注目の厳選 SaaS 企業6社!国内外の企業と最先端の SaaS を紹介

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要約SUMMARY
  • SaaS 企業とは、クラウド上のソフトウェアをインターネット経由でユーザーに提供する企業のことである
  • SaaS 企業が提供するサービスは、複数のユーザーで1つのサービスを共有する「マルチテナントアーキテクチャ」であり、ユーザーの利用目的や予算に応じたサービス利用範囲の選択や、カスタマイズが容易といった特徴がある
  • SaaS 市場規模は世界規模で今後の拡大が見込まれており、日本でも市場拡大とともにユーザー側の選択肢が増加する傾向にある
  • セールスエンゲージメントプラットフォームはデータ分析や売上/トレンド予測を自動化し、データドリブンな組織形成の要となる

近年のリモートワークの普及等により、SaaS 企業への注目度が大きく伸びています。SaaS 企業とはどういった企業なのか、日本ではどのような SaaS 企業が有名で注目を集めているのか、興味をもたれている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、日本国内外で広く知られている SaaS 企業をまとめて紹介します。

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また、SaaS 企業に多いサブスクリプション型のセールスで成功するためには、これまでの売り切り型のビジネスとは異なる戦略が必要となります。

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SaaS企業とは?

近年、国内外で大幅な伸びを見せている SaaS市場について、まずは SaaS の意味や SaaS企業がどのようなサービスを提供しているのか等の基本的な内容から見ていきましょう。

SaaS の意味

SaaS とは「Software as a Service」の略で、直訳すれば「サービスとしてのソフトウェア」の意味となります。SaaS は「サース」や「サーズ」と読みます。

SaaS とは、クラウド上のソフトウェアをインターネット経由でユーザーに提供するサービスのことです。SaaS を利用するユーザーは、ソフトウェアを構築して保守したり、パソコンにソフトウェアをインストールしたりする必要もなく、インターネットを介して提供されたソフトウェアを利用できます。

例えば、Web会議等で多くの企業に採用されている「ZOOM」も SaaS であり、すでに身近な場面で広く利用されています。

SaaS企業が提供するサービスの特徴

SaaS企業が提供するサービスには、以下のような特徴があります。

マルチテナントアーキテクチャ

「マルチテナント」とは、1つのアプリケーション等のサービスを、複数のユーザーで共有して、利用することです。実際のテナントで例えるとすれば、ショッピングモールのテナントに複数のショップが軒を並べるようなイメージです。

「アーキテクチャ」とは、建築物や建築様式を意味する言葉ですが、IT用語ではシステム等の構造や設計、仕様を指します。

皆さまの身近なサービスとしては「楽天市場」などが挙げられます。

SaaS企業が提供するサービスは、ショッピングモールに出店する複数のテナントのようなイメージで、同一のサーバーやアプリケーション、データベース等のシステムやサービスを複数のユーザーで共有し、利用できる点が最大の特徴といえるでしょう。

サプライヤー側も顧客情報や利用データなどを一元管理できるため管理コストが低く、ニーズを捉えたサービスの展開も容易になります。

カスタマイズが容易

SaaS企業が提供するサービスでは、ユーザーごとの目的や予算等に応じて、サービスの幅も選択できるのがもう1つの特徴です。

ネットワーク接続のあるデバイスさえあれば、どこにいてもソフトウェアにアクセスが可能です。必要なカスタマイズも簡単に操作できる仕組みが構築されており、従来の自社開発のソフトウェアにおけるカスタマイズと比較すれば、格段に効率的です。

企業やユーザーの登録した情報は、SaaS企業が行うソフトウェアアップデートを通して保存されることもあり、ユーザーは常に低リスクかつ低コストで便利な SaaS を活用できるのです。

メンバー全員が同様のデータにアクセスできるため、データが分断されることなく戦略や施策の改善を行える点もユーザーにとってのメリットになり得ます。

SaaS企業の今後の成長

富士キメラ総研によると、日本における SaaS の市場規模は、2025年には1兆4,607億円になると予測されています。CAGR(年平均成長率)は国内市場では13%となっていて、2022年には、拮抗している SaaS と従来のパッケージ製品の比率でも SaaS が上回る見込みです。1)

