営業 DX 推進で「ツール最適化」本当にできていますか?

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2025年の壁をご存知でしょうか?2025年の壁とは、経済産業省に提唱された DX が推進されなかった場合、起こりうる経済的な危機を示す言葉です。このまま DX が行われなかった場合、最大12兆円の経済損失があると言われています。本稿では、DX を検討している企業向けに営業プロセスにおける DX の課題とは、そして DX を進める上でのポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

そもそも DX とは?

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略です。経済産業省DXガイドラインVer.1.には、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジ タル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と規定されています。1)

1)経済産業省. 「デジタルガバナンス・コード2.0」(旧経済産業省DXガイドライン). 2022-09. (更新 2023-06-29) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf, (参照 2021-01-22)

言い換えると、企業のビジネスプロセスや文化、顧客体験をデジタル技術によって進化させたり、新たに創造することで新たなビジネスチャンスや価値を見出す事であり、ただデジタルツールを導入するなどIT化ではありません。

DXについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。営業組織のDXとは?(経産省DXレポートからの示唆の考察)です。

営業 DX 推進の取組み:業務プロセス

図1:営業プロセスとは?(Magic Moment 作成)

営業組織のDXを行う際、リード創出などの業務プロセスだけをDXしても効果はありません。営業組織を DX するためにはプロセス全体を変革する事が必要です。営業プロセス全体とは、データやプラットフォームの構築などの経営管理、戦略的セグメンテーションなどの営業戦略を含む戦略プロセスや顧客起点の営業プロセス、ツールの最適化、PDCAオペレーション構築などの基幹プロセス、リード獲得、クロージングなどの成果創出プロセス、そして採用、育成やインセンティブ設計などの人材プロセス、社内文化構築などの文化プロセスなどが含まれます。営業組織のDXを行なう際は、どこか一つのプロセスだけでなく、すべてのプロセスでDXすることを意識しましょう。

営業組織のDXの方法論に関して詳しく知りたい方は営業組織の DX の方法論の記事をご確認ください。

営業DX 推進の取り組み:基幹プロセス(ツール最適化)

ITツール導入しても失敗する企業の特徴とは

図2: ITツール導入の失敗(Magic Moment 作成)

営業組織のDXの一環として、ITツールの利活用している企業も増えてきているかと思います。しかし、ツールを導入すればするほど損する企業も多いのが事実です。よく失敗する企業の特徴をご紹介します。

 -部門の都合でツール活用が進んで情報が分断化

部門ごとにツールを導入したり、ツールを部門ごとに最適化した結果、顧客のデータが連携されず、分断されてしまっていることがあります。例えば、顧客がサービスに契約したり、商品を購入する前の情報と顧客になった後の情報が別々に管理されていた場合があります。しかし、顧客の情報を分析したいと思ってもデータを連携したり、移行するためには人力で行わなければいけないなど大きく手間がかかってしまうということがあります。

-活用しているツールのルールが徹底されていない

活用しているツールの利用ルールが徹底されていないということがあります。例えば、データを確認しても担当者によってデータの入力法が異なったり、そもそもデータが入力されていない場合があります。その結果、データを分析しようと思っても、データの修正や調整に大きく手間が取られるということがあります。ルールを設定しても、ルールの一部しか使われてないため余計な手間がかかるという場合が多くあります。

-IT化の遅れへの焦りが先行

DXをしなければいけないやIT化をしなければいけないという焦りからツール導入のプロジェクトを立ち上げたり、またIT化についていけず過去に導入した既存システムを使い続けている場合などがあります。しかし、その結果ツールを導入することだけが目的になってしまいツールがほとんど使われなくなったり、従来のシステムがボトルネックになってしまい業務の効率化が進まないという問題などがあります。

このように営業のDXを推進しようと思っても、ツール自体や活用のルールのネックがなっており、進まないという企業も少なくありません。このような問題を解決するために重要なのは、ツールの全体最適化です。部門ごとにツールを導入し個別最適を行っていた場合、ツール間のデータが共有されず、思わぬ機械損失につながる可能性があります。このようなことを避けるためにも全社の情報共有や業務プロセスを抜本的に見直して、部門という制約にとらわれず、全社最適化を狙いましょう。

問題を解決するための「ツール最適化」のステップ

ツールの全体最適化を行なうためには、ステップでしっかり考えていくことです。ツールの最適化のためのステップは、設計・導入・段階の3つです。

-設計段階

設計段階ではなぜツールを導入するのか、ツールを導入して解決したい課題は何なのかという目的や誰がオーナーシップをもつのかなどのステークホルダーなどを明確にします。また、あわせて予算や問題点やツールによる解決が最適化なのかを検討しましょう。

-導入段階

導入段階では目的に沿ってデータ移行や統合を行います。この時には、何を持ってツール導入、プロジェクトを成功とするのか、既存システムと新システムは代替なのか、それとも統合するのか、現場に利用してもらうためのルールや活用方法などを検討します。

-活用段階

活用段階は、現場の利用促進と効果測定を行います。実際に現場をどれくらい利用しているのか、ツールへの入力が正しく行わっているのか、工数が減ったのかなどを確認します。ツールを導入する目的の多くは費用対効果の最大化することかと思います。利用の状況だけでなく、ちゃんと設計の段階で設定した目的を達成しているのかを確認しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。営業組織のDXで一つのポイントは、ツールの最適化です。従来のシステムを使い続けていたり、部門ごとに個別最適化しているためツールを導入してもうまくいかない企業も多いです。そのようなことを避けるためにも、部門ごとではなく、全社的に最適なシステムを検討する事が重要です。まずはなぜツールを導入すべきなのかの目的を再度検討してはいかがでしょうか。

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