイムで把握可能となり、迅速な対応、的確な指示、情報の蓄積と応用によって生産性向上を目指します。

また、埋もれていた見込み顧客が可視化されれば、営業チャンスの拡大につなげることもできるでしょう。

例えば、以下の表をご覧ください。

図1. データ収集による顧客・オペレーションの可視化(Magic Moment作成)

提案数・商談数・デモ実施数・SQL・商談期間・コール数といった営業担当の活動量を逆算することで、それを実行するために必要なリソースを定量的に把握することができます。

「何に対して」「どれくらいの質・量で」「どういう軸で」動いているかを可視化することが、今後の営業方針の決断をサポートしてくれるのです。

CRM 市場規模と成長予測

CRM 市場規模はどの程度で、今後はどれほどの成長をしていくのでしょうか。

「CRM が市場を拡大させている理由」や「世界のトレンド」などを押さえ、自社の導入に役立てましょう。

世界のCRM市場規模

FORTUNE BUSINESS INSIGHT の調査「Customer Relationship Management Market Report [2022-2029]1)によると、CRM市場の規模は2021年に578億3,000万米ドルと評価されており、2022年の639億1,000万米ドルから2029年までに、1,457億9,000米ドルに成長すると予想されています。

また、CRM 市場は予測期間中の2029年までに12.5%の CAGR(年平均成長率)を示しており、今後の成長も期待されていることがわかります。

小規模企業での顧客基盤強化の促進

米国の CRM 市場が拡大している理由の一つとして、中小企業の中で CRM の需要が高まってきていることが挙げられます。

CRM は顧客が自社との接点で得られる顧客体験(CX)を向上させることで、収益の向上を目指すツールになります。特に、「サービスが始まったばかり」「事業が成長軌道に乗っていない」などの理由で、スタートアップや中小企業では、収益基盤となる顧客の囲い込みができていないケースが多く、CX の向上を通じて収益基盤を形成する必要があります。

マーケティングや営業、受注後のカスタマーサクセスなどのあらゆるビジネスフェーズで顧客との接点を最適化し、シームレスな顧客体験を提供することが求められます。

上記の背景から、これらの企業が CRM へより着目するようになっています。

例えば、CRM は顧客情報や自社のアクションデータを一元的に管理し、顧客に合ったアプローチの実行支援や自動化をしてくれます。「顧客体験の向上」を目的とした企業の需要を取り込み、市場が拡大していると考えられます。

商工中金中金が2023年に発表した「中小企業のIT・ソフトウェアの活用状況に関する調査2)では中小企業4,800社を対象に「自社のデジタル化がどれくらい進んでいるのか」を調査しました。

その結果、中小企業における連絡・情報共有のデジタル化のフェーズについて、「社内では一部の業務・部署でデジタル化しており、社外でも一部の相手先との間でデジタル化ができているという段階の企業が全体の約半数を占める」という結果だったと明かされています。

ここからわかることは、「完全な DX 化」と言えるほどではないが、徐々に中小企業においてもデジタル化や営業支援ツールの利用が進んでいるということです。

日本国内においても、徐々にその流れは加速していくと予測されます。

クラウド型の CRM の登場

もう1つのキーワードとして「クラウド化」が挙げられます。

「クラウド」はインターネット経由でプロバイダーが提供するアプリケーションを利用することを指します。クラウドベースの CRM であれば、リアルタイムな顧客情報に即座にアクセスでき、一元管理することで部門を横断したアクセシビリティも担保されます。

特に、CRM のクラウド化の恩恵を受けているのは、スタートアップなどの企業です。

クラウドでは、自社にシステム環境を構築し、導入する従来型のツールとは異なり、初期費用が小さくなるからです。クラウド型の CRM では、ユーザー数や導入規模に応じて柔軟に支出を計れるため、キャッシュに余裕のない企業でも活用できるようになります。

初期費用がやすいクラウドサービスが浸透したことで、中小企業やベンチャー企業にとって CRM が導入しやすくなりました。こういったサービス形態の変化も、世界各国で利用企業を増加させている要因の一つだと推測されます。

大企業が CRM 市場規模拡大を加速を促している

CRM は中小企業のみではなく、大企業でも導入が進んでいます。事実、先ほどの FORTUNE BUSINESS INSIGHT の調査でも、CRM 市場の急速な成長は中小企業に支えられているものの、以前として大企業はもっとも多くのシェアを占めています。 

