不況・コロナによって法人営業はどう変わってしまうのか?


連日、日本でのコロナウイルス感染拡大の報道は途切れることがなく、まだまだ事態の収束は見込めない状況です。3月の内閣による月例経済報告会では、2013年から続く「回復」の文言が削除されたことからも、景気が後退していることは明らかです。

一部を除いた多くの企業は不況の煽りや、テレワークなどの導入を受け、コスト削減や従業員の働き方を見直すことを余儀なくされているのではないでしょうか。とりわけ法人営業のあり方については、オンラインで営業を完結させる必要があるため、訪問アポイントメントなどの今まで「常識」とされてきた様々な業務プロセスに対する要否が問われています。

営業職は日本で最もポピュラーな職種の一つです。2016 年の統計によると、国内労働者人口平均 6,440 万人のうち、営業職(販売従事者)は約880万人を占めています。つまり労働者数の10%以上の人が営業職として働いています。

しかし、年々その割合は減少傾向にあり、また営業不要論を謳う書籍はコロナ以前からも見受けられました。もちろん、全ての営業が不要というわけでは決してありません。

インサイドセールスなどのオンラインでの技術を活用した営業スタイルも、コロナ以前から存在していたように、無駄なプロセスを省き業務プロセスを改善して、生産性の高い組織体制を作る必要性が出てきたことは明らかです。

以下で、コロナ不況によって法人営業の「常識」はどう変化するのか、そこからわかる具体的な課題を整理していきたいと思います。

営業の「評価体制」の変化

テレワークが導入されると、コミュニケーションをとるためには意図的に web 会議を設定したりメール・チャットを活用して会話を始めなければいけません。顔の表情や実際の業務の様子などの自然に入ってくる情報を確認することができず、実際に、エンワールド・ジャパンの調査によると、「テレワークで会社の課題となっているのはどのような点か」とたずねたところ、第1位は「社員間のコミュニケーション」(外資系企業:67%、日系企業:74%)となっていた。

特に営業という職種では、実際の営業担当者(レップ)の評価において、実際にアプローチしている様子や、顧客とのとの関係性をどれだけ構築できているのかといったところの細かい部分を人事評価の基準として設定している企業も多くあります。このような評価の部分はマネージャーが実際にメンバーを見た上での主観で決まる場合も多く、これができなくなったために人事評価をしづらく感じている企業も多くなっています。

しかし、今後もコロナの収束まで、ひいてはその後もインサイドセールスなどをはじめとしたテレワークでの営業が続いていくことが予想されるため、営業の人事評価体制も見直していく必要があります。

日々の営業活動の行動量やその様子がどれだけ顧客との関係性強化に結びついているのかを引き続き評価基準として採用するのであれば、今までマネージャーの感覚で評価していたものをきちんと言語化し、SFA・CRM などをはじめとした営業支援ツールを活用してデータとしてトラッキングできる状態を作れるといいでしょう。このような評価基準の言語化をしておくことで、今後の営業担当者育成もやりやすくなります。

対面での社内会議がなくなる

社内会議は、最も見直しが必要な業務プロセスの一つです。調査によると「営業マン1,000人に、自身の業務の中で無駄に感じる業務・効率を上げたい業務について質問した」ところ、1位にランクインしたのは「社内会議」でした。言い換えると、社内会議は最もコストパフォーマンスが悪い業務と言えるでしょう。

例えば、数字報告会議は多くの営業組織で当然やるべきものとして「常識」になっていると思います。しかし、オンライン上での共有ファイルにメンバーが数字を入力し、後に上司が気になる点だけを確認するプロセスを踏めば、特に進捗に問題のないメンバーは会議の時間を別の業務に当ててもらうことができるでしょう。

また、「全員がオフィスの会議室に着席した状態」という「常識」も、業務効率を下げる要因の一つになっていると考えられます。例えば、17時からの定例会議に参加するため、わざわざアポを早めに切り上げて1時間かけて会社に戻らなければいけない、というケースを考えてください。もしも、組織でオンラインによる会議参加が許可されていれば、オフィスに戻るための1時間を商談もしくは別の業務に当てることができます。更には、商談先が家の近くであれば、直帰することで残業時間の削減にもつなげられる場合もあるでしょう。

このように、会議に対する「常識」を見直すことで業務効率は上がると考えられます。しかし、外出先での業務を実現するには、モバイル端末の貸与や情報漏洩対策等、環境をしっかりと整えた上で導入しなければいけません。

「足で稼ぐ」は必ずしも最善ではない

 「営業と言えば、足を使ってなんぼ」といった「常識」はいまだに根強く残っているように感じます。「足で稼ぐ」という言葉からもわかるように、訪問そのものが価値基準の一つとして置かれ、「訪問ノルマ1日〇件」という KPI を敷いている組織も多くあるでしょう。

しかし、訪問はコストが非常にかかる行為です。内訳として、事前準備、移動にかかる時間と費用、細かいところでは資料の印刷代やノベルティ代等が挙げられます。

また、「営業マン1,000人に、自身の業務の中で無駄に感じる業務・効率を上げたい業務について質問した」という調査によると、2位に「商談の事前準備」、3位に「商談に伴う移動時間」がランクインしました。このことから、訪問に伴う手間や時間は、組織に担当者にも大きな負担になっていることがわかります。

さらに、見込み顧客にとっても訪問は必ずしも営業の介在価値が存在するものとはみなされないようです。見込み顧客への調査により「好印象を受ける営業のポイント」について、次の項目が上位に入っていることがわかっています。

 “・プロスペクトのニーズに耳を傾けること(69%)

