SFA・CRM やデータを活用し、営業組織を活性化させるデータの粒度とデータの取り方について

私は新卒で営業会社に所属してから、一貫してセールス畑に携わってきました。
また、ここ10年では広報やマーケティングにも携わり、お客様と最初の接点を持つところから、継続して関係を続けていくところまで幅広く経験してきました。

その中で、最近は営業組織改善のご相談を頂くことも増えてきました。

「営業データの活用がしたい」「営業の属人性解消の為に型化がしたい」「事業立ち上げてそんなに間もなく、売れる型がそもそも無いので売れる型を作りたい」などのご相談を多く受けます。

そういったご相談の多くを要約すると
「データを活用して、最善手と思われるプロセスで組織を動かしたい」
という内容になります。

そこで今回の記事では「データ」や「プロセス」について掘り下げていこうと思いますので、みなさまの参考になれば幸いです。

データの活用と営業プロセスには密接な関係がある

データ活用と営業プロセス型化は、一見すると違う内容に感じるかもしれませんが、どちらも結局、「営業の現場の活動を改善したい」ということに他なりません。

例えば、データを可視化(見える化)したいという場合、可視化した後、何をしたい企業が多いと思われますか?

答えは多くの場合、”営業現場のプロセスを改善したい”という話になります。

データを可視化し、データドリブンで営業のボトルネックを割り出し、例えばそれがアポ率だったら、トークマニュアルを揃えたり、ロープレを実施したりして、現場のテコ入れをやっていきたい。
つまり、営業の現場を変えていきたいという話になります。

一見すると目標に見えがちなデータの可視化や活用は、あくまでも現場の改善をする為の”手段”でしかありません。

そしてまた、プロセスの改善も、売上向上やコスト削減の”手段”でしかありません。

ということは、データ活用もプロセス構築・改善も、どちらも結局は売上向上やコスト削減の為の”手段にすぎない”ということになります。

ですので、『データの活用や営業の型化がミッション』という方がいらっしゃいましたら、ぜひ『それは何の為か?』を考え、手段と目的を取り違えないようにプロジェクトを進めていかれると良いと思います。

営業プロセスの粒度は大きく2段階ある

ネットで『営業プロセス』と検索すると良く出てくるのは

図1:(Magic Moment作成)

このような図です。

しかしながら、これはプロセスというよりどちらかと言うとフェーズと呼んだ方がしっくりくる粒度です。
この『フェーズ管理』で取るデータのほとんどは『◯月◯日にAさんがB社に電話をし、アポを獲得した』というようなデータです。

これらのデータ活用方法としては大きく2つあります。

1つ目は”報告”で、2つ目は”改善”です。

報告としての活用は、日報にそのまま使っているケースがあったり、もしくは引き継ぎ時の報告としても機能させている企業も多いのではないでしょうか。

この辺は今までの『営業日報・営業日誌』と呼ばれる昔は紙媒体に記録していたモノの代わりになっています。
どんな仕事を行ったかどうかをマネージャー以上が把握する為にあり、それ以上でもそれ以下でもありません。

もう一方の”改善”は、紙媒体から脱出しデータとして計測したことでできるようになった活用方法で、この粒度のデータからわかる事は主に2つあります。

1つが転換率で、1つがリードタイムです。

それぞれからわかることや活用方法を掘り下げていきたいと思います。

(ちなみに、すでに『リードタイム』まできちんと把握し、データとして活用していらっしゃる方がいましたら、この粒度でのデータを余すことなく活用できていると思います)

転換率からわかること

『1ヶ月間で何件リードを獲得し、何件アポを取ったか』というデータから『アポ数÷リード数』から転換率がわかります。

提案÷アポなら提案化率、受注÷提案なら受注率というように、各社で把握したいフェーズの転換率を把握することができます。

そして、そこからわかることは、”どのフェーズにテコ入れをすべきか”です。

図2:転換率・リードタイムからわかること(Magic Moment作成)

例えば、転換率をAさんBさんで比較してみたり、一般的な他社の転換率や自社の過去データと比較することで、状態の良し悪しのバロメータとなり得ます。

転換率を向上させるには

転換率を向上させるには、大きく2つの施策が考えられますが、片方はあまりオススメできません。

  1. 成果の定義を緩くする
  2. 活動の質を向上させる

施策1.成果の定義を緩くする

施策1をやってしまうと(例えばアポの定義を緩くしてしまうと)、ほとんどの場合、その後の転換率(提案化率や受注率など)が悪くなってしまいます。

「緩くする=握るべきところ/確認すべきところを飛ばしてしまうこと」なので、当然の結果です。

ただ、稀に緩くしても後工程の転換率が変わらない場合もあります。後工程を受け持つ部署やプロダクト自体が強い場合にはそういうことが起き得ます。元々の定義が強すぎた場合もあるかもしれません。そういう際には自社組織に合わせて調整すると良いかもしれません。

