The Model 型営業組織を成功させる3つの必要条件


近年、営業関連の書籍で注目を集めたものとして、「THE MODEL」を想起する方も多いのではないでしょうか?営業プロセス、組織設計など実践的に営業組織の姿について掛かれており、様々なところで反響を呼んでいます。

この本で紹介されている考え方に沿って、自社の営業組織にThe Model を取り入れようとしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、その取り組みが表面的なものとなってしまうことがあります。

「THE MODEL」の著者である福田氏も、同書の中で「気になるのは、私に質問する人の多くが組織体制や評価指標だけを単純にまねようと形から入るケースが目立つことだ」と述べています。

弊社が営業組織の変革をご支援するなかでも、「とりあえずThe Model を取り入れようと考えている」といったご相談が一定数あります。

しかし、そのような進め方では、The Model にならって組織体制を導入しても、期待したような結果が出ることはまずありません。そこで本記事では、このような事態に陥らないために理解していただきたいことをお伝えします。

そもそもThe Model とは?

The Model とは一般的に、営業組織をマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスで分業する以下の図のような体制のことを指します。

従来の営業スタイルでは通用しなくなっている

従来の営業のスタイルでは、営業担当者が全てのプロセスを担当し、1人で多くの業務を抱えていました。また、購買側との情報格差もあり、営業担当者が見込み顧客に情報を提供することが商談を進めるにあたってアドバンテージとなっていました。

しかし、顧客は営業と接する前に情報を収集し、ある程度の判断材料を持った上で営業担当者と接する時代になりました。かつてのような情報の価値も薄れています。

さらには、1人で営業プロセス全てを担っている状態では、見込み顧客がそれぞれオンライン上でどんな体験をして、何に関心があるのかを汲み取るところまで把握する手が回らなくなりやすいため、比較検討するための情報を持った顧客に選んでもらいづらくなってしまいます。

福田 康隆. THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス (Japanese Edition) より引用

なぜ The Model は効果的とされるのか

The Model 型の営業プロセスでは、分業による業務効率の向上や、変化した顧客の購買行動に対応した営業活動が可能になります。

まず、営業プロセスを分業することで、営業プロセスの整理や、購買プロセスごとの KPI 管理をしやすくなります。そのため、営業プロセス全体の中でどこがボトルネックになっているのかを見つけやすくなり、営業効率を向上させることができます。

また、The Model 型の体制によって、リードを組織的に管理することができるため、リードのステータスが個人にしか分からないといった状況を改善することにもつながります。

The Model で“分業しただけ”にしないためには

The Model の体制を導入すれば全てが解決されるわけではない

The Model は、顧客の購買プロセスの変化に対応し、営業効率の向上も期待できる仕組みではあります。

しかし、これからお伝えするようなことを見落としていると、思うような成果を出せずに”ただ組織を分けただけ”になることがあります。

書籍で触れられている内容もありますが、どうしても表面的な側面ばかりが組織に先行して浸透してしまいがちです。

  1. 部門間の連携強化

個別の目標を追っていると、「自分たちが達成していればいい」という考えで組織が動くことがあります。分業によって各部門が自分たちの KPI 達成に集中するあまり、事業全体の目標を達成することがかえって難しくなるのです。

2.購買フェーズの設計・運用の厳格化

プロセスを分業する過程で、どの部門がどこまで担当するのかを定める必要があります。部門ごとのKPI を決めるだけでは、いざオペレーションに落とし込もうとしてもうまくいきません。

例えば、アポイント数は目標以上に創出できているのに全く商談につながらないという事態があります。

アポイント自体は目標以上に創出できているものの、アポイントの段階でどこまで確認するのかであったり、先方と合意する必要があるのかを個人任せにしていると、アポイント数で成果を判断することができません。KPI管理がまったくもって意味のないものとなるのです。

3.データの構造化

The Model 型の組織構築にあたってMA や CRM/SFA を導入しても、各部門がそれぞれ独自の入力形式でデータを管理し、いざ横軸でデータをつなげようとしたときに、全く使い物にならないということがあります。

この問題を解決するためには、 ツールごとに別々で管理されているデータを繋ぎ、顧客起点でデータを統合的に参照できるようにする必要があります。それを実現するためには、エンジニアによるプログラミング、データ統合作業など、膨大なコストがかかります。

The Model 型の営業組織を成功させる3つの問い

The Model 導入の目的は明確か?