大企業での需要を支える大きな要素は、顧客基盤の大きさとデータ活用のニーズにあります。

大企業は抱えている顧客基盤が大きいため、全体的なパフォーマンスの向上のインパクトが大きくなります。よって、1単位当たりの顧客体験を最適化する需要があります。

また、これらの顧客基盤の大きさに比例して、処理すべきデータ量も莫大になります。

そのため、大企業が CRM の最も重要なビジネス参加者として浮上しており、CRM の成長を促しているのです。

大企業において CRM の導入手段は「部署内・部署間連携の強化」となるでしょう。

CRM を入れることで、同じデータを、どの部署でも、同じインターフェースで見られるようになります。

あらゆる顧客データが一目瞭然になるため、組織かんのコミュニケーションがスムーズになり、KPI の共有も容易になります

その結果、部門ごとの「個別最適」ではなく企業としての「全体最適」を追い求めやすくなるのです。

「AI」が CRM システムを成長させる

さらに顧客体験を向上させるために、「AI」を CRM システムと統合する流れが世界で加速しています。CRM へ AI が組み込まれることで、これまで可視化が困難であった顧客心理の理解を進めることができ、より高精度なアプローチに活きてきます。

例えば、ZohoCRMのZiaSalesforce の Einsteinは、音声テクノロジーを使用して顧客情報を収集する AI を活用した CRM を提供しています。

また AI に基づくアシスタント機能は一部業務の自動化を進め人為的なミスの発生を防ぎます。例えば、顧客レポートやデータの収集、メール送信などのタスクに自動応答してくれます。

AI 技術の導入により、近い将来 CRM 市場規模が拡大すると考えられます。

日本の CRM 市場規模

日本における CRM の市場規模は、どうなっているのでしょうか。

ミック研究所の調査3)(参照:https://release.nikkei.co.jp/attach/641681/02_202210071405.pdf)により今回の調査範囲(第Ⅰ章参照)におけるクラウド型CRMの総市場規模は、2021年度4047億円(前年比121.9%)であったと発表されています。 

加えて、IDCJapan による調査4)(参照:コロナ禍を経て成長続けるCRM市場、欠かせない顧客接点の改善)では、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は、5.5%で推移すると予想されています。

ただ、SETLLAXIUS の調査5)(参照:The CRM battlefield: Salesforce, an almost 25-year throne)によると、年平均成長率5.5%は世界の11.6%の半分以下であり、日本の CRM 市場は海外と比べると緩やかに拡大していると言えるでしょう。

成長率に国内外でこう言った差が出ているのは、中小企業の CRM 導入率の高さです。

資金力のある大企業の方が CRM 導入のハードルが低くなるのは明白ですが、アメリカでは中小企業でも既に CRM が広く活用されているのです。

そのため、日本では大企業を中心に少しずつ CRM の導入が進んでいますが、アメリカ企業と比べると大きく遅れを取っているのが現状です。

ですが視点を変えると、日本企業が競合他社に先駆けて CRM を導入することにより、日本市場で大きな優位性を獲得できる可能性があるといえます。

CRM/SFA を導入している企業の割合

では、CRM/SFA を導入している企業の割合はどれくらいなのでしょうか。

米国

SuperOffice の調査6)(参照:18 CRM Statistics You Need to Know for 2023)によると、アメリカ企業に目を向けると、調査対象の74%の企業(社員11人以上の企業に限ると91%の企業)が CRM を既に導入していると調査により明かされています

また、Grandview Research7)(参照:CRM For Business Growth in 2022) によると、従業員 10 人以上の組織の 91% 以上が顧客との会話を管理するために CRM を使用しています。

CRM の導入費用は高額になることもあり、資金力のある大企業の方が CRM 導入のハードルが低くなるのは明白ですが、アメリカでは中小企業でも既にCRMが広く活用されているのです。

日本

HubSpot(参照:日本の営業に関する意識・実態調査2023の結果をHubSpotが発表)による調査8)の結果、CRM を導入している営業組織の割合は CRM を導入している営業組織の割合は36.1%と、微増しながらも依然として低い数字が続いていることが明かされています。

