カスタマーヘルス測れてますか?カスタマーサクセスのために追うべき指標5選!

執筆者

SaaS ビジネスの成功に欠かせないカスタマーサクセスですが、そのメトリクスはどこまで追えているでしょうか?表面的な数値に満足していては、顧客に本質的に価値のある顧客体験を提供することはできません。そのため、本記事ではカスタマーサクセスを正確に把握するために必要なメトリクスを5つ紹介します。

米国カスタマーサクセスから見る重要メトリクス5選

1. Net MRR Churn

カスタマーサクセスの役割として「チャーンレートの減少」があります。しかし、チャーンレート(解約率)といえば、Customer Churn, MRR Churn など様々な測り方がある中で、なぜ Net MRR Churn が大切なのでしょうか。以下の式を見てみましょう。

図:Net MRR Churnの計算式(Magic Moment作成)

この式では、解約率だけではなく、プラン切り替え(アップセル、ダウンセル、休眠顧客からの復活)による MRR の変化を追うことができるのです。

例えば、1月末時点での MRR が1000万あり、2月に

  • 40万円分の解約
  • 10万円分のダウンセル
  • 80万円分のアップセル
  • 20万円分の休眠会員復活

が起こったとすると、

Net MRR Churn =(40万+10万ー80万ー20万)/1000万で、-5%の Net MRR Churn となります。

このようにアップセルやクロスセルが上手く行った月には、Net MRR Churn はマイナスになることもあります。マイナスにはならなくとも、基本的に、1%以下にキープできると「上手くいっている」と判断していいと言えます。

2. NPS (Net Promoter Score)

チャーン防止のため、必ず測るべき指標として NPS があります。NPS は顧客ロイヤルティを測る指標であり、2つの質問のみで構成されます。
1. この製品を親しい友人や同僚に勧める可能性はどのくらいですか?(0〜10点)
2. 点数の理由はなんですか?

これを測るメリットは大きく、以下、カスタマーサクセスチームが点数に応じた対応をとることで、顧客と製品の成功に繋げることができます。また、「なぜ」その点数なのかということを追求することで顧客の成功に大きく近づきます。

図:NPSの基準値(Magic Moment作成)

①10- 9: 推奨者(Promoter)にアップセル、クロスセルを打診し、ネガティブチャーンを増加
②8- 7: 中立者(Passive)を見極め、推奨者にするためのプロアクティブなアクションをとる
③6- 0: 批判者(Detractor)から製品やサービスへのフィードバックをもらい、改善に繋げる

NPS を有効なものにするため、最低でも利用開始から1ヶ月、6ヶ月、1年で計測するといいと言われています。

3. Time to Value

Time to Value は簡単に言えば「いかに早く顧客が価値を感じることができるか」ということです。オンボーディングまでの時間が最重要とも言える SaaS ビジネスモデルでは、Time to Value の改善が顧客満足に大きく影響します。例えばある企業では、「1週間以内にオンボーディングプロセスが完了した場合、80%が有料プランに切り替える」というデータがあり、これをもとにオンボーディングを計画し顧客満足を高めることができます。ただし、この指標の注意点は、プロダクトによって適切なオンボーディング期間が異なるということです。まずは十分なデータから、自社製品の適切なオンボーディング期間を見極めなければいけません。しかし、一度この適切な期間を見つければ、その後の顧客対応を計画的に進められます。

4. LTV (Life Time Value)

カスタマーサクセスチームは「長期間使ってもらうこと」「満足度を高めアップセルに持ち込むこと」にこだわります。Life Time Value はまさにそれを測る指標であり、一言で言えば「顧客が生涯どれだけの利益をもたらすか」です。以下の式で求められます。

LTV=購買単価×購買頻度×契約継続期間

図:LTVの構成要素(Magic Moment作成)

つまり、アップセルによる単価の向上、クロスセルによる購買頻度の向上、顧客満足による契約期間の延長のいずれかを高めれば LTV は高まるわけです。 また、LTV が顧客獲得・維持コストを上回ることが大切です。LTV より顧客獲得や維持のコストがかかる場合、損益上ではマイナスになってしまうからです。LTV とコストのバランスが取れない場合、LTV を高めるか、コストを見直す必要があります。

5. Custom Metrics

Custom Metrics とは自社サービスや製品独自の指標で、独自のメトリクスを上手く設定することで大幅成長に繋がった例も多数あります。例えば Linkdin では、PV ではなく「プロフィールページ訪問数」を指標としました。これは Linkdin のプロダクトまたビジネスビジョンに合わせ、顧客がどれだけ多くのプロフィールを見ることができたかにこだわった結果です。同様に、Medium では「記事のトータル閲覧時間」が指標となっています。このように、自社のビジネスに合わせた Custom Metrics を持つことが重要です。

まとめ

カスタマーサクセスチームが客観的指標を追うことで、より効率的で細やかなサービスを提供することが可能になり、チャーンレートの減少・既存顧客のアップセルに繋がります。その結果として、企業価値を最大化することができるのです。

カスタマーサクセスが効率的で細やかなサービスを提供することで、チャーンレートの減少・既存顧客のアップセルに繋がります。こうしたカスタマーサクセスが売上を生み出す組織になるために「 Magic Moment Playbook 」が選ばれています。こちらの記事では、カスタマーサクセスが成功する秘訣をご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

参考

How to track customer success: the 9 metrics you should know

What Are the Important Customer Success Metrics

LTV(Life Time Value)とは? その意味、算出方法について、わかりやすく解説 します。

「御社の独自のメトリクスは何ですか?」あるいはプロダクトのビジョン