
新人を短期間で”売れる営業マン”に育てる4つのポイント
- 営業担当者ごとの営業スキルのばらつきを防ぐには、背中を見て学ぶ運用からの脱却と、個人の主体性に成果へのアクティビティを委ねることを前提とした運用からの脱却が必要である
- 新人営業マンが短期間でスキルを身につけるには、①短期集中の座学 + 実戦トレーニング、②活動量を増やす、③営業担当者が増えるほど知見が蓄積する、④「合意形成」と「全体最適」に着目するの4つのポイントが重要
- Sales Engagement Tool( SET )の目的は、既存の MA ・ SFA ・ CRM ツールで扱っている顧客データを活用して、オペレーションの効率化と組織営業力を強化すること
- Sales Engagement Tool( SET )でのデータ入力文化を根付かせることができれば、マネジメントに対して信頼性の高いレポートの提供でき、結果として営業プロセスの確立につながる。
どのような企業であっても、営業担当者のスキルは売上に直結するため育成は重要な要素となりますが、新人営業マンの育成方法について体系的なプロセスを構築できている企業は多くありません。
実際にブレーンバディ社が新規の法人営業経験のある会社員220名を対象おこなった「セールス組織に関する調査」では、営業の育成に関する課題として
- 「新人営業の育成は先輩営業のやり方に一任しており、内容にばらつきがある」
- 「体系的な教育する人が充分にいない」
が上位2位となっています。
また、新人営業の育成に限らず、スキルに関する課題として
- 「人によって営業スキルにばらつきがある」
ことを挙げた人が最も多くなっています。
出典:「セールス・イネーブルメント」の認知度は50%以上 「必要」は7割超え/ブレーンバディ調査
少数精鋭で行っている間は問題になりずらいですが、組織が拡大する中で新人営業を早く育成できずスキルにばらつきがある状況を放置すると、属人化・ブラックボックス化に繋がり、事業拡大のボトルネックとなってしまいます。
そこで、本記事では新人営業の育成における課題と、新人営業の育成を短期間で体系的に実施するための4つのポイントを解説します。
営業組織で見られる人材育成・新人研修の課題
営業組織で見られる人材育成・新人研修の課題の背景には、人材育成の制度が不十分であることに加え、近年のプロダクトやコミュニケーションの変化があり、これらが営業スキルのばらつきを加速する原因となっています。
営業スキルのばらつきが生まれる背景
営業スキルのばらつきが生まれる背景には、
- OJTという名の丸投げ
- プロダクトの複雑化
- コミュニケーションの希薄化
の3つの要因が挙げられます。
新人の育成ができず営業スキルのばらつきが生まれる背景
営業スキルのばらつきが生まれる背景には、
- OJTという名の丸投げ
- プロダクトの複雑化
- コミュニケーションの希薄化
の3つの要因が挙げられます。
新人育成でのOJTという名の丸投げ
日本では、入社時の新人研修は数日から数週間をかけてしっかりと行われますが、その一方で実務に関わることは現場での経験任せになっています。
営業力に焦点を当てたスキルアップのための研修が存在していません。
扱うプロダクトの複雑化
近年では製品を販売する営業スタイルから、インサイト営業へと変わってきています。顧客の隠れた課題を見つけ、その課題を解決するような製品・サービスを提案する営業手法では、以前の営業スタイルと比べて、求められる知識やスキルの幅、提案方法も異なります。
また、技術革新のスピードが早まったことで、商材が複雑化し、営業担当者に必要な能力が高まっています。
新人に限らず、営業組織全体におけるコミュニケーションの希薄化
働き方改革によるフレックスタイム制やリモートワークの導入により、就労スタイルや雇用形態が変化したことで、以前よりも上司・部下、先輩後輩の関係の希薄化とノウハウの断絶が起こりやすい環境になっています。
特に社内コミュニケーションが対面でなくオンラインでのやり取りとなり、この傾向はより顕著になりました。
新人育成失敗やスキルのばらつきにより引き起こされる問題
営業スキルのばらつきにより引き起こされる問題には、
- 営業活動の属人化・ブラックボックス化
- マネジメントコストの増加
- 継続的な事業拡大を阻むボトルネック
