失敗しない セールス BPO の選び方

執筆者
要約SUMMARY
  • 人材不足の深刻化・人材流出リスクの増加を背景に営業人材の確保・生産性向上の重要性が向上
  • その結果として、流動的で即時利用可能なリソースとして BPO のニーズが高まっている
  • セールス BPO を選ぶ際は、自社の営業課題・ニーズに沿ってポイントを押さえた選定が重要

近年、営業における人手不足や人材流動性の加速により、セールス BPO(Business Process Outsourcing)への需要が高まっています。BPO を活用することで、営業人材の確保や営業生産性の向上を実現できるとして、多くの企業が関心を寄せています。

本記事では、セールス BPO の必要性が高まる背景とトレンドを探りつつ、失敗しない BPO の選び方に焦点を当て、「自社の要件に合わせてどのように BPO を選べば良いのか」「何に注意すべきか」を解説します。

セールス BPO の必要性が高まる背景

営業人材の人手不足が顕在化

近年、営業の人材不足が深刻化しています。これには複数の要因が絡んでいますが、最初に挙げられるのは生産年齢人口の減少です。少子高齢化が進み、若年層の人口が減少しているため、企業が必要な営業人材を確保することが困難になっています。

実際に、エン・ジャパンの発表している 「2022年 企業の人材不足実態調査」1) によると、約3割の企業は営業職が不足していると回答しています。営業の適性や能力を事前に正確に評価することは難しく、採用には高いリスクが伴うこともその背景にあります。

図1.営業人材を中心に人手不足が顕在化

人材の流動性が加速し人材流出のリスク増

近年、副業サイトやマッチングプラットホームなどの登場により、働き方は多様化しています。終身雇用の考え方は古くなりつつあり、スキルアップやキャリアアップを求めて転職をすることも以前と比較して一般的となってきています。

人材の流動性が加速した結果、人材流出のリスクは高まり、優秀な人材を長期間確保することは難しさを増しています。

図2.人材の流動性が加速し人材流出のリスク増

採用・育成の代替案としての BPO 市場の拡大

このような営業を取り巻く環境の変化によって、営業人材の採用・育成と維持におけるコストが高まっています。優秀な人材を採用しても、その後の育成期間を経て、成果を出し始めたタイミングで転職されると、企業はコストを無駄にすることになります。

また、VUCA(不確実性、複雑性、曖昧性、変動性)の時代においては、社内で専門人材を採用することも難しくなってきています。そのため営業に限らず、採用・育成の代替案として、即戦力の流動的な人材を提供する BPO サービスを検討する企業は増えています。

セールス BPO 領域におけるプレイヤーの乱立

セールス BPO の領域においては、営業コンサルティングや営業代行会社が多く存在しています。さらに、大手のコールセンターでインサイドセールス代行や BPO に取り組んでいるケースや、副業人材のマッチングプラットホームでも営業の業務委託ができるサービスもあります。

このように多様なプレイヤーがセールス BPO 市場に参入している中で、企業はどのように適切な BPO パートナーを選定していくと良いのでしょうか?ここからは失敗しない BPO の選び方について解説していきます。

図3.セールス BPO 領域におけるプレイヤーの乱立

失敗しない BPO の選び方

解決したい営業課題は何か?

失敗しない BPO の選び方について考える前に、まず自社がどのような課題を解決したいのかを明確にする必要があります。「商談数が足りない」「見込み顧客への対応が間に合わない」「営業経験者が不在で自社にノウハウがない」「再現性のあるプロセスが確率できない」など、自社の抱える課題に合わせて BPO を選択することが選定で失敗しない第一歩となります。

一般的には、BPO を導入する企業の目的は、営業のリソース拡充とノウハウの習得の2つに大別できます。営業リソース拡充の場合は、アポイントの獲得や商談実施の代行、またはコールスクリプトの作成などの営業業務の一部をアウトソースすることが必要でしょう。一方、ノウハウ習得においては、営業戦略の設計からプロセス・オペレーション設計、人材育成の研修を BPO に委託することで、営業部門全体の強化を図ることができます。

図4.セールス BPO の選び方

セールス BPO の選定におけるよくある失敗:営業代行会社のケース(営業リソースの拡充が目的)

KPIのアポ数ばかりに集中するので、商談の質が下がる

営業リソースの拡充を目的として営業代行会社に依頼した際によくある失敗例として、KPI(Key Performance Indicator)として契約したアポ数ばかりに集中し、商談の質が低下してしまうケースが挙げられます。