ただ、こういった『定義を変える』のは、前後の工程を担当する部署と連携を取りながら進めていかないと、部分的な部署最適が起こってしまい組織横断的な改善には繋がりません。

これが分業( THE MODEL )の弊害や落とし穴とも言われており、『アポ至上主義』や『受注至上主義』になってしまいます。

何でもいいからアポを獲得したり、ピンクな誇大訴求で価値を提供できないお客様に販売したり…。

取れればいい、売れればいいわけではなく、お客様に価値を提供するにはどうしたらいいかを会社全体で考えていかないと、企業として永続しません(この辺の内容は LTV 経営というテーマで弊社代表の村尾が話していますのでご参考にしてみてください)。

施策2.活動の質を向上させる

施策2をやろうとするとなると、みなさんだったらどうされますか?

一般的な手としては、商談同席や録音・録画からスタートすることが多いかと思います。

そこから、個別でフィードバックをする場合と組織として型化をする場合に分かれてくるかなと思います。

個別でフィードバックすることの良さは、フィードバックが正しければ非常に緻密で個別最適された成長を促せることにあります。

ただし、メンバーもマネージャーも時間がかかってしまいますし、メンバーがそのフィードバックを行動に反映できるかはメンバーの腕によってしまいます。また、フィードバックする側も精度が高くなければなかなか成果に繋がりません。

フィードバックだけで改善しようとすると、メンバーやマネージャーの属人的な能力によってしまい、一生属人的な組織のままになってしまいます。

そこで2番目の方法として組織としての型化があります。

よく行われている型化としては

  • 何を話すか
  • 何て話すか
  • その順番
  • ヒアリング項目

をハイパフォーマーから抜き出し、トークマニュアルやロープレに落とし込む、いわゆる”トークの型化”が一般的です。

ただ、この方法も万能ではなく一定はワークするのですが、結局は”元々センスのあるできる営業”が、確率良くできるようになるばかりで、2つの理由から肝心の2:6:2の6の人たちを底上げするに至らないケースが多いです。

1つ目の理由は、マニュアルが現場では活用されない問題です。

先日お客様から、コンサルを頼んでマニュアルを作ったのだが、一向に売上が上がらないというご相談を受けました。よく聞くと、200ページくらいあるマニュアルを作ってくれたそうですが、座学だけで終わってしまい、現場では一部しか使われない実態となってしまったそうです。確かに、現場の”行動”が変わらなければ変革は起きませんよね…。

2つ目の理由は、トークを真似したところで商談が進まない問題です。

トークを真似すると、こちらの”伝達”は少し向上します。この資料を使ってこういう風に話して…といった具合に、説明ができるようにはなります。しかし、商談は相手がいることなので、大切なのは”何を言ったか”ではなく、”相手が納得・合意をしてくれたかどうか”ですよね?

この『合意の積み重ね』が大切なことは、営業に長く携わっている方は共感いただけるのではないでしょうか。例えば、こんなことありませんか。相手の合意もなしに勝手にどんどん話を進め、『では具体的に話を進めていくということでよろしいでしょうか?』と半ば強引に進めることを決めていき、『具体的な商談になりました!』と報告してくるメンバー。こういうケースのほとんどは決まりませんよね?

他にも、『アポ獲得しました!』と言いながら、よくよく内容を聞いてみると、日程しか合意できていないケース。この場合、アポを実施しても有効な商談にならないこともままありますよね。

このように、商談は”合意”が大切なのですが、なぜか多くの型化は”トーク”で行われます

もしトークが完全に真似できたとしても、金太郎飴のような誰が話しても一言一句違わない同じような営業ばかりの組織ができあがるだけです。そうなると、もはや録画動画で済んでしまいますよね。

ただ、それではうまくいくはずもありません(実際にアポ獲得から受注まで、録音や録画動画で試したお客様もいるのですが、リードを燃やす一方でした…)。

合意の粒度で型化する

では何を型化したら良いのかというと、”合意”や”合意を取る為のタスク”です。相手の意思確認や、合意の取り方を型化すると、『その結果どうなったか』というデータが取れるようになってきます。合意を取るタスクをこなした結果、合意が取れたかがわかるようになるということです。