自社の顧客管理の方法が「明確ではない・わからない」と答えた組織は31.0%と例年の調査結果と同水準であり、顧客データが組織内で適切に管理、共有されていない状態で営業活動を続けている企業が引き続き多い現状も明らかになっています。

よって、海外市場で一般化されている CRM は、日本国内においては「CRM の導入」が自社が他社と差をつけるポイントとなっているのです。

成長予測

ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2022年度版クラウド型CRM 市場編」の報告9)(参照:マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編 (第6版) | デロイト トーマツ ミック経済研究所)によると、日本国内の CRM 市場の成長に関しては、2022年度は前年比118.6%の4798億円となる見込みです。

さらに2022年度以降、年平均成長率17.9%で成長し、2026年度には9203億円まで拡大すると予測されています。

図2. 「クラウド型CRM 総市場推移分析」(ミック経済研究所による『マーテック市場の現状と展望2022年度版クラウド型CRM 市場編』より Magic Moment 作成)
(参照:https://release.nikkei.co.jp/attach/641681/02_202210071405.pdf

Cookie 規制の影響で新規顧客獲得が難しくなっていることや、サブスクリプションモデルの浸透により、顧客との関係をより強固かつ密接にしていく必要性が高まっています。

そのため、「顧客体験の向上」が期待できる CRM は、その需要を引き続き高めるでしょう。

CRM 業界の市場が拡大している背景

上記の章で国内外の CRM 市場の成長を予測をしましたが、なぜこれから拡大していくと予測されているのでしょうか。主に4つのビジネス変化が関係しています。

ネット社会による購買行動の多様化

ネット社会の浸透により、さまざまな変化が生まれています。

その一つとして挙げられるのが、「顧客の購買行動の変化」です。

インターネットやスマートフォンの普及により、事前リサーチが一般の消費者でも、購買担当者でも、誰でも簡単にできるようになりました。

また、「プロダクトの複雑化」も挙げられます。商材は複雑化し、購買/販売双方で担当者に必要な能力も高まっています。

経済産業省の『第3節 我が国製造業の変革の方向性10)によると、「基本的にモノが満ち溢れている今日においては、モノの所有以上に、モノの利活用を通じた顧客ニーズの充足が、顧客の満足度や利便性に大きなインパクトをもたらし得る。」と明かされており、

さらに、「基本的に、日本のものづくりの根底には顧客のニーズに応えたいとの考え方があり、その方向性は昔も今も変わっていない。しかし、その実現の手段が、大きな技術革新などにより日本企業の過去の成功体験から大きく変化してしまったことを真摯に受け止める必要に迫られている。」と続いています。

つまり、顧客価値の実現の手段において、利活用方策である「サービス」や「ソリューション」が差別化要因として重要なのです。

また、顧客が営業に接触するまでに購買プロセスの67%を終えているという調査結果があります。

以下の図をみてください。

図3. 顧客購買行動の変化(Magic Moment作成)

この結果から「顧客の購買行動」は以前に比べて、かなり変化しており、販売側のあり方にも変化が促されていると言えるのです。

よって CRM /SFA の導入により難易度の高くなってしまった営業をサポートし、顧客体験の向上を目指すことが、新しい営業のニューノーマルとなっていくと考えられます。

既存顧客の囲い込みの重要性

現代の消費市場は、大量の製品で溢れており、製品自体の品質では差別化が難しいというのは上記の章でも述べた通りです。

そのため、他社よりも自社の認知度を高めて、新規顧客を獲得する必要が出てくるのですが、どの企業も同じことを考えて実践しているため、新規顧客を獲得する際のコストが上がってきているのが現状です。

以上の背景から、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客と関係性を構築・維持することにより、繰り返し自社製品を買ってもらうことのほうが、コストを抑えられるようになっています。

しかし、既存顧客との関係性を持続させるためには、顧客を知り顧客に沿ったサービスを提供する必要があります。

そこで、役立つツールとして注目されているのが CRM です。

実際に FOCUSONFORCE の調査11)(『CRM For Business Growth in 2022』)によると、企業は CRM への投資に対して、回答者のほぼ半数が、CRM により顧客維持率と満足度が大幅に向上したと回答しました。

また同様に、回答者の 45 %は CRM を利用することで収益が向上したと主張し、39 %はより多くのアップセルおよびクロスセルの機会を発見するのに役立ったと回答しました。