営業代行会社にアポイント取得を委託した場合、アポイントを増やすことに重点を置きすぎてしまうことがあります。「アポイントを取得しやすい顧客=受注に繋がる or 受注単価が高い」ではないため、アポイントが取りやすい領域にばかりに集中することで、受注率が低下してしまうことがあります。

無駄なアポイントが増えることで商談担当の時間が逼迫されて、フォロー漏れが発生することで、本来は売り上げを伸ばすための施策が逆効果になることも考えられます。

メンバーチェンジが多く起き、数字が伸びない

メンバーチェンジが頻繁に起こり、成果が伸び悩むこともあります。営業代行会社が契約社員や派遣社員を多く利用している場合、短期間でアサイン変更が多発することで、ノウハウが蓄積されず成果が出にくくなることがあります。

成果報酬型であっても、生産性にばらつきがでる結果、質の低い商談が多く受注につながらないと、営業の対応工数が逼迫し、ROI が悪化してしまう可能性があります。

失敗しない セールス BPO の選び方:営業代行会社のケース

ポイント①受注確度の高い商談数が増えるか

まず、受注確度の高い商談数がどれだけ増えるかを見極める必要があります。KPI を受注から逆算して設定し、有効商談数や受注件数にどのような影響を与えたかを把握することが重要です。

一人当たりの活動量やアポイント数だけではなく、「有効商談率や受注率はどれくらいですか?」といった質問をした際に、迅速に回答できる営業代行会社であれば、実際の運用において受注まで意識したアポイント獲得をされていると判断できるでしょう。

図5.有効商談率の受注件数への影響

ポイント②アポ打診だけでなくナーチャリングや関係構築も担えるか

次に、顧客状況に応じてアポ打診だけでなく、ナーチャリングや関係構築も担えるかを考慮しましょう。アポイント取得を代行する際には、ただアポを獲得するだけでなく、顧客の本来のニーズや課題の深掘りを行い、顧客体験の向上にも努める必要があります。アポイントまでの中間指標を設定し、顧客の状況に合わせた調整が行えるかも重要なポイントとなります。

図6.アポ獲得までの中間指標の有無

ポイント③稼働人材のスキルレベルが担保されているか

さらに、稼働人材のスキルレベルが担保されているかを確認することも大切です。雇用形態にかかわらず、成果が一定担保され、ノウハウが蓄積されて改善されるプロセスが確立されていることが理想です。

「どのようなトレーニングを実施しているのか」「採用・育成においてどういったポイントを重視しているのか」といった体制などをチェックし、スキルレベルの担保が行われているかを確認すると良いでしょう。

図7.教育体制と内容が明示されているか

ポイント④営業活動の進捗状況が把握できるか

最後に、営業活動の進捗状況を把握できるかも重要なポイントです。SFA やCRM などのシステムを利用し、営業活動の情報を記録・可視化できることが望ましいです。

営業代行会社がアポイント取得までに顧客とどのようなコミュニケーションをとっているのか、顧客は商談当日にどのような期待をもっているのかによって、商談実施側の事前準備や当日の振る舞い方が変わります。そのため、アポイント取得の経緯やコミュニケーション内容の開示が可能かをチェックすると良いでしょう。

図8.コミュニケーション内容を Magic Moment Playbook で確認

セールス BPO 選定におけるよくある失敗:営業コンサルのケース(ノウハウ習得が目的)

営業コンサルは理路整然とした営業プロセスやオペレーションの設計が得意です。しかし、実際に現場でこれらを実行しようとすると、戦略設計が机上の空論に過ぎず、営業現場に即していない場合があります。

また営業プロセスをマニュアル化することができても、細かすぎて営業が実際に実行するのが難しい場合があります。実際にトップセールスの振る舞いや行動をスプレットシートにまとめてもらったとしても、その項目を実行に移すことが困難だと、結局 ROI が悪化してしまいます。

失敗しない セールス BPO の選び方:営業コンサルのケース

ポイント①ノウハウが実行可能な形で提供されるか

営業活動においては、現場の実情やメンバーのスキル・経験値を考慮する必要があるため、営業コンサルが設計したノウハウやマテリアルが実行可能な状態になっているかを確認する必要があります。

