その営業部門の成績は本当にコロナが原因なのか?


コロナウイルス感染拡大を抑え込むために発令されていた緊急事態宣言が解除され、東京では再び感染者が増加しつつあります。第二波、第三波が警戒されるなかで、営業活動は今後も感染拡大の恐れが続くことを前提とした動き方が必要になることは濃厚です。

商談期間が比較的長期化する法人向けの営業組織においても、コロナウイルス感染拡大による営業成績への影響が数字として確定しつつあるタイミングではないでしょうか。これまでは「誰も予想できないようなこれから起きることを想像して動く」難しさがありましたが、これからは「今起きていることを正しく把握して動く」重要性が増してきます。

特に、今の営業部門の成績は感染拡大の影響によるものなのか、あるいは他の要因が影響しているのかを整理できていると意思決定を支える心強い判断材料となります。しかし、営業プロセスが”ある状態”になっていると、正しく把握することが途端に難しくなってしまいます。この記事では、影響を切り分けるステップを追いながら、その”ある状態”とは何か、それをどう変えていくといいのかについてお伝えしていきます。

コロナは追い風?向かい風?

まずは感染拡大が営業成績にプラスに働いているのか、それともマイナスに働いているのかから確認します。ニュースなどでは、どうしても向かい風となっている例が多く取り上げられますが、業種や業態によって影響は様々です。自社の場合は、どちらに働いているのか、それは金額でいうと、どれくらいの影響なのかを視える化することが、まず初めのステップとなります。普段から全体の営業成績を確認していれば、プラスに影響しているのかマイナスに影響しているのかは今更確かめるまでもないことかもしれません。どれくらい影響があったのかも、案件数の増減から感覚的に導き出せるものです。しかし、それだけの情報では、いまどうなっているのかまでは把握できても、次に何をするべきかまでを導くのは困難です。

営業プロセスのどの部分に影響したのか?

そこで次に、案件の数や動きをみながら、営業プロセスのどの部分に影響が大きく出ているのかを確認していきます。案件の数や率の変動だけでなく、商談期間の変動や商談金額の変動もチェックすることが重要です。受注率に変化が見られなくても、商談期間が長期化していれば、経営効率に影響します。また、商談期間が長期化すると受注率は下がる傾向にあるので、今の時点で商談期間の長期化が見られる場合は、特に注意が必要です。

これはパイプラインの視える化の一例です。数・遷移率・期間は視える化するだけでも、多くの気づきが得られます。

そもそもこうした各案件の状況が見えておらず、どこに影響が出ているのかわからない場合は、パイプラインを視える化できていないということになります。まずはオペレーションの設計や営業ツールの活用に力を入れて、各案件の進捗状況が共有される仕組みを構築することで、成果が上がる可能性が高いといえます。手段としてどう進めていけばいいのかについては、「営業の弱点を把握するパイプライン分析とは?」にて詳しく説明しておりますので、ご覧ください。

どうして案件に影響したのか?

営業プロセスのどの部分に影響が出ているかが分かったことで、それがなぜ生じているのかという問いにたどり着きます。例えば商談期間が長期化していたのであれば、感染拡大によって顧客側で予算削減の圧力が働き、価格交渉に時間がかかったケースが発生していたといったケースを確認できてはじめて、感染拡大による影響と判断することができます。ここまでやることで、営業部門の成績が本当に感染拡大によるものなのかどうか判断できます。

商談ステージは定義していて、パイプラインの中の案件の動きも把握できている。そのはずなのに案件がどうして停滞しているのか、失注しているのかわからない。実は本当に進んでいるのかすら見えていなかったという状態は、特に顧客数が多く、大きな営業組織に起こりがちです。

データが入力されていないことが原因と捉え、データが入力されるようにルール作りを徹底する取り組みもあります。ただ実はデータ入力を徹底しても、見たいものが見えるようになるとは限りません。

その原因のひとつに、営業プロセスが自社視点となっていて、顧客視点になっていないことがあります。冒頭でお伝えした状況の把握を難しくする営業プロセスの”ある状態”とは、”自社視点”のことです。

営業プロセスが自社視点となっているとはどういうことかというと、案件が顧客の購入体験ではなく自社の販売手順に都合よく管理されているということです。例えば、以下のような営業プロセスが自社視点の営業プロセスの典型的な例です。確かに自社がいま顧客に対して何をしているのかはわかりやすいのですが、結局のところ顧客が今どういう状態にあるのかがわかりにくくなります。

いまや商談の進捗を分解して、ステージを定義して案件の状況を管理する手法は一般的ですが、その営業プロセスが自社視点なのか顧客視点なのかは、各ステージで使われる言葉を見ればわかります。あえて言い切るならば、各ステージの主語が顧客に置かれているものであれば顧客視点、自社に置かれているものであれば自社視点です。営業プロセスが顧客視点になっていると、その遷移を見ることで、感染拡大が顧客の行動にどんな影響を及ぼしているのか見えやすくなります。

顧客視点の営業プロセスの構築ステップ

顧客視点の営業プロセスを構築していく方法の一つとして、以下のようなステップがあります。

1. 顧客体験の設計

購買プロセスで顧客にどんな体験をさせるべきなのかというところから考えていきます。具体的には、カスタマージャーニーやエクスペリエンスマップ、パーセプションフローモデルのようなフレームワークを活用しながら、顧客体験を考えていくことになります。

2. ビジネスプロセスの設計

設計した顧客体験を実現するために自社がどんなアクションをすればいいのか、それはどう役割分担していくのかを考えていくこととなります。

3. データの設計

自社のアクションは正しく行えているのか、設計した顧客体験を実現できているのかを判断するためにトラックが必要なデータを考え、ツールを活用してデータが蓄積されていく仕組みを考えます。

4. オペレーションの設計

運用していくうえで成果として評価するべきポイントを考え、KPI を設定します。

5. 成果の評価と改善

KPI をみながら、順調にできているかを評価したり、そもそもKPI が正しいのかを日常的な業務を回しながら軌道修正していきます。

まとめ

営業成績に対する影響を視える化して、なぜそれが起きているのかまで深く把握できるようになると、次にとるべきアクションが決めやすくなります。この記事では営業プロセスに焦点を当てた話をいたしましたが、ただいま公開中の営業レベルチェックシートでは、営業プロセスだけでなく、セールスツールの活用度合いや営業メンバーのトレーニングの充実度、部門間の連携など様々な観点から営業組織を自己診断頂けます。既存の営業体制に変革の必要性を感じている方ほど、あらゆる点に問題を感じ、具体的にどこから手を付けていくべきか方向性がなかなか定まらないという状況になりがちです。このチェックシートで、一度整理されてみてはいかがでしょうか。