の3つが挙げられます。
営業活動の属人化・ブラックボックス化
営業スキルにばらつきがあるというのは、営業担当者の間でノウハウが共有されていない状況です。各営業担当者がスキルや案件状況の共有をせずに独自の方法で営業を行っていると、案件の状態も共有されずらく、売上予測などの事業予測が立てにくくなります。
また個々で営業活動をする文化が浸透していると、営業担当者の営業スキルの把握すらままならない状況になりがちです。
マネジメントコストの増加
営業スキルにばらつきがあると、個々の営業担当者に合わせたマネジメントやコーチングが必要になり、マネジメントコストの増加に繋がります。
また担当案件の割り振りによって、案件の成果が左右されてしまうというリスクにも直結します。
継続的な事業拡大を阻むボトルネック
明確な売上予測ができないと、営業への投資に対してどれだけのリターンが得られるのかといった事業拡大の戦略を立てるのも困難になります。曖昧な売上予測の算出が原因で、結果として投資が事業拡大につながらないリスクもあります。
共通する課題
営業スキルのばらつきが生まれる背景に共通して言えるのは、
- 背中を見て学ぶようなOJTのみの運用からの脱却
- 組織、個人の主体性に成果へのアクティビティを委ねることを前提とした運用からの脱却
が重要であることです。
営業人材育成の基本的なステップ
人材育成の大前提として、営業に必要な戦闘力を定量的・定性的に測定できていることが重要となります。
チーム目標達成のためにどれだけの戦闘力(ケイパビリティ)が必要なのか把握できていないということは、目標達成が営業担当者個人のスキルや経験に大きく依存したチームになっていることを示唆します。
以下では、営業に必要な戦闘力を把握した上で、担当者の営業力改善に繋げるための5ステップをご紹介します。
- 営業オペレーションの可視化
売上増加・拡大に必要な業務に段階を設定します。移行率やスピードを測定します。
例:受注率・解約率・商談期間
- 各営業担当者の成果の可視化
営業担当者ごとの移行率や移行スピードを測定します。
- 理想的な営業担当者の特徴の抽出
移行率や移行スピードが上位の営業担当者の行動の特徴と、必要な活動量を言語化します。
- スキルレベルの可視化
営業担当者にどの水準のスキルを求めるのかを定め、可視化します。
- 育成プロセスの改善
上位の営業担当者の行動に近づけるためのトレーニングを設計・運用しながら改善を加えます。
チームとしてどの部分のケイパビリティが不足しているのかを把握した上で人材育成プロセスを回すと、人材のミスマッチや早期退職、ランプアップの長期化などのリスク低下にも繋がります。
詳しいステップの詳細はこちらの e-book で紹介しています。ぜひ営業組織の人材育成プロセスの改善にご活用ください。
新人営業マンが短期間で”売れるスキル”を身につけるための4つのポイント
新人営業マンが短期間で”売れるスキル”を身につけるための4つのポイントとして
- 短期集中の座学 + 実戦トレーニング(架電)は効果的である
- 活動量は成果と比例する重要な指標である
- 人数が増えるほど知見が乗数的に蓄積し、オンボードが容易になる
- 営業活動の記録と示唆出しが要諦であり、合意形成に着目すべき
を挙げられます。それぞれについて解説していきます。
- 新人営業マンの育成において短期集中の座学 + 実戦トレーニング(架電)は効果的
短期間でトップセールスを育てたい場合、短期集中で体系的な知識を学んだ後、実践トレーニングを積む方法が最も効果的です。
新人営業担当者の不安や怖さを取り除くために、見込み顧客との合意・ヒアリングすべき項目やその際のトーク例などを新人営業担当者がいつでも参照できる形で用意しておくことが重要です。
また、メンバーの営業の質を揃えていくためにも、営業活動の評価項目を策定しておきましょう。「 A の時期までに B の評価を取れること」を新人の目標とし、評価項目はなるべく定量的にします。
- 新人営業マンの育成ではトレーニング下、活動量は成果と比例する重要な指標
トレーニング期間では、活動量が増えるほど望ましいと言えます。
活動量を増やすことのメリットとして
- 経験が増えて打率が高まる
- 打率の低さを打席数でカバーできる
点が挙げられます。