ここまでお伝えしてきたように、近年 BtoB 企業を中心に、注目を集めている The Model ですが、The Model の体制を取り入れさえすれば全てうまくいくわけではありません。「The Model 型の営業体制を導入する」ことがゴールになってしまうと、現場の人間が何のためにやるのか理解できずうまく運用できない状況に陥ります。

そもそも分業しないという選択も十分に検討するべきです。会社のフェーズや状況・ビジネスモデルによって、適切な組織体制は異なります。例えば、導入期の会社であれば、少ない顧客の成功に力をいれるべきであり、導入にあたっての問題点や、顧客の真の課題を特定することに注力することの方が重要なため、無理に分業するよりも、複数部門を兼任しているメンバーがいる状態の方がやりやすい場合もあります。

The Model の導入はあくまで手段であり、自社の営業組織が克服すべき問題は何で、それを克服する手段として The Model の一般的な組織体制をそのまま導入することが正しいのかどうかを検討する必要があります。

その上で、顧客にどのような体験をしてもらい、どう感じてもらいたいのを定め、そのために自社はどのように行動するのかを考えるという双方向の関係の観点を取り入れることが重要です。

部門間の連携はできているか?

マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスという一方向の流れだけでは、部門間の連携が取れず、「自分たちの仕事の範囲だけやっていればいい」という部分最適に陥りがちです。

どの部門も売上を増やすという共通の目標に向かって動ける状態が理想です。

部分最適に陥ることを防ぐために、The Model をカスタマーサクセス→マーケ・営業、フィールドセールス→インサイドセールス、インサイドセールス→マーケなど、各部門が実際の業務の中で見つけた改善点についてフィードバックする流れができているかをチェックしつづける必要があります。

分析に役立てられるデータを取得する業務オペレーションになっているか?

もはや営業組織においてデータを活用することは当たり前です。

戦略・戦術策定のためのデータ分析ができる状態にするためには、そもそもデータを取得できる状態にしておく必要があります。分析に役立てるデータを取得しようとツールなどを活用していたとしても、データを入力するのは人であるため、ミスや入力漏れが発生します。例えば、CRM 1つをとっても以下のような状況があります。

    • 88%の CRM ユーザーが不正確な情報を入力
    • 69%の CRM ユーザーが CRM 以外で情報管理

このデータを単純に自社の営業チームに置き換えるとするならば、8割のメンバーが入力するデータは不正確で、なおかつそもそも入力されていない重要な情報があるという状況です。

この状況では当然データ活用が進むはずがありません。

まとめ

The Model の導入にあたっては主に以下の3つが課題であることを解説してきました。

    • 部門間の連携強化
    • 購買フェーズの設計・運用の厳格化
    • データの構造化

こうした課題をクリアする算段をつけなければ、The Model の組織の形を導入して”分業しただけ”という結果になりかねません。

The Model の導入や、その弊害の克服を目指そうとすること以外に、顧客にとってどういった理想的な営業プロセス、自社のビジネスの特性やフェーズを考慮した上で営業の体制を導き出すことが最も重要だと言えるのではないでしょうか。

The Model に限らず、ツール活用やオペレーション設計などによる営業組織の変革にあたっては、表面的なもの以外に本質的なポイントを把握しておく必要があります。 Magic Moment では、営業組織を変革するにあたって抑えておくべきポイントをチェックリスト化した資料を無料で配布しています。今の組織の状態と照らし合わせて、自己評価するといった形でぜひご活用ください。

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