営業生産性向上を実現する AI 活用の事例と成功のポイント

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近年、ChatGPT に代表される生成 AI が実用化され、さまざまな分野で AI の活用が注目を集めています。特に人手不足に悩む日本の営業界において、AI を活用した業務効率化は必須の取り組みとなっています。本記事では、営業生産性を向上させる AI 活用事例と、成功のポイントをご紹介します。

また、当社ではAI 営業プラットフォーム「Magic Moment Playbook」を提供しています。効果的な営業オペレーションの構築と、営業活動の大幅な増加により、大手企業からスタートアップまで幅広い顧客において、商談数が1.5倍、受注率が1.2倍向上するなどの成果を上げています。

AI で営業活動はどう変わる?

日本では今後人口減少が避けられず、労働力不足が深刻な問題となることが予測されています。中でも営業職の人材確保は多くの企業で課題視されており、AI の活用による業務効率化の必要性が高まっています。

図1. 人材が不足している部門は営業職がトップ(出典:エンジャパン「人手不足の状況について」)

一方で、AI が高度化しても、営業担当者の役割が AI に完全に置き換わることはないでしょう。AI は大量データ処理や最適解提示では卓越していますが、例外処理や顧客対話、交渉など高次の問題解決能力が求められる場面では人間が不可欠です。また、長期的な顧客関係構築や複雑な課題対応、細かいニーズ把握など、人間ならではの温かみのある対応が求められる分野でも、営業担当者の役割が重要となります。

そのため、今後は定型業務を AI が自動化し、人間が創造性を発揮する領域に注力することが期待されます。営業担当者には、AI を適切に活用しながら業務を最適化し、人間ならではの価値を提供する役割が求められると考えられます。

図2. AI の強みと弱み

営業活動における AI の活用事例

見込み客の特定と優先順位付け

AI は、顧客の属性、ウェブ上の行動履歴、マーケティングデータなどの多様な情報源から得られる膨大なデータを総合的に分析します。そして、機械学習のアルゴリズムを用いて、購入に至る可能性が高い顧客にスコアを自動付与します。スコアが高い顧客ほど、優先して集中的な営業活動を行うべき”ホットな”ターゲットとして特定することが可能です。

従来は営業担当者の経験と勘に頼っていたため、重要な顧客を見逃したり、無駄なリソース投入が発生しがちでした。しかし AI によるデータ分析によって、有望顧客の見逃しを最小限に抑え、限られたリソースを最適な顧客に向けることが可能になります。

顧客ごとのアプローチの最適化

AI は、購買履歴や行動パターン、過去の商談データから、顧客一人ひとりの関心を分析し把握します。そして、顧客ごとに最適なアプローチのタイミングや方法を自動決定し、メールやデモの案内など、個別最適化されたコミュニケーションを展開できます。

人手に頼ると非効率で属人的になりがちですが、AI を活用したデータドリブンなアプローチをすることで、新人営業員でもベテランのように高度な対応が可能です。顧客の期待を上回るサービスにより、受注率や LTV(顧客生涯価値)の向上など、収益向上が期待できます。

参考事例:「人」ではなく「テクノロジー」起点の営業スタイルを確立へ。営業の仕組みを変えてアポ獲得件数が2倍に伸長(株式会社メタップス様)

音声分析による営業スキルの改善

AI は営業担当者の通話録音データから、発言内容を文字起こしし分析できます。さらに、顧客の反応を機械学習で分析し、適切だった部分や改善点を客観的に評価します。

これにより、的確なフィードバックとスキル向上の指導が可能になります。良い事例を共有したり、具体的な改善施策を立案・実行できます。組織全体で優れた手法を共有することで、全体の営業力向上にもつながります。

顧客対応の部分自動化

AI チャットボットは、自然言語処理で顧客の質問を把握し、データベースから適切な回答ができます。24時間対応可能なので、反復作業から営業担当者を開放し、付加価値の高い活動に注力できるようになります。

当然、専門的な質疑には人間が対応する必要がありますが、その場合でも AI がスムーズに人間につなげたり、必要情報を通知したりして、的確な対応をサポートすることができます。

販売分析・売上予測の自動化

AI は大量の営業データを多角的に分析し、売上動向や課題、改善ポイントを徹底的に洗い出します。さらに過去のデータから将来を予測し、課題解決に向けた対策案や最適なアクションプランを提示できます。

日常的なタスクの自動化

AI により、フォローアップメールの送信や問い合わせ対応、新規リード発掘など、多くの定型業務を自動化できます。AI によって過去のコミュニケーション履歴を分析し、最適なタイミングでパーソナライズされたメッセージを自動生成・配信することも可能です。

