BtoB 営業と BtoC 営業の違いは?売上を上げる BtoB営業の極意

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皆さんは BtoB 営業と聞いてどのような印象をお持ちでしょうか。ふわっと言葉を耳にしたことはあるけれど、具体的に他の営業スタイルとどう違うのか、成果はどうやって出るのかがわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

営業という大きなくくりで1つにまとめればそれまでですが、営業スタイルと営業対象となる顧客の特徴によって成果を出すためのポイントが異なるのは事実です。

今回の記事では、BtoB 営業の特徴からBtoB 営業で押さえるべきポイントとフレームワーク、売上を上げるための方法についてわかりやすく解説していきます。

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BtoB 営業とは?

BtoB 営業とは

BtoB 営業とは、対法人に対して営業をおこなう営業スタイルであり、企業間における取引を行うことです。 BtoB とは Bussiness to Bussiness の頭文字を取った言葉であり、日本では法人営業と呼ばれることもあります。

BtoB 営業の特徴

BtoB 営業の一番大きな特徴は顧客が企業となる点です。似たような言葉に BtoC 営業という言葉がありますが、こちらは Bussiness to Custmer の頭文字を取った言葉で、個人に対して営業をおこなう手法になります。

BtoC 営業の場合には個人 = 消費者となるため、購入までスパンが短いという特徴がある反面、BtoB 営業の場合には決裁者への稟議などで時間がかかるため、成約までスパンが長くなる違いもあります。

では、実際の営業スタイルは BtoB と BtoC ではどう違うのでしょうか?次に両者の営業スタイルについてそれぞれ詳しく解説していきます。

BtoB 営業と BtoC 営業スタイルについて

BtoB 営業の営業スタイル

BtoB 営業の営業スタイルは、まず顧客リストを作成するところから始まります。企業によってはこの顧客リストを作成する前にマーケティングをおこなう企業もあります。作成した顧客リストをもとにそれぞれの顧客に対してアプローチをおこなっていきます。

アプローチ方法もさまざまであり、テレアポや訪問営業のようなものからメルマガや SNS を活用したアプローチ方法まで扱う製品によって異なってきます。

アプローチをしっかりとおこない、企業や製品を認知してもらうと「もっと製品を知りたい」という見込み顧客が生まれてきます。これらの見込み顧客に対して個別にアポイントを取り、商談をおこなっていくことになります。

先ほども触れましたが、 BtoB 営業の場合には決裁者が初回の商談には参加しないことが多く、商談の回数も複数回に及びます。一般的に、BtoB 営業は扱う商材の金額も大きいため、社内稟議にも時間がかかります。商談ののち、申し込みを頂いて成約し、入金を確認するところまでが BtoB 営業の営業スタイルになります。

営業と聞くと「入金まで確認しなくてもいいのでは?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

入金管理をすることによって、BtoB 営業の本質とも言える部分を理解することができます。営業の本質とは、利益を生み出すことが何より重要であるという点です。つまりは製品に対する対価としてしっかりとお金を頂くということになります。

顧客が倒産をしたり、不払いをされてしまうことなどが起こってしまうといくら営業を頑張ったとしても成果につなげることはできません。そのため取引をおこなう前に BtoB 営業の場合には相手の信用情報を確認することも重要です。

BtoC 営業スタイル

BtoC 営業の営業スタイルは、しっかりと顧客を選定するところから始まります。

BtoB 営業の場合には顧客が企業となるため、顧客の数は有限になります。しかしながら BtoC 営業の場合には個人消費者がターゲットとなるため、顧客の数は法人と比較すると数が多くなります。

そのため、どういった消費者をターゲットにするのかを決めてターゲット層を絞ることが大切です。

自社のサービスをもとに、アプローチするべき顧客の年齢層、性別、地域までどういったペルソナを設定するのかが BtoC 営業の場合には重要です。ある程度のペルソナが決まった後はアプローチするチャネルを定め、ペルソナに対してコンタクトをとっていくことになります。