このように CRM は顧客の情報収集や蓄積、さらに顧客分析まで行うことができるため、CRM 業界の市場が拡大しているのです。

テレワーク需要の拡大

新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅勤務の普及や、働き方改革などによるテレワークの需要が高まりました。

その流れを受け、コロナ禍で対面での営業活動が難しくなる中、顧客情報の管理・分析に CRM の導入を検討する企業が増えたことが市場の成長につながっているのです。

2021年4月に IDC 社が発表した試算12)(『Worldwide Semiannual Software Tracker』)によると、新型コロナウイルス感染症の影響が具体的に見えていなかった2020年5月時点では、2020年の日本国内の市場規模は1,786億4,100万円と予測していました。しかし1年後の再試算では、2020年の市場規模は1,871億7,300万円と当初の予測を大きく上回りました。

ここから、新型コロナウイルスの感染拡大は、CRM 市場にさらなる追い風をもたらしたとわかります。

しかし、日経新聞によると2023年5月から新型コロナウイルスの感染症法での位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」になった今でも、一部企業は引き続き在宅勤務を認めるなど、「ハイブリッド型」の勤務体系も定着しつつあります。

当初は感染を広げないための在宅勤務でしたが、インターネットの普及によって十分に仕事ができることが分かりました。自宅で働くという選択肢を認めることは、優秀な人材の確保にもつながります。東芝などの大手企業は、こうしたハイブリッド型の勤務体系をコロナ後も制度化し続けています。

属人性の脱却

今までの営業方針だと、何人かの「エース」が個人スキルで見込み顧客や既存顧客を抱えており、1人でも休職・退職すると体制が破綻してしまうなどのトラブルも考えられました。

また、独自の方法で仕事を進めているため、他の人に業務を引き継いだあとに売上が落ちたり取引先と齟齬が生じる恐れがあり、社内教育も進みません。

CRM を導入することで、営業以外も顧客の情報やKPIを見ることが可能となり、属人性の高い仕事から脱却することが期待されています。

さらに CRM によりノウハウや技術の蓄積をすることで、新入社員・中途社員・他部署から移動してきた社員といった人たちでも、誰でも一定の成果を出せるようになります

CRM を通じて、顧客情報を会社の資産として活用できる体制が整い、会社が「組織」として機能するようになるのです。

注目の CRM システム紹介

ここまで、国内外の市場規模や成長予測、市場が拡大している背景を解説してきました。ここからは、国内で有効なCRM をご紹介します。

HubSpot「CRM プラットフォーム」

「HubSpot CRMプラットフォーム」は、営業・マーケティング・カスタマーサービス・コンテンツ管理まで、多彩なソフトウェアが提供された CRM プラットフォームです。

無料ツールでも100万件のコンタクトを保存できますが、マーケティングツールの Marketing Hub、SFA ツールの Sales Hub などと連携させることもできます。

サービスのアカウントを作成すると、各ソフトの一部機能を搭載した無料ツールを無期限で使えるようになります。

まずは無料で使い、段階的に CRM の機能を拡張させていきたい企業におすすめです。

特徴

  • 営業からマーケティングまで多彩な業務で活用できる
  • 11言語に対応
  • 数千人が参加する情報交換のコミュニティ
  • 初期費用
  • プランにより異なる

月額費用

  • ・Starter:1,800円/1,000マーケティングコンタクト
  • ・Professional:96,000円/2,000マーケティングコンタクト
  • ・Enterprise:432,000円/10,000マーケティングコンタクト

無料トライアルの有無

  • 無期限の無料ツールを利用可能

公式サイト

  • https://www.hubspot.jp/

Salesforce Sales Cloud

「Salesforce Sales Cloud」は、世界の CRM 市場でトップシェアを誇る Salesforce 社のサービスです。

営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、ニーズ別で総合的に使えるアプリケーションが用意されていて、企業の課題にあったものを選択することが可能です。

CRM ツールには、AI(人工知能)で顧客理解を自動化する「Salesforce Einstein」を搭載。ネクストベストアクションの速やかな提案や、効果的なレコメンデーションなど、最先端の技術によって営業・マーケティングの判断を強化できるのが魅力です。