さらに、受発注処理から在庫管理、請求業務に至るバックオフィス業務についても、AI による自動化が可能です。事務的なルーチンワークを AI が担うことで、営業担当者はより付加価値の高い活動に専念できるようになります。

参考事例:明治44年創業の印刷会社 サブスクビジネスの営業プロセスを確立し、アポイント獲得率2倍に向上(図書印刷株式会社様)

営業活動で AI を活用する際のポイント

データの取得と業務プロセスの設計

AI の真価を発揮するには、学習に適した質の高いデータを与えることが極めて重要です。AI の最大の強みは人間の知的活動を代替する能力ですが、その能力はデータの質に大きく左右されます。多くの営業組織が AI の恩恵を十分に享受できていないのは、入力データの質が不十分なためです。「Garbage in, Garbage out」というように、AI に投入する情報が正確でなければ、アウトプットも不正確になってしまいます。

図3. データ品質によって AI のアウトプットの質は異なる

さらに皮肉なことに、これまでセールステック導入に熱心だった企業こそ、AI が学習できないデータを蓄積している可能性が高いと思われます。それは、多くの企業が「THE MODEL」と呼ばれる営業の分業体制を採用し、部門ごとに異なるツールとデータ形式を使い分けているためです。その結果、顧客体験を連続的に追跡することが困難になっています。

理想は、ナーチャリングからクロージング、継続利用までの一連のデータから、顧客価値につながる行動パターンを見つけ出すことです。しかし現状では、データの断絶によりそうした分析が難しくなっています。部門横断的なデータ活用を実現するには、強力なリーダーシップと長期的な取り組みが必須となります。

AI は上述の通り、様々な営業活動の場面で生産性向上に活用できると期待されていますが、前提条件として、日常の営業データが AI に理解可能な形で構造化され、収集・加工されていなければなりません。つまり、データの収集と業務プロセスの設計は車の両輪のように緊密に連携されていなければならないのです。

弊社公式Note の記事「AI時代の営業データを整える 4 つのステップ」では、AI が正しく示唆を導くための「良いデータ」を組織的に蓄積・運用するためのオペレーション設計の具体的な方法とステップを解説しています。ご関心がございましたら、併せてご覧ください。

併せて読みたい:THE MODEL から少し離れてフラットに考えよう。AI時代の営業データを整える 4 つのステップ

営業生産性を高める AI ツール

AI 営業プラットフォーム Magic Moment Playbook

株式会社Magic Moment は、経営・事業における適切な意思決定を支援するデータ戦略のフレームワーク「TRUE INDEX」の思想に基づき、AI 活用の基盤となる高品質な営業データを収集・蓄積するためのオペレーション体制を構築する AI 営業プラットフォーム「Magic Moment Playbook」を開発・提供しています。組織に適した営業オペレーションを実装し、データに基づく顧客関係を強化することで、営業機会を増やし、優れた顧客体験を提供します。

参考事例:事業成長の源泉は活動やノウハウの蓄積。セールスの型化とデータ連携による SaaS ビジネス推進(TOPPANデジタル株式会社様)
図4. データ戦略「TRUE INDEX」のコンセプト図

自動化を実現する Magic Moment Playbook の機能

Magic Moment Playbook には、顧客行動と営業状況に基づいて最適なアクションを自動提示する AI 自動化機能も備わっています。

Next Best Action 

顧客の行動データや営業状況に基づき、現在アプローチすべき最適な顧客とアクション方法を自動で提案する機能です。これにより、優先すべき案件に集中し、適切なタイミングでアプローチできるため、受注率向上が期待できます。

図5. 営業担当者にいまやるべき案件と何をするべきかを自動で提示

シーケンス機能

メール・電話でのフォローやタスク管理など、煩雑だけど重要な業務を自動化・半自動化する機能です。顧客とのコミュニケーションを自動構築できるため、営業担当者は本来の提案活動に注力できます。

マス向けに一括送信されるメルマガとは異なり、シーケンスの発動と分岐は、Magic Moment Playbook に記録された各個別の顧客との対話・データに基づいて行われるため、各顧客に合わせたパーソナライズされたアプローチが可能です。

図6. 最も成果が出る営業の手順をリアルタイムで提案・自動化
参考事例:再現性のある営業の仕組みづくりで、1人あたりの商談創出数1.5倍、新人育成期間60%短縮を実現(株式会社コラボスタイル様)

Magic Moment Playbook は、営業データを構造的に収集・分析するための営業オペレーションの構築と、AI の力を活用した機能によって営業活動を変革します。大手企業からスタートアップまで幅広い顧客において、商談数が1.5倍、受注率が1.2倍向上するなどの実績を上げています。AI 活用による営業生産性向上にご関心がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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サービスサイト:lp.magicmoment.jp/magic-moment-playbook
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