また、海外機関の調査などでは世界の1社あたりの SaaS 利用数の CAGR も86%となっています。日本ではここ数年にわたって、130%の CAGR となっていて、劇的な伸びを示しています。グローバルトレンドを追いかけて今後も SaaS 利用数の増加が見込まれます。

総務省「令和3年通信利用動向調査」2)によると、企業のクラウドサービス利用状況では、以下の用途が挙げられています。

  • ファイル保管・データ共有
  • 電子メール
  • 社内の情報共有
  • スケジュール共有
  • 給与・財務会計・人事
  • データバックアップ
  • 営業支援
  • eラーニング
  • 取引先との情報共有
  • プロジェクト管理

中でも「ファイル保管・データ共有」と「電子メール」については、「場所を問わずに利用できるから」などの理由で、半数以上の利用企業がクラウドサービス利用用途として挙げています。

同調査において、企業がクラウドサービスを利用する理由としては以下の内容が挙げられています。

  • 場所や機器を選ばず利用できる
  • 資産や保守体制を社内で保有する必要がない
  • 災害時のバックアップになる
  • 安定運用や可用性が高い
  • 情報漏洩対策等サービスの信頼性が高い
  • システム容量の変更等に迅速な対応が可能
  • システムの拡張性が高い
  • コストが安い

これらの理由の中でもっとも多くの企業が挙げたのは「場所や機器を選ばず利用できる」という理由です。リモートや DX 等が大きく影響した結果といえるでしょう。

また、Business Research Company などの調査によると、世界の SaaS市場規模は2026年には3,744億8000米ドルに拡大すると見込まれています。3)SaaS市場の成長は主にその取り掛かりやすさとサービス提供事業者の増加により、選択肢が増えつつあることも背景にあると考えられます。

図1:SaaS 市場規模推移

SaaS企業の時価総額ランキング

続いて、SaaS企業の時価総額ランキングをチェックしてみましょう。以下は2023年1月19日時点でのデータです。

One Capital 社が独自に定めた上場SaaS企業インデックス(OCCI)によると、国内SaaS企業の時価総額ランキングは以下の表のようになります。

ランキング企業名株価時価総額
1位Visional株式会社8,900円342,596百万円
2位株式会社ラクス1,803円326,730百万円
3位株式会社マネーフォワード4,770円256,508百万円
出典:One Capital Cloud Index

日本を牽引する SaaS企業 3選

次に、日本における代表的な SaaS企業を3社紹介します。

Sansan株式会社

Sansan株式会社は、テクノロジーとマンパワーによってアナログデータをデジタル化していく仕組みとクラウドソフトウェアとの組み合わせにより、企業が抱える課題を解決するためのサービスを提供する SaaS企業です。

「Sansan株式会社」では、クラウド名刺管理サービス「sansan」、契約DXサービス「Contract One」、インボイス管理サービス「Bill One」等のサービスを提供しています。

2022年通期の SanSan の売上高は20,420百万円となっていて、前年比26.2%の売上高増加率となっており、「SanSan」の営業利益率は前年同期比9.1p増の51%となっています。

また、​​法人向け名刺管理サービス市場において81.6%のシェアを占めていて、インボイス管理サービス「Bill One」は、クラウド請求書受領サービス市場においてNo.1の売上高シェアを占めています。

「sansan」は、「経済産業省」や「日本経済団体連合会」のほか、「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「SBIグループ」「トヨタ」「デンソー」「NTT」等の企業で導入されています。

freee株式会社

freee株式会社は、バックオフィス業務の手間を効率化するためのクラウドサービスを提供する SaaS企業です。

freee株式会社ではクラウド会計ソフト「freee会計」や、労務管理を効率化する「freee人事労務」等のサービスをクラウドサービス提供しているほか、2022年度には「freee経費精算」と「freee勤怠管理Plus」等のサービスも新たにリリースしています。「freee会計」は個人事業主や中小企業はもちろん、士業事務所やNPO法人、大手企業でも広く利用されています。