  ・押しつけがましくしないこと(61%)

  ・プロスペクトに当てはまる情報を提供すること(61%)

  ・すぐに対応すること(51%)”

  (https://blog.hubspot.jp/sales-statistics【2020年版】営業活動の改善に役立つ73の衝撃的な統計   データ(HubSpot)より)(※プロスペクト=見込み顧客)

上記の内容さえ満たすことができれば、ほとんどの見込み顧客は営業の介在価値を感じることができるのです。そのため、必ずしも訪問という手法をとる必要がないということがわかります。

見込み顧客にとっての価値になっておらず、営業にとってもコストであるならば、そのプロセスは見直す余地があります。現在、オンラインで営業を完結させられるインサイドセールスの需要はコロナ感染拡大を受けて需要が高まっています。オンライン完結型の営業で、訪問にかかるコストを削除できることは見込み顧客と営業の双方にメリットがあるようです。

ただし、インサイドセールスのように、直接顔を合わせずに受注につなげることに抵抗感を持つ担当者は一定数いると予想されます。さらにはある程度経験を積んだ営業担当者ならば、「飛び込みによる新規顧客獲得が得意」「訪問先で雑談を交えながらの関係性構築には自信がある」等、訪問による営業スタイルを得意としている方も多いでしょう。組織全体で営業プロセスの「常識」を今一度見直し、訪問だけに頼らない柔軟な手法を定着させていくことが課題となるでしょう。

顧客管理の重要性は一層高まる 

顧客管理は、効率的に売上を構築するためには外すことができない重要なファクターです。「営業担当者が実際に見込み顧客と話をしている時間は、1日の3分の1にすぎない」というデータからもわかる通り、顧客とコンタクトを取れる時間は想像以上に限られています。見込みが薄い見込み顧客に何度もアプローチし続けると、貴重なリソースを無駄に使うことになりコストパフォーマンスが悪いと言えるでしょう。

逆に、受注に繋がる見込みが高い見込み顧客に対してアプローチ漏れが発生すると、獲得の機会を失うだけではなく、見込み顧客との信頼関係も失うことになりかねません。つまり、受注の可能性が高い見込み顧客とそうではない見込み顧客を常に整理し、適切なアプローチをかけ続けることが最大のパフォーマンスを発揮する鍵といえるのです。

しかし、有望な見込み顧客の見極めに膨大な時間をかけるばかりでアプローチする時間を増やすことができなければ本末転倒です。現在は顧客管理をサポートしてくれる SFA/CRM や訪問なしで効率的なリード獲得を実現するインサイドセールスなどの手法が発達しています。それらのツールや手法を効果的に使用することが大切です。

ただし、新しいツールや手法を導入する際には多かれ少なかれ現場の混乱と反発が予想されます。せっかく初期投資をしても軌道に乗らずにプロジェクトが台無しになってはそれこそ大きな無駄となってしまいます。現場ができるだけスムーズに動くよう、サポート体制の整備や自社に合ったサービス選定が課題となるでしょう。

まとめ

 今までの内容をまとめると以下のようになります。

 ・訪問営業に頼る営業方法は見直されていく

 ・従来の社内会議は最も効率が悪い業務プロセスであり、見直しが進められる

 ・効率的なアプローチのための顧客管理の重要性が増してくる

 多くの企業が取り組まなければと意識していたであろう業務効率化・コスト削減と、デジタル化への対応は新型コロナウイルス不況によって急速に推し進めなければいけないミッションへと変化しました。とりわけ法人営業の業務プロセスに焦点を当ててみると、ツールの活用やインサイドセールスなどの手法によって、かつては大前提とされていた手法もより効率的なものに置き換えることが可能です。コロナ以前はなかなか手付かずだった課題を解決し、より生産性の高い組織作りに取り組むべき時がきたのかもしれません。

ツールや、組織設計を適切に活用して、営業組織の生産性を上げるためには、まず自社の組織は今どの点に課題を抱えているのかを把握し、効率的に課題解決を進めていく必要があります。Magic Moment では、生産性の高い営業組織づくりを目指す皆様に向けて、成果を出せる営業組織の条件をどれだけ満たせているか、10個の観点から診断できる「BtoB 営業組織レベルチェックシート」を無料で配布しております。ぜひご活用ください。

 また、本記事をお読みになり「具体的な対策を知りたい」と思った方は、コスト削減が求められる営業組織に役立つ4つの施策」をお読みください。

コスト削減が求められる営業組織に役立つ4つの施策

参考文献

“忖度景気判断”がコロナで大幅下方修正、「回復」文言削除の衝撃度(DIAMOND ONLINE)

https://diamond.jp/articles/-/232991

転職状況と就労人口について(営業職編)(ミイダスマガジン)

https://miidas.jp/magazine/articles/question/eigyo-syuroujinkou

【2020年版】営業活動の改善に役立つ73の衝撃的な統計データ(HubSpot)

https://blog.hubspot.jp/sales-statistics

営業マンの平均残業時間は?年齢・年収・家族構成別の調査結果を公開(Sales Tech Hub)

https://sth.bell-face.com/sales-knowledge/overtime/

コロナと共にある時代、マーケティングが考慮すべき5つの視点【藤原義昭】(Agenda Note)

https://agenda-note.com/brands/detail/id=2809&pno=2

オンラインセールスを始めるにあたって、まず最初にやるべきことは?(西山 直樹@bellFace)

https://note.com/naoki_nishiyama/n/n0331c99c1c72

プロスペクトの価値を見極めるための26の営業質問(HubSpot)

https://blog.hubspot.jp/qualifying-questions-prospects