大企業のインサイドセールスは、なぜうまくいかないのか【ウェビナーレポート】

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要約SUMMARY
  • 大企業では、インサイドセールスの導入が急増しています。
  • 大企業がインサイドセールスを導入するにあたって、大企業ならではの課題が存在します。
  • インサイドセールスを効果的に運用するには、仕組みづくりやデータの活用が肝要です。

先日、Magic Moment では『大企業のインサイドセールスは、なぜうまくいかないのか』と題して、ウェビナーを開催しました。

近年、インサイドセールスを導入する企業は増えています。

インターネット上でやり取りされる情報が増え、顧客の購買スタイルが変化したことや、新型コロナウイルスの影響によって、非対面営業を検討する必要性に迫られたことが背景にあります。

一方、「インサイドセールスを導入しても期待していた成果が出せない」「導入のハードルが高くなにから手を付ければいいか分からない」と悩みを抱えるケースも多くみられます。

本記事では大企業でインサイドセールスを導入することの難しさや、立ち上げに必要な6つのステップに関して、ウェビナー内容の一部をご紹介します。

インサイドセールスの概況

インサイドセールスの導入や立ち上げのポイントをご紹介する前に、日本国内でのインサイドセールスの導入状況や、各社が何を意図して導入しているかを確認しておきましょう。

日本国内でのインサイドセールスの浸透状況

冒頭でお伝えしたように、日本国内においてもインサイドセールスが盛んに導入されています。

下記、セミナー中の資料にもある通り、2020年に急激に増加しています。

2020年末時点で、国内企業の37.4%がインサイドセールスを導入しており、そのうちの46.9%、約半分が直近1年以内に導入した企業となっています。

このように、日本国内においても急激にインサイドセールスの導入が加速しています。

インサイドセールスを導入することによる期待効果

急激に導入が進んでいるインサイドセールスですが、何を期待して導入しているかというと、下記のとおりです。

  • 営業効率性の向上
  • 予測精度の向上
  • リモート環境への対応

インサイドセールスの導入目的は、顧客の購買行動の変化への対応、非効率的な営業からの脱却、非対面営業の強化と言えるでしょう。

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大企業のインサイドセールスが抱える課題

特に大企業の営業組織においてインサイドセールスを導入し、運用していくにあたっては、さまざまことが課題となります。いくつかの観点に分けて説明します。

組織構成の課題

大企業の営業組織においてインサイドセールス導入・運用の課題になりやすいのが、既存の営業組織の構成や、組織間の連携です。

具体的には、大企業の営業組織の場合、さまざまな製品やソリューションを複合的に展開することが多いため、製品別、アカウント別などと組織編成が複雑化する傾向があります。

大企業の営業組織に比べて、スタートアップや SaaS 企業で比較的インサイドセールスの導入が一般化しつつありますが、これは製品やサービスが単一であることが多く、組織をシンプルに組成しやすいからです。

大企業特有の営業組織の構成は、インサイドセールスを効果的に運用するうえで課題になることが多いです。

人材の採用や育成上の課題

大企業の営業組織においては、インサイドセールスの採用や育成が課題になります。

組織の問題と相まって、自社にとって最適なインサイドセールスの定義が難しければ、適切な人材の定義、そして育成が難しくなります。

加えて、あまり馴染みのなかったインサイドセールスのノウハウは、社内にも蓄積されていないことが多く、採用や育成が難しくなるのは当然だといえます。

プロセスの課題

大企業の営業組織において、インサイドセールスの導入・運用上の課題になるのが、マーケティング・営業プロセスの連携です。

インサイドセールスは、マーケティングから供給されるリードに対して、迅速かつ適切にアプローチを行うことによって、リードを育成したり、角度の高い案件かどうかを見極めることで次工程に効果的なリードを供給することが一般的な役割です。