個人・法人ともにシェアを伸ばしており、2022年6月末時点での個人事業主も含む有料課金ユーザー数は379,000にものぼり、クラウド会計ソフトシェアでは、56.3%、モバイルアプリシェアでは71.3%となっています。

2022年6月期のフリー株式会社の通年連結業績は、売上高で前年比40.2%増の14,380百万円となっていて、2023年6月期第1四半期末の売上高は前年同期比25.0%増の4,238百万円となっています。

株式会社マネーフォワード

株式会社マネーフォワードは、お金の管理に役立つ各種クラウドサービスを提供する SaaS企業です。

株式会社マネーフォワードでは個人向けの家計管理アプリ「マネーフォワードME」や法人向けの「クラウド会計」「クラウド勤怠」等、業務効率化をサポートする数多くのクラウドサービスを提供しています。様々なジャンルの業種で個人から法人まで、会計や勤怠管理等、多種多様なサービスを提供しており、マネーフォワード クラウドは「イオン」や「ケロッグ」「TVer」「Wolt」等でも導入されています。

株式会社マネーフォワードが提供する個人向け「マネーフォワード ME」を含む「Money Forward Home」にて1,400万以上のユーザーがいて、連結資産残高は17兆円に上ります。「マネーフォワード クラウド」等のバックオフィス向け SaaS は23万以上の課金顧客が利用しています。

株式会社マネーフォワード、2022年11月期における通年の連結業績は、売上高で前年比37.4%増の21,477百万円、17年からの CAGR は49%となっています。特にドメイン別では、法人向け「Money Forward Business」の売上高推移が前期比47%と牽引しています。

海外で注目の SaaS企業 3選

続いて、世界中から注目されている海外の SaaS 企業3社を見ていきましょう。

Salesforce

Salesforce といえば SaaS、SaaS といえば Salesforce といわれるほど、Salesforce, Inc.は SaaS 製品で世界トップシェアを誇る、まさに代表的な SaaS 企業です。

Salesforce では、CRM(顧客関係管理)システム「Customer360」や、顧客対応を効率化するための「Service Cloud」、顧客管理と営業支援ツールを兼ね備えた「Sales Cloud」、マーケティング施策をサポートする「Marketing Cloud」等、各業種における問題解決に役立つクラウド型ソフトウェアを数多く提供しています。

2021年7月、Salesforceが「Slack」を買収し、同年12月に Slack Japan もセールスフォース・ドットコム(現セールスフォース・ジャパン)に吸収されました。Slack 導入は、セールスフォースが提供する「Customer 360」の機能面での相乗効果や社内のコミュニケーション向上につながっています。

Salesforce の2022年度の売上高は、前期比24.7%増の264億9,000万ドルです。また、23年度第3・四半期の売上高は前同期比14%増(19%:為替変動を除く)の78億4,000万ドルになっていて、調整後の1株あたりの利益は1.40ドルになっています。

Adobe

Adobe Inc.は、デザイナー向けのソフトウェアを提供する会社であり、主に、デザイン系のソフトウェアを中心として、クラウドサービスや Webサイトのコーディングソフト等も提供しています。

Adobe といえば、画像加工ソフト「Photoshop」やイラスト作成ソフト「Illustrator」といったソフトウェアの販売で知られています。

過去には買い切り型でのソフトウェア販売が一般的でしたが、現在ではクラウド型ソフトウェアを提供するサブスクリプションでの提供を主流として、販売形態を大幅に転換しています。買い切り型での販売スタイルから SaaSビジネスに転換した成功事例として、代表格といえる企業の1つです。

Adobe の2022年度の収益は、前年比12%増の176億1,000万ドルとなっていて、調整後の営業利益は79億5,000万ドルとなっています。潜在株式を考慮した調整後1株あたりの利益は13.71ドルとなっています。

Zoom

リモートワークが推進される中で、ビジネスシーンに急速に浸透した「Zoom」を提供する Zoom Video Communications, Inc.は、ビデオ・コミュケーションソリューションを提供する SaaS企業です。