現在では SNS を活用し、顧客へアピールをしたり、コンタクトを取ることが珍しくなくなっています。自社のサービスを購買する際に顧客が選択するチャネルを取り入れましょう。

また、 BtoC 営業の場合には成約から入金、商品やサービスの提供のスパンが BtoB 営業よりも短いという特徴があります。

それは BtoC 営業の場合には購入者=決裁者となることがほとんどであるため、BtoB 営業のように社内稟議に時間がかかるということは少ないからです。入金までのスパンが短いというのも BtoC 営業の特徴の1つであると言えるでしょう。

BtoB 営業と BtoC 営業との違い

BtoB 営業は商材の金額が大きい

BtoB 営業の場合には BtoC 営業と比較すると商材の金額が大きいという特徴があります。

BtoB 営業では BtoC 営業と比較するとビジネス色が強くなるため、より自社の商材の売り込み方を工夫する必要があります。

一方で、 BtoC 営業の場合には普段私たちが購入しているほぼ全てのものが商材となっているため、 BtoB 営業と比較すると比較的安価な商材を提供してると言えます。

担当者と決裁者が異なる

BtoB 営業の場合、商談をおこなう担当者と実際の決裁者が異なることも多々あります。

そして大きな商材を扱うことになればなるほど、決裁をするまでの社内稟議に時間がかかることになります。

反対に BtoC 営業の場合には購入者=決裁者となることがほとんどです。

購買の判断基準が論理的かつ複雑

購買の判断基準が BtoB 営業と BtoC 営業では異なる点も大きな違いと言えます。

BtoB 営業の場合、商材を導入することによって企業にどういったメリットがあるのか、費用対効果はどうかなど社内で稟議を行い、多角的に購買を検討することがほとんどです。

反対に BtoC 営業の場合、論理的な判断基準よりも値段やデザイン、ブランド、口コミなど感情面で判断することが多い傾向にあります。

BtoB 営業は購買チャネルが複雑

BtoB 営業の場合には、成約までに複数回の商談をすることが一般的です。

また、商談に持ち込むまでの購買チャネルが複雑で複数あることも BtoB 営業の特徴の1つであるとも言えます。コロナ以降は BtoB 営業でもオンラインを中心としたチャネルの活用が進んでいますが、電話やメール、SNS などさまざまな購買チャネルを活用して商談、成約につなげていくことになります。

BtoC 営業の場合にはいかに多くの顧客を集めることができるかがポイントになります。

そのため、Web を活用することによって EC サイトや実店舗へ集客する販売が中心となります。この EC サイトや実店舗へ集客することが BtoC 営業の購買チャネルとなり、BtoB 営業と比較すると複雑になることは少ない特徴があります。

購買・導入まで時間がかかる

冒頭でも触れましたが、BtoB 営業の場合、担当者と決裁者が異なるケースもあるため、購買・導入までに時間がかかることが多いです。これは BtoB 営業が押さえるべきポイントに関連する重要な違いです。

また、提供する商材に応じて商材が与えるメリットや金額、導入時期など判断材料が増えるため、高価な商材であればあるほど時間がかかる傾向にあります。

反対に BtoC 営業の場合には購入者=決裁者であるため、BtoB 営業と比較してもそこまで時間がかからないという違いがあります。

BtoB 営業を成功させるために押さえるべきポイント5選

顧客と信頼関係を構築する

BtoB 営業では何より顧客との信頼関係を構築することが大切です。

扱う商材も金額が大きいものが多いため、とても即決することはできません。各部署との調整も必要で、消費者のように意思決定が簡単ではないことも要因です。

だからこそ、多くの企業では1社だけではなく、複数者に見積もりを依頼し成約する企業を決定することが一般的です。

ただ、意思決定者はコストのみではありません。一言で言えば「メリット」です。

つまり、自社の商材にメリットを感じてもらう必要があります。ポイントはただ顧客のニーズを聞くだけではなく、顧客に有益な情報を提供し、「この人の話を聞く価値がある」と思ってもらうことです。

