【営業改革】セールスイネーブルメントで使える12のKPI

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セールスイネーブルメントとはアメリカで生まれ、日本でも注目されている概念です。会社の営業部門に導入したいと考えている方もいるのではないでしょうか。この記事ではセールスイネーブルメントとは何かという解説と、効果的な KPI 設定例を12個紹介します。

セールスイネーブルメントとは

セールスイネーブルメントとは、これまでバラバラの部署で取り組んできたさまざまな営業活動を、トータルで管理するための取り組みやツールのことを指します。

セールスイネーブルメントの柱には

  • 営業の管理や分析をおこなうセールツコンテンツの拡充
  • 営業担当者のトレーニングの実施

などがあります。

それぞれの営業活動の成果をセールスコンテンツによって分析し、営業の現場レベルに営業ノウハウやスキルのトレーニングを行い、営業効果を高めていくことができるのです。そのため、セールスイネーブルメントには、適切な分析をおこなうための成果や目標の数値化が不可欠といえます。

こちらの記事で、セールスイネーブルメントを実行するための7つのポイントを解説しています。

なぜセールスイネーブルメントにKPI設定が重要なのか

KPI とは日本語で「重要業績評価指標」を意味するビジネス用語です。取り組む業務が、あらかじめ設定した指標を上回っていたら成功、下回ると改善が必要というように、ビジネスにおいて客観的な判断の支柱になります。

KPI のポイントは、一つ一つの業務を主観的な感覚ではなく、定量的な数値で評価するということです。これにより、業務の成果が数値化されるため、どの業務を改善する必要があるかがわかります。社内の課題を可視化して全体で共有することができるのが KPI を設定するメリットです。

また KPI を設定するにあたり、業務の最終目標に到達する前の中間目標を細かく設定していくことは大切です。KPIを設定することで、やるべきタスクが明確になり、個々の役割分担もはっきりさせることができます。目標に到達した場合もしなかった場合も、数値の振り返りができるので、達成しなかった場合にも原因を分析して次の対策を練ることができます。

セールスイネーブルメントにおいて KPI を設定する場合には、どの営業活動にどのような中間目標を立て、どの程度達成したかを数値化することが必要です。営業活動を客観的な指標をもとに改善していくためには、KPI 設定が欠かせないといえるでしょう。

セールスイネーブルメントの12のKPI例

ここでは、セールスイネーブルメントの KPI 設定で効果的な例を12例を挙げて説明します。

1. 商談から成約までの平均期間

商談から成約までに日数がかかりすぎていると、一件に費やす時間が増え非効率的です。その平均期間を数値化することで、商談から成約までのサイクルを早め、コストを削減することができます。

2. 案件の取引段階ごとの平均時間

営業活動の各段階において、どの取引段階に時間がかかっているのかを把握することで、営業の段階に応じた問題点を特定するのに役立ちます。商談が停滞する期間を把握することで、改善の対策を打つことが可能です。

3. 営業案件数

営業マン一人ひとりの抱えている案件数を把握することで、個人の抱える案件が多すぎるのか、少なすぎるのかを知ることができます。一人に対して多すぎると対応に不備が出る可能性があり、少なすぎると特定の営業マンに仕事がない状態になり、いずれも非効率です。

4. 成約を見込める訪問件数

顧客獲得のための訪問件数の把握は当然ですが、その件数が、成約につながる訪問になっているかの検証が必要です。単に件数だけでなく、ふさわしいターゲットにリーチできているかもこの指標で測ります。

5. Eメール送信数・開封率

担当者がメールを送信した数も大切ですが、どの程度営業効果につながっているかを知るために、メール開封率も重要な指標です。送信数が少ない場合にはメール送信自動化などの対策を、開封率が低い場合にはタイトルの改善などの対策を講じることができます。

6. リード合計数

各種キャンペーンにおいて、どれだけのリードを創出することができたかという合計数です。キャンペーンごとの指標、期間ごとの指標など複数の角度から見る必要があります。

7. MQL から SQL への移行率

MQL とはマーケティングから創出した見込み客を意味します。この MQL を、営業担当が直接セールス活動をおこなう SQL にどれだけ移行させることができるかを測る移行率によって、マーケティングと営業の連携がうまくいっているかどうかがわかります。

8. 顧客維持率

一人ひとりの顧客が継続して発注してくれれば、新規顧客を開拓するよりも効率的に利益を上げることができます。顧客が短期間で離れてしまう場合にはその原因を探ることで改善につなげることができるでしょう。

9. リード数

ウェブサイトやソーシャルメディアから、顧客がどの程度対象のサービスや商品にリードされているかを調べます。リードを多く生んでいるコンテンツを分析することで、受注につながるインバウンド戦略を立てることができます。

10. 追加サービス成功率

商品によってはサービス追加や、アドオンによって売り上げを押し上げることができます。この KPI 設定では、顧客をどれだけ追加サービスに誘導できたかという成功率がわかります。

11. 見込み客のコンバージョン率

見込み客のうちどのくらい成約につながったかという確率がコンバージョン率です。これは成約件数を営業件数で割ることで出すことができます。特定の営業マンの数値が低かった場合には、成約に結びつかなかった理由を探ることができます。

12. CLTV(顧客生涯価値)

CLTV も、KPI 設定の重要なポイントです。顧客数は変わらなくても、顧客単価や継続期間が上がれば全体の売り上げが向上します。

セールスイネーブルメントはKPIを設定してこそ効果が上がる

営業活動を支援し改善していくセールスイネーブルメントは、適切に活用すると営業活動の効率化に効果が得られます。しかし、効果をあげていくためには KPI 設定をおこない、分析と改善のサイクルを回していくことが欠かせません。この記事では、営業活動において役立つ KPI 設定12例を紹介しました。どのような KPI を設定するかは会社によって異なりますが、自社にあった KPI を設定することで営業の課題が解決に向かっていくのではないでしょうか。

営業活動に加え、事業を継続的に維持・拡大するためには、利益にインパクトのある KPI を定点観測することが重要です。サブスクリプションビジネスの成功に欠かせない KPI 10選をこちらにまとめていますので、併せてご覧ください。

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