あらゆるビジネスにおける、インターネット上でのコミュニケーションをスムーズに行うことができる「Zoom」は、一般企業はもちろん、教育期間や医療機関、行政機関等でも広く活用されています。

Zoom はリモート会議で求められる機能に特化し、コミュニケーションをサポートするプラットフォームとして、その品質を高めることに注力し、ユーザーを増やしています。

Zoom の2021年度通期決算での売上高は前年比28.8%増の13,417百万円、営業利益は66.6%増の1,258百万円となり、過去最高の増収増益を達成しています。

こうしたSaaS ビジネスの成長基盤は、正確かつリアルタイムなデータの一元管理とその活用を定義していくデータガバナンスの重要性が増しています。データ分析から活用までの戦略的なロードマップを以下の記事から知ることができます。

あわせて読みたい:【徹底解説】Gartner が示す営業データ分析の戦略的ロードマップと来るべき5つの未来

SaaS の注目領域 セールスエンゲージメントプラットフォーム

セールスエンゲージメントプラットフォームとは

セールスエンゲージメントとは、営業活動において顧客との関係性を構築していくことであり、セールスエンゲージメントプラットフォームとは、セールスエンゲージメントをより効果的に実行できるよう導くテクノロジーのことです。

顧客との関係値を分析し、自動化された予測から営業担当者に最適なアクションを提示するセールスエンゲージメントプラットフォーム(SEP)は、GAFAM などでも活用が進んでいます。

セールスエンゲージメントプラットフォームの特徴は、SFA/CRM のデータ分析や売上/トレンド予測を自動化し、営業が次に取るべき最善のアクションを提示するなど、営業担当者をサポートするための機能を重視していることです。

Revenue.io によると、営業によりデータ・インサイトをもとにしたコミュニケーションが求められるようになった結果、Sales Engagement/Sales Intelligence への投資が CRM を上回っているとしていて、Gartner の調査では、セールスエンゲージメントプラットフォームの ROI はトップであり、リード生成を担う組織には欠かせないテクノロジーとして位置付けています。

営業担当がもっとも注力すべき「お客様とのコミュニケーション」の機会を増やし、成約率を上げるためにより効果的な営業活動を後押しするためのテクノロジーです。

最先端のセールステック動向とそれに組織がいかに対応すべきかをまとめた資料を無料で提供しています。ぜひ、ご活用ください。

無料ダウンロード:【最先端】SalesTech(セールステック)ガイド〜SalesTech 市場トレンドと BtoB 営業の変化の考察

セールスエンゲージメントプラットフォーム Magic Moment Playbook

株式会社 Magic Moment はセールスエンゲージメントプラットフォームを提供しています。

株式会社Magic Moment では、日本で唯一の営業支援システム「Magic Moment Playbook」を提供しており、多種多様な企業の営業活動の効率化やコスト削減、商談の質の向上をサポートし、売上向上に貢献しています。

商談につなげるまでの複雑かつ手間のかかる業務の無駄を徹底的に効率化し、担当者によるばらつきを解消、営業でもっとも重要となる商談の確度を上げ、事業全体の成約率アップを実現します。

「LINE株式会社」「三井物産株式会社」などの企業で導入されており、なかにはリードからの顧客獲得転換率が10.2倍に上昇するなどの成果が出ています。

その他、Magic Moment Playbook の機能についての詳しい情報は こちらの記事「営業改革を実行するための主要機能」 をご覧ください。

Magic Moment Playbook サービスサイト:https://lp.magicmoment.jp/magic-moment-playbook
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《引用文献》

1)株式会社富士キメラ総研, ソフトウェアビジネス新市場 2021年版, https://www.fcr.co.jp/report/211q08.htm(参照 2023-01-23)
2)総務省, 令和3年通信利用動向調査の結果, https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/220527_1.pdf(参照 2023-01-23)
3)RESEARCH AND MARKETS, Software as a service (SaaS) Global Market Report 2023, https://www.researchandmarkets.com/reports/5735157/software-service-saas-global-market-report(参照 2023-01-23)