質も大事ですが、トレーニング初期では量を多くこなして、より多くの見込み顧客と話すことにより、共通項となりうる課題や解決策のパターンを掴むことができます。
また新人営業担当者の打率の低さを、量をこなす打席数でカバーできるようになり、成果を早く出すことにつながります。
- 新人が加わり、人数が増えるほど知見が乗数的に蓄積し、オンボードが容易に
営業人員を増やすほど、1人あたりの生産性が上がります。
どんな営業トークが見込み顧客にささったのか、どんな業界があたりやすいか、といった情報をスクリプトなどに落として営業部全体で改善することで、新しく入ってきた人でも、すぐにキャッチアップできる環境を作ることができます。
また、営業人員が多いほど、短期間で検証数を増やすことができるメリットもあります。
検証に必要なサンプルが100件あるとき、20件/人当たれるとすると、1人だと5日間かかかりますが、5人いれば1日で終わらせることができます。
- 新人育成の過程では、活動の記録と示唆出しが要諦であり、合意形成に着目
優れた営業組織では、「アポ数」などの表面的な数値だけを切り取るだけではなく、「合意形成」と「全体最適」に着目して営業組織全体での営業成績を向上させています。
全体最適というのは、例えば以下の図を見てみると、アポ数だけに着目していれば、一見田中さんの評価が高くなるものの、LTV の観点でいうと山田さんのほうが生産性の高い真のトップセールスである、というように全体を俯瞰して最適化することです。
しかし、山田さんの獲得した顧客の LTV が高いという結果やアポイントの数を見ても、なぜ山田さんが結果を生み出せているのかはわかりません。
そこで、例えば「予算を聞いているか」「決裁者を確認できているか」というような山田さんのアクションを細分化して
- 見込み顧客からどのような流れで何を聞けているのか
- それがどのような影響を及ぼしているのか
のデータを取得していくことで、トップセールスである山田さんの行動を分析します。
このように、他の営業担当者でも再現可能なトップセールスの営業手法を具体的なアクションの要素から共有し、営業組織全体で合意形成を行います。
新入社員の即戦力化に役立つツール
最後に、新入社員の即戦力化に役立つツールをご紹介します。
既存のSFA/CRMの課題
営業記録の徹底は難しいのが現実です。HubSpot の「 Why Your Sales Reps Hate CRM Software 」の記事によると、
- 営業担当者の88% が不正確なデータを SFA/CRM に入力している
- 営業担当者の69% が指定の SFA/CRM 以外で顧客データを管理している
- 営業担当者の62% が全ての営業活動を SFA/CRM に入力できていない
という結果が出ています。
これは、過半数の営業担当者が営業記録を正しく入力できておらず、結果としてCRMが十分に活用されていないことを意味しています。
SFA/CRM がマネジメントのためのツールと化しているため、現場の営業担当者にとっては「入力する手間>得られる価値」という状態が多くなっているのが現実で、既存のSFA/CRM でデータの入力・加工・分析を行うには大きなコストがかかります。
SFA/CRM データの入力・加工・分析を行うためには、
- 営業オペレーション担当者がツールとオペレーションの状況をモニタリングして最適化する
- データサイエンティストが各種データを補正・統合・分析する
- エバンジェリストが組織内にデータ入力文化を醸成させる
- 責任者が即時性・正確性・網羅性を持って、複数のツールにデータを入力する
といった取り組みを組織的に行う必要があります。
これらの取り組みを既存の SFA/CRM を活用して実現するためには、営業担当者1名あたり年額150万円を超える
- ツール利用料:年額120,000円〜240,000円/営業担当者
- 導入コンサルティングエンジニアリング:年額5748,00円〜1,149,600円/営業担当者
- 営業のデータ入力工数:年額10,000,000円/営業担当者
という大きなコストがかかります。
既存の SFA/CRM の活用ではデータが分断され、データの入力・加工・分析に膨大なコストが必要であるという課題に対して、これらのデータを一本につなぎ、そのデータをもとに営業担当者に今すべきアクションというのを提示してくれるテクノロジーとして、Sales Engagement Tool( SET ) が登場しています。