大企業の営業組織において、マーケティングとのスムーズな連携や協業に時間がかかり、困難を伴うことが少なくありません。

ツールやデータ蓄積の課題

大企業のインサイドセールスの導入・運用上の課題になるのが、営業ツールや営業データの蓄積と連携です。

具体的には、データに基づいた効果的なインサイドセールスを実施する難易度が高いといえます。

大企業においては、営業システムに関わらず、あらゆるシステムを内製化して持っているケースが多いでしょう。さまざまな組織や部署で専用のシステムを立ち上げているケースも難しくありません。

このことが情報連携やデータ蓄積を難しくしており、必要なデータが揃えられない場合もあります。

ターゲットリストやリードの課題

大企業の場合、インサイドセールスを立ち上げたとしても、ターゲットリストやリードの質が課題となります。

大企業の場合、既に顧客基盤が存在しており既存顧客との取引拡大をベースに営業計画を考えることが多いはずです。

新規開拓の場合、新人に任せるといった伝統的思考も相まって、マーケティングのリードの質や、新規開拓の戦略(セグメンテーションやターゲティング)が曖昧になりがちです。

このことが、インサイドセールスを組成してもうまく立ち上がらない原因になり得ます。

では上記の課題をどのように乗り越えていくのか、次章から紹介していきます。

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大企業におけるインサイドセールスの課題一覧

グローバルにおけるインサイドセールスの動向

課題解決のヒントとして、本章では海外の事例をご紹介します。

先端組織の営業例:Zoominfo(US)のセールスチーム

アメリカの営業支援の SaaS サービス大手、Zoominfo(US)のセールスチームにおいては、仕組みと育成によって、インサイドセールスが高い生産性をあげています。

具体的には、インバウンドのインサイドセールスは、顧客からの問い合わせに迅速に対応できるようになっています。

また、アウトバウンドのインサイドセールスは1日に80〜150回の電話営業という、豊富な活動量を誇ります。

上記の成果はリードの割り当てのルール化や、すぐに電話をかけられる仕組みによって下支えされています。

さらには、セールスプレイブックというセールスのアクティビティのあるべき姿が整理されていることが、高い生産性の基盤となっているのです。

インサイドセールスを強化するためのポイント

生産性の高いインサイドセールスを組成するために、どのような取り組みが必要でしょうか。

ご紹介した Zoominfo などの先進企業は、セールスプロセスのデザインやデータによるマネジメントを企画する SalesOps という機能を持っています。

また、データで管理、意思決定していくためのツールの導入や連携を専門に行うチームもあります。

実際に活動を行うインサイドセールスの育成機能として、イネーブルメントという組織を持っています。ツールを活用し、適切な営業活動を実施できるようにするための営業育成部隊です。

さらには、インサイドセールスの目標設定と一定の強制力を働かせることが重要です。

上記を連動させることで、生産性の高いインサイドセールスを導入することが可能です。

Sales Playbook(セールスプレイブック)

イネーブルメントチームの代表的な取り組みが、セールスプレイブックの作成です。

研修テキストとよく混同されることがありますが、大きく異なります。

セールスプレイブックはハイパフォーマーのエッセンスを詰め込んだ、質の高い、具体的なセールスを実行するための知識、具体的なアクション、商談での話し方、プレゼンテーション資料の示し方など、かなり具体性の高いものです。

セールスプレイブックを確立することのメリットは、品質の高い育成プログラムが実行できることにより、早期育成が可能であること、そして人員の入れ替わりにも容易に対応できることです。

弊社においても、セールスプレイブックの作成を支援しています。ぜひ以下の資料をご活用下さい。

→ダウンロード:営業の価値を最大化するPlaybook入門ガイド – Accel by Magic Moment

インサイドセールス立ち上げに必要な6つのステップ

課題解決を行い、生産性の高いインサイドセールスの立ち上げに必要な6つのステップをご紹介します。

この6つのステップを実践することにより、自社の導入目的に即した形でインサイドセールスの組織をつくることができます。

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インサイドセールスの立ち上げに必要な6ステップ – Accel by Magic Moment 

①インサイドセールスチームの結成

まず、インサイドセールスチームを結成するのが最初のステップです。このステップでの結成という意味は、インサイドセールスを担当するメンバーを集めるという単純な意味ではありません。