ここも非常に重要で、合意が取れていないとしたら、どのタスクを変えたら合意が取りやすくなるかというチューニングができるようになります。

だからこそ、フェーズの粒度ではなく、合意の粒度で型化をし、データを取る必要があるのです。

リードタイムを向上させると…

少し話を遡りますが、『フェーズ管理』により取れるデータ『◯月◯日にAさんがB社に電話をし、アポを獲得した』というデータからわかるもう一つの指標が、リードタイムです。これを向上させると具体的に何がどうよくなるでしょうか。

これには単純な話と少し深い話があります。

単純な話としては、リードタイムが2ヶ月から1ヶ月になれば、単純に今の人員で上げられる受注は倍になるということです。(市場に潤沢にターゲットがいる場合に限る)

少し深い話としては、実はリードタイムが短い方が受注率が上がりやすいということです。リードタイムが短い場合は、得てして受注率が高いケースが多くあります。

トントン拍子に話が進みそのまま受注してしまったことありませんか?そういうお客様は、『熱量が高い』ケースが多く、ほとんど意思決定をした状態で商談が始まっています。

逆に、『鉄は熱いうちに打て』という格言があるように、ズルズルと長引いたケースは熱量がもともと低かったり、リードタイムが長くなることで熱量が下がってしまうこともあります。

要するに、例えば3日返信を遅らせると失注になるリスクが高まってしまい、逆に即座にマメな対応を行ってリードタイムを最短にすることができれば、受注率は高まってくるということになります。

だからこそ、この2つの観点から、当たり前ですがリードタイムは短い方がいいということになります。

リードタイムを向上させるには

では、リードタイムを向上させるにはどうしたら良いでしょうか。

これにも方法は2つあると考えています。

  1. 両者のレスポンスを最短にする
  2. 熱量を高める(合意を取る)

施策1.両者のレスポンスを最短にする

営業側のレスポンスを早めるのは多くの組織で意識されていると思いますが、先方からのレスポンスを早めることも意識されていますでしょうか。

みなさんも営業を受けた場合に『ちゃんと検討していて前向きなんだけど忙しくて返信できてなかった、忘れてしまっていた』という経験はありませんでしょうか。

先方も同じことも十分に考えられます。

そこで有効なのが、”嫌味の無い誠意のあるマメで相手の為になるコミュニケーション”です。

これを徹底してやることで、リードタイムはもちろん、転換率も上がるのでオススメです。(よく、資料を送って返信がなかったからそのまま放置でフェードアウトという話を聞きますが、それを無くせます)

施策2.熱量を高める(合意を取る)

これも結局はコミュニケーションの質と量がポイントになります。相手にとって喜ばしい内容を伝え、相手に動いてもらう。これが相手の熱量を高める方法です。相手に動いてもらうということは、合意してもらうということです。

返信してくれた、ウェビナーに参加してくれた、費用感もタイミングも加味した上で今検討したいと言ってくれた…。

口頭の返事ももちろん合意ですが、お客様のあらゆるプラスの行動が小さな合意になり得ます。それを一つ一つ積み上げ、熱量を高めていきます。

では、具体的にどうしたらいいのか、それには相手の反応をデータで捉え、こちらの行動をタスクレベルで検証していく必要があります。どういう行動をしたら、相手がどう反応してくれたのか。この両者のデータを計測していく必要があります。

ですので、リードタイムを向上させるにも、フェーズの粒度ではなく、合意やタスクの粒度でデータを取り、型化し、調整していくことが大切になるのです。

フェーズやトークの粒度ではなく合意やタスクの粒度を基準にする

以上、ここまででデータ活用や営業プロセスの型化の話をしてきましたが、転換率もリードタイムもどちらも向上させるのにオススメしたいのは、合意やタスクの粒度でデータを取り、型化をすることです。

フェーズの粒度でもトークの粒度でもなく、合意の粒度でこれらを基準にすべてを設計することで、改善は回りだします。また、現場のメンバーも生き生きと働けます。

フェーズだけだと結局何を改善して良いかわからず、トークだと自由が効かなくなって強制されたことに対する抵抗感や嫌悪感すら生じてしまいます。

合意の粒度だと一定自由の余地がありつつも、何を改善していけば結果が変わるかが見えてきます。

本日は『フェーズやトークの粒度ではなく合意やタスクの粒度を基準にする』という話でした。最後まで長文にお付き合いいただきありがとうございました。みなさまの営業組織の参考になれば幸いです。