社内 SNS やメール配信機能もあり、企業全体で利用できる機能の豊富さも魅力の一つです。ユーザーがサービスを使いこなすための、スキルアップコンテンツやコミュニティなども整備されています。

特徴

  • 全世界で15万社が導入
  • 売上予測機能
  • AI によるサポート
  • モバイル対応

初期費用

  • 要問い合わせ

月額費用

  • Essentials:3,000円(税抜)※/1ユーザー
  • Professional:9,600円(税抜)※/1ユーザー
  • Enterprise:19,800円(税抜)※/1ユーザー
  • Unlimited:39,600円(税抜)※/1ユーザー
  • ※年間契約の場合

無料トライアルの有無

  • 30日間の無料トライアルが可能

公式サイト

  • https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/

eセールスマネージャー Remix Cloud

「eセールスマネージャー Remix Cloud」は、ソフトブレーン株式会社が提供する CRM/SFA ツールであり、営業シーンに合わせた仕様で開発されているため、現場での使い勝手の良さに定評があります。

フォローアップ体制が充実していて、導入・稼働・定着の各段階に合わせた支援を受けやすく、サポート面が期待できるのがサービスの特徴です。

同社によると、一般的な CRM は定着率20%であるのに対し、eセールスマネージャーは定着率95%に達しているといいます。

利用形態は、クラウド・マネージド・オンプレミスの3種類から選べるので、規模や予算に合わせて選択しやすい点も魅力となっています。

特徴

  • 状況に合わせて選べるプラン
  • 一度の情報入力ですべてに自動で反映
  • 導入後も継続のサポート体制
  • 利用継続率95%
  • 相談会や Web セミナーを定期的に開催
  • フォロー体制が手厚く定着しやすい
  • 導入企業数 5,500社以上

初期費用

  • 問い合わせ

月額費用

  • スケジュールシェア:3,000円/1ユーザー
  • ナレッジシェア:6,000円/1ユーザー
  • スタンダード:11,000円/1ユーザー

無料トライアルの有無

  • 無料デモ体験が可能

公式サイト

  • https://www.e-sales.jp/

Zoho CRM

「Zoho CRM」は、料金プランはいずれも1ユーザーから利用可能かつ、月単位での利用も可能です。低コストから安心して始めやすい点が魅力です。

かつ、機能の豊富さや柔軟なカスタマイズ機能、導入支援や利用トレーニングなどのサポート機能も充実しているので、CRMを初めて利用したい企業でも安心して導入できるでしょう。

特徴

  • 低コストから安心して始めやすい
  • 無料のモバイルアプリも提供しており、場所を選ばずに、情報共有できる
  • AI 型営業アシスト機能搭載
  • 豊富なカスタマイズ機能

初期費用

  • なし

月額費用

  • スタンダード:1,680円/1ユーザー
  • プロフェッショナル:2,760円/1ユーザー
  • エンタープライズ:4,800円/1ユーザー
  • アルティメット:6,240円/1ユーザー

無料トライアルの有無

  • エンタープライズプランの15日間無料トライアルが可能

公式サイト

  • https://www.zoho.com/jp/crm/

Microsoft Dynamics 365

「Microsoft Dynamics 365」は、世界のCRM市場で高いシェアを占める Microsoft 社が提供するサービスです。

そのため、Word や Excel などの Office 製品との連携が良く、Windows ユーザーにとって使いやすいのが特徴です。

営業分野の「Dynamics 365 Sales」やマーケティング分野の「Dynamics 365 Marketing」などはもちろん、財務や人事など顧客情報以外の企業資産も同じツールで管理できます。

各製品には AI(人工知能)が搭載されており、顧客ごとに施策をパーソナライズして、ロイヤルティ形成の効果を高めることが可能です。高機能な CRM ツールとして、多くのグローバル企業で活用されています。

特徴

  • 大規模なグローバル企業での導入実績が多数
  • 使い慣れた Office365 との連携
  • マルチデバイス対応
  • 自社に合わせたカスタマイズが可能

初期費用

  • 問い合わせ

月額費用

  • Sales Professional:8,125円/1ユーザー
  • Sales Enterprise:11,875円/1ユーザー
  • Sales Premium:16,875円/1ユーザー
  • Microsoft Relationship Sales:20,250円/1ユーザー