国内外の先進企業では、これまで困難だったデータの入力・加工・分析を SET で実現しようとする動きが見られます。
既存の SFA/CRM がマネジメント向けのツールになっているのに対して、Sales Engagement Tool( SET )は営業担当者のためのツールになっているのが特徴です。
セールス・エンゲージメント・テクノロジーの活用
既存の SFA/CRM が抱える課題を解決する方法として、国内外で Sales Engagement Tool( SET )の活用が進んできます。
代表的なツールに
- Outreach
- SalesLoft
- groove
- MAGIC MOMENT PLAYBOOK
が挙げられます。
目的
Sales Engagement Tool( SET )の目的は、既存の MA・SFA・CRM ツールで扱っている顧客データを活用して、オペレーションの効率化と組織営業力を強化することです。
理想の状態
Sales Engagement Tool( SET )導入後に
- 既存の SFA/CRM ツールへのデータ記録の自動化と効率化
- 顧客データを活用による、顧客コミュニケーションを効率化
- 営業における組織力の可視化と、改善へのインサイト導出
を実現できているのが目指すべき理想の状態です。
よくある失敗例
しかし Sales Engagement Tool( SET )導入時のよくある失敗例として、
- そもそも CRM に顧客データが活用可能な形で入力されていない
- CRM と SET の連携がうまくいかない
- 営業シナリオ( Playbook)の自社策定が困難
ということが挙げられます。
導入/運用におけるポイント
Sales Engagement Tool( SET )の導入・運用においては
- 現状のオペレーションや利用するツールとの連携性を担保すること(特に CRM やコミュニケーションツール)
- 自社の営業プロセスの確立と、営業活動におけるベストプラクティスの抽出
がポイントとなります。
Sales Engagement Tool( SET )でデータ入力文化を根付かせる
Sales Engagement Tool( SET )でのデータ入力文化を根付かせることができれば、
現場担当者は、即時性・正確性・網羅性を持って SET へのデータ入力を行います。
入力されたデータを基に、SET が作るレポートを踏まえ、営業責任者は営業オペレーションを最適化します。
SET が UI/UX を提供し行動支援を行うことで、データ入力文化を構築します。
SET が各種システムと連携してデータ構築と活用を支援します。
SET が構造化された営業データを分析し、インサイトをマネジメントにレポートします。
まとめ
- 営業担当者ごとの営業スキルのばらつきを防ぐには、背中を見て学ぶ運用からの脱却と、個人の主体性に成果へのアクティビティを委ねることを前提とした運用からの脱却が必要である
- 新人営業マンが短期間でスキルを身につけるには、①短期集中の座学 + 実戦トレーニング、②活動量を増やす、③営業担当者が増えるほど知見が蓄積する、④「合意形成」と「全体最適」に着目するの4つのポイントが重要
- Sales Engagement Tool( SET )の目的は、既存の MA・SFA・CRM ツールで扱っている顧客データを活用して、オペレーションの効率化と組織営業力を強化すること
- Sales Engagement Tool( SET )でのデータ入力文化を根付かせることができれば、マネジメントに対して信頼性の高いレポートの提供でき、結果として営業プロセスの確立につながる
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①多くの企業が直面しているCRMおよびそのデータ活用の実態について知る
②上記課題を解決する最先端テクノロジーの概要と効用について理解する
ぜひ営業人材育成プロセスのための営業ツール活用の見直しの際にご活用くださいませ。
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