こうした関係を築くことによって他社と差別化を図ることができ、成約率を UP させることができるでしょう。

早い段階でキーマンを見つけ、担当者をサポートする

BtoB 営業では担当者と決裁者が異なるため時間がかかるとお伝えしました。クロージングを意識し、見込みのある案件に集中するためにも商談に置いてキーマンとなる存在を早い段階で見つけることが商談を成立させるポイントになります。

キーマンがどういった条件を重視しており、そのキーマンがどうすれば納得して承認してくれるのかを探ることが重要です。

マシュー・ディクソン氏とブレント・アダムソン氏の著書「チャレンジャー・セールス・モデル」によると、BtoB の意思決定者は意思決定を下す際に、周りのステークホルダーがバイヤーにどれだけの信頼を寄せているかを気にする傾向があるということです。

つまり、キーマンにとってのステークホルダーをしっかりと見極め、その人たちのロイヤルティを上げる必要があります。

また、本書は BtoB の担当者が接するステークホルダーのバイヤーへのロイヤルティは「信頼」が基準になっていて、それにはバイヤーが顧客にとって有益な情報を提示できるかが鍵となると示唆しています。

しっかりとキーマンの特性を見極めた上で、自身の味方につけること、そして稟議を通しやすいように自社の商材の特徴、導入企業にどういったメリットを与えることになるのかを明確にして資料にまとめるとスムーズに商談を進めていくことができるでしょう。

商材を売るのは、顧客の課題を解決するためだと心がける

BtoB 営業の場合、商材そのものに対して興味を持ってもらえることばかりではなく、その商材を導入することによって、企業にどのようなメリットを与えられるのかが重要視される傾向にあります。

つまりは商材を売り込むことを目的にするのではなく、顧客の抱えている課題を解決することを目的に資料作成やプレゼンを準備することが重要です。

そのためにも、事前準備をきっちりと行いましょう。顧客のビジネスや事業、市場での立ち位置、トレンド等を事前に分析し、ニーズや課題の仮説を立てることが有効です。

ターゲットを明確にして、ターゲットに最適なアプローチをする

自社の商材を訴求するには見込みの高い顧客を相手にしなければなりません。ニーズや商材をもとにまずはターゲットを明確にし、そのターゲットがどのような購買チャネルでどういったアクションを起こしているのかを確認する必要があるでしょう。

この顧客の行動はデータで可視化しておく必要があります。データをもとに示唆を抽出することで、それぞれ顧客に対して最適な購買チャネル・最適なタイミング・最適なアプローチをできるようにしなければなりません。

このような顧客情報管理ツールの代表例には CRM といったツールがあります。活用・運用のポイントは以下の記事をご覧ください。

また、顧客がどのような経路で商材にたどり着いているのか、成約に繋がりやすい購買チャネルはどれなのか、顧客が知りたいインサイトは何かなどを分析することによって、顧客にとって心地よい購買体験を提供することができます。大切なことは、顧客にシームレスな体験を届け、それに応じた営業活動を設計することです。

カスタマージャーニーと呼ばれる顧客の購買プロセスの可視化を行うことが有効です。

例えば、自社を認知していない顧客に対して、製品の具体的な機能やメリットを訴求しても購入に繋がることは難しいです。このケースでの適切なアプローチはコンテンツ資料の提供を始めとしてまずは自社製品に興味を持ってもらうポイントの設計です。

反対に自社に興味があり、顧客の抱えている課題を自社製品で解決できる場合には早期にアポイントを取得します。

より詳細に製品の機能やメリット・導入事例・ROI を紹介し、競合他社製品との優位性を訴求することによって成約につなげることができるでしょう。

結果として、顧客行動を可視化し、顧客がどのフェーズに位置しているのかを把握する。そして、顧客ごとのまたフェーズごとに応じた訴求や提案方法を試していくことが重要です。