トークスクリプトやメールテンプレにおいても、実際に現場メンバーが実行するためのフォローアップやトレーニングまで提供されているかチェックすると良いでしょう。

ポイント②営業プロセスの設計だけでなく現場に即した改善まで担ってくれるか

また、プロセスの設計だけでなく、現場に即した改善まで担ってもらえるかも重要です。営業戦略やプロセスは設計段階では優れていても、実際に現場で活動していくと適切ではなく修正が必要となることが多々あります。

設計後の改善フォローアップを行い、現場に即した修正や調整を行うことは不可欠です。そのため、営業コンサルによって、設計後の改善フォローはどの程度の期間で行われるのかを確認することが重要となります。

セールス BPO を選ぶ前に:立ち止まって考える、本当に大事なのは?

営業代行会社やセールス BPO を選定する前に、まず自社の状況を振り返ることが何よりも重要です。

そもそも、売上拡大を実現するためには、営業組織において、プロセス・人・テクノロジーの3つが揃っていることが非常に重要な要素となります。

図9.営業組織の出力を決める構成要素

まず社内で、成果に繋がるプロセスが確立されているかを考慮する必要があります。もしプロセスが整っていなければ、人的リソースを増やしても成果が上がらない可能性があります。その場合、自社でプロセスを構築できるか、それとも外部に依頼するかを検討する必要があります。

また、プロセスに沿って実行できる人材が社内にいるか、それとも選んだ代行会社にそのスキルが備わっているかも見極める必要があります。

さらに、プロセスに基づいて営業活動を行ったデータを蓄積し、分析してインサイトを抽出する仕組みが整っているかも重要な点です。効率化の観点で、人が担わなくてよい作業を自動化して生産性を向上させるテクノロジーの存在も重要なポイントです。

プロセス・人・テクノロジーの3点を見直し、自社の現状と課題を把握した上で必要なアウトソースや選定のポイントを押さえた上で、セールス BPO を選択することで、成果に繋がる適切なパートナーを選択することができるでしょう。

ここまで本記事では、セールス BPO の選定をするときに気をつけたいポイントについて解説しました。また以下の資料では、営業リソースの拡充を目的としたセールス BPO を選ぶ際に役立つ22の項目を、チェックリスト形式でご提供しています。ぜひダウンロードして活用してください。

Customer Success BPO(CS BPO)

図10.Customer Success BPO

弊社では、Customer Success BPO(CS BPO)として、プロセス・人・テクノロジーを揃えたセールス BPO サービスを提供しています。

CS BPO では、短期的な成果創出だけでなく、長期的な競争力の実現を重要視しています。そのため、プロセスと人をしっかりと切り分け、継続的な成果創出を実現する仕組みを提供しています。社内でプロセスを確立し、再現性のある成果を創出できるようサポートしています。

CS BPO の特徴

CS BPO は、営業活動支援の SaaS ソリューションである Magic Moment Playbook を活動のベースとしています。Magic Moment Playbook を活用することで、営業活動をリアルタイムで確認可能とし、営業プロセスの実行や改善まで一緒に実行する仕組み/成果創出のオペレーションを構築・提供しています。

図11.Magic Moment Playbook でリアルタイムで正確な情報を確認可能

また、CS BPO では、質の高い専門人材を提供するため、人材の厳選と育成にも重点を置いています。成果にこだわった人材が、短期的な成果だけでなく、中長期的な視点でのナーチャリングやニーズ醸成にも重点を置いて営業活動を行います。営業活動では、見込み顧客の状態に応じて適切なコミュニケーションを行い、顧客体験の向上を図っています。

CS BPO が作成したトークスクリプトやメールテンプレートは、お客様の組織で活用できるため、将来的な内製化を強化したいお客様にも大変役立つサービスとなっています。

図12.CS BPO の作成するトークスクリプトやテンプレート

セールス BPO にご関心をお持ちの方は、効果的な成果を短時間で実現可能な CS BPO について お問い合わせフォーム からご相談ください。貴社の状況に応じた最適な導入プランをご提案いたします。

図13.CS BPO の経済合理性

CS BPO サービスサイト:https://lp.magicmoment.jp/cs-bpo
資料請求:https://lp.magicmoment.jp/customer-success-bpo-document
導入事例:https://www.magicmoment.jp/academy/category/case/

《参考》

1エン・ジャパン, “2022年「企業の人材不足」実態調査―人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケート”, https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29824.html (参照 2023-7-21)