無料トライアルの有無

  • 30日間の無料トライアルが可能

公式サイト

  • https://dynamics.microsoft.com/ja-jp/

Magic Moment Playbook(マジックモーメントプレイブック)

Magic Moment Playbook は営業の活動量・提案の質の双方を向上させる日本で初めてのセールスエンゲージメントプラットフォームです。

料金:要問合せ

導入企業例:LINE株式会社様、凸版印刷株式会社様、セイコーソリューションズ株式会社様など、多くの企業様に導入していただいております。(導入事例 – Engagement Academy

Magic Moment Playbook を導入することで以下のようなメリットが得られます。

最初に、Playbook Core 機能により、顧客データをもとにトップセールスの型を標準化することができます。

それによって、営業力がベースアップされるため、全ての営業担当者が、新人でも成果を出せるプロセスをツールが構築します。

また、シナリオや状況に合わせた提案機能(Next Best Action 機能やシーケンス機能)により、顧客状況に応じてメールや電話のタスクを自動でリマインドし、効果的なタイミングでコミュニケーションを実行可能にします。

メールは自動送信機能もあるため、活動量が大幅に向上します。

従来の作業を自動化させることで、今なにをすべきか、次どうすべきか、各担当者が詰まることがなくなり、営業本来の仕事である顧客と向き合う時間を増やせるというメリットがあります。

上記のメリットをまとめると、

Magic Moment Playbook は一番成果を出す行動を常にサポートし、営業活動を高いレベルで標準化できるため、自社のトップセールスの技と最先端の営業フレームワークを融合し、独自の営業の型を構築することができるツールであると言えるでしょう。

図3. Playbook 成果創出プロセス(Magic Moment作成)

その結果、活動量を約3倍、活動の質を3倍という成果を出しており、活動量✖️活動の質で売上(成約数や LTV)の向上に貢献しています。

図4. なぜPlaybookを使うとLTVが上がるのか?(Magic Moment作成)

以下の記事で、詳しい概要を説明しています。

5分でわかる「 Magic Moment Playbook 」 – Engagement Academy
あわせて読みたい:営業の価値を最大化するPlaybook入門ガイド – Accel by Magic Moment

《引用文献》

1)FORTUNE BUSINESS INSIGHT, Customer Relationship Management Market Report [2022-2029], https://www.fortunebusinessinsights.com/customer-relationship-management-crm-market-103418
2)商工中金, 中小企業のIT・ソフトウェアの活用状況に関する調査, https://www.shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/futai202301.pdf
3)デロイトトーマツミック経済研究所, マーテック市場の現状と展望2022年度版クラウド型CRM市場編 (第6版), https://mic-r.co.jp/mr/02490/
4)日経XTECH active, コロナ禍を経て成長続けるCRM市場、欠かせない顧客接点の改善, https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00196/071200018/
5)STELLAXIUS, The CRM battlefield: Salesforce, an almost 25-year throne, https://stellaxius.com/knowledgecenter/salesforce/the-crm-battlefield-salesforce-20-year-throne/
6)Super Office, 18 CRM STATISTICS YOU NEED TO KNOW FOR 2023 (AND BEYOND), https://www.superoffice.com/blog/crm-software-statistics/#:~:text=CRM%20software%20is%20now%20the,billion%20in%20revenues%20by%202025
7)FOCUSONFORCE, CRM For Business Growth in 2022, https://focusonforce.com/crm/crm-for-business-growth-in-2022/#A_CRM_is_used_by_91_percent_of_businesses_with_ten_or_more_employees
8)HubSpot, 日本の営業に関する意識・実態調査2023の結果をHubSpotが発表, https://www.hubspot.jp/company-news/stateofsales-20230215
9)デロイトトーマツミック経済研究所, マーテック市場の現状と展望2022年度版クラウド型CRM市場編 (第6版), https://mic-r.co.jp/mr/02490/
10)経済産業省, 第3節 我が国製造業の変革の方向性, https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/honbun_pdf/pdf/honbun01_01_03.pdf
11)FORCUSONFORCE, CRM For Business Growth in 2022, https://focusonforce.com/crm/crm-for-business-growth-in-2022/#the_rate_of_CRM_growth_is_astounding_12897_billion_by_2028
12)IDC, Worldwide Semiannual Software Tracker, https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=IDC_P25240