営業の初期段階で課題を把握、商談をコントロールする

初回の商談から顧客が抱えている課題を把握するように努めましょう。

商談に向かう前に企業についてしっかりと情報を集めることはもちろん、顧客のニーズとそれに紐づく課題、なぜその課題が生まれているのかなどをしっかりと理解した上で提案方針を決めることでスムーズに商談を進めていくことができるでしょう。

また、よりスムーズに商談を進めていくためにキーマンとなる人物や決裁者と頻繁にコンタクトを取っていくことも重要です。

商談の回数を増やすことはもちろん、しっかりと顧客の抱える課題を分析し、解決策を提案していくことでキーマンとの信頼関係も構築されることでしょう。

BtoB 営業で活用できるフレームワーク

BANT

BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(需要)、Time Frame(導入時期)の頭文字をとった略語で、営業におけるフレームワークになります。

まずは顧客の予算をなるべく早い段階で確認する必要があります。顧客の予算に応じて提案方針が変更となるケースも考えられるため、提案方針を商談途中で変更しなくともいいようになるべく早い段階で確認します。

予算の確認ができたら、決裁権がどこにあるのかを確認します。決裁権がどこに属しているのか、1名なのか複数人なのかも確認しておくようにしましょう。

需要の確認も必要です。担当者レベルの要望なのか、組織や企業全体としての要望なのかによって今後のスピードに影響を及ぼす可能性があるからです。

また、どうして導入を検討しているのかを深堀していくことによって潜在的な需要や課題、その解決策に辿り着くことができます。

導入時期においては、まず希望があるのかないのかを確認します。希望がある場合には優先度が高く、ない場合にはそこまで優先度が高くないと判断することもできるでしょう。

戦略セグメンテーション

戦略セグメンテーションとは、切り口を設定し、有効なセグメントの特定とリソースを最適化する手法で、最小のリソースで最大の成果を得ることを目的としています。

上の図のように、市場環境や競合といった外的環境の分析を通じてターゲットを選定し、そのうち顧客属性をもとにセグメント分けします。

次に、自社の目標値やセグメント内の数、成長性などに基づいて優先的にアプローチするべきセグメントを決め、どれだけの時間軸・リソース・チャネルで攻めるのかを考えます。

営業戦略の立案に活用できるフレームワークは以下の記事で解説しています。戦略セグメンテーションのステップの詳細も記載しているのでご活用ください。

戦略セグメンテーションがない場合には、目的とターゲットが定まっていないということです。

つまり、営業活動自体を一貫しておこなうことが難しくなり、担当者レベルで営業スタイルが異なる属人化が生まれてしまうリスクが高まります。結果として成果にばらつきが出ることになり、売上が安定しなくなります。

また、戦略セグメンテーションがない場合には経営戦略や売上予測などを立てにくくし、経営そのものを阻害してしまうリスクもあります。

こうしたリスクを回避するためにも、しっかりと自社商材の価値と市場のニーズを分析した戦略セグメンテーションを考えることが重要です。

まとめ

今回は BtoB 営業とはという基本的な内容から、BtoC 営業との違い、BtoB 営業の特徴、成果を上げるためのポイントを解説してきました。営業担当者は成功するためのポイントを参考にし、マネジメント層は成果の出る環境を作っていくように心がけましょう。

また、今の営業活動を客観的に判断してほしいという方におすすめなのが、BotoB 営業組織レベルチェックシートになります。採用・トレーニング・ツールなどの10領域にかかる比重を設定し、各カテゴリー別のスコアを定量化することによって、より良い営業組織にするためにスコア向上のための改善策を確認することができます。

「組織の営業力を上げたい」「営業目標の未達成が続いている」という場合にはぜひ BtoB 営業組織レベルチェックシートを使用して現状の組織の問題点を可視化し、より良い営業活動をおこなう参考にしてみてください。