下記の項目を検討し、最適な組織のグランドデザインを描いたうえで組織を結成します。

  • インサイドセールス導入により何を得たいのかという目的
  • どの顧客群をターゲットにするのか、どの商材を担当させるのかという戦略
  • インサイドセールスの理想的な体制図

なぜなら、大企業は「The Model」が提唱する分業型のインサイドセールスを、そのままの形で導入することは難しいからです。

The Model の仕組み

大企業では一般的に複数商材、および同一アカウントにも複数の営業担当者が存在しているなど、製品やサービスと組織の複雑性が見受けられます。

また、既に豊富な顧客基盤がある中で新規開拓を行うなどの営業活動は、社内でも優先順位が下がることが多いでしょう。

おすすめとしては、商材ごとにセグメンテーション&ターゲティングを実施したうえで、明確にインサイドセールスのターゲットと目標を決めて運用することです。

例えば、これから市場を開拓する必要がある分野にはアウトバウンド型のインサイドセールス(BDR)を導入することが効果的です。

また、マーケティングの施策や機能が充実しているものの、商談へのつなぎに課題があれば、インバウント型のインサイドセールス(SDR)を配置して、効果的な商談のためのリードの詳細情報の取得、あるいはリードの見極めという配置の仕方もあります。

②KPI 設定/ROI 測定

次に、インサイドセールスの KPI を設定し、ROI を測定します。

一般的なインサイドセールスの KPI は、フィールドセールスに引き渡せた商談数などでトラックされることが多いでしょう。細かく言うと、商談数を生み出すための活動量などもトラックしていく必要があります。

特に立ち上げの際は、アクションにフォーカスした KPI を運用すべきです。時間軸として後から成果に現れるものだけをトラックするべきではありません。

また、インサイドセールスの普遍的かつ重要な成功の鍵は活動量です。そういった意味でもアクション数をトラックすることが必要です。

また、ROI についてはリード獲得数、商談数、受注数などをならべて見ていくことが必要ですが、MA ツールで取得できることが多いのでマーケティングチームと連携することが重要です。

③営業アクション、ルール決め

次に、インサイドセールスの営業アクションやルールを決めていきます。

セールスの活動や活動と成果のつながりは、ブラックボックスとなってしまうことが多いのですが、何が成果につながるのかを振り返ることが重要です。

上記の分析や振り返りを可能にするために、明確な基準を設けて活動量を担保できる仕組みをつくっていくのです。

また、インサイドセールスのアクションはリードの Nurturing (育成)に重要な役割を果たします。

MA ツールの導入も盛んに行われていますが、MA ツール内の施策だけではリードを育成しきれず、商談を獲得できないのが実情です。

そこで、インサイドセールス担当者が適切に製品の価値訴求を行うなどのアプローチしていくことが重要になるのです。

上記のような理由から、インサイドセールスのアクションはきめ細かく設定します。

具体的には、リードの獲得や育成といった場面ではリード種別ごとのアクションのタイミングやアクションの内容(架電、メール等)、回数などをツールで下支えすることで、素早く実施できるようにします。

④ツールの選定、データ入力の定義

次に、インサイドセールスのアクションがスムーズに実施できるツールの選定や必要なデータを整備します。

まず、必要なデータは下記のとおりです。

一つ目のカテゴリは、オンライン・オフライン問わず顧客のアクション履歴です。このデータを取得することで、顧客に関心や興味の度合いに合わせてアプローチすることが可能です。

二つ目のカテゴリは、企業や担当者など、顧客や見込み客に関するデータです。これは、既に整備されていることが多いです。ただし、自社が過去接触した履歴や現在の取引をベースにしている情報が多いため、データが欠落しているケースがあります。

三つ目のカテゴリは、自社のアクション履歴です。いつ商談したのか、何を提案したのか、受注したのか、などの情報を整理することで、再度のアプローチをスムーズに実施することができます。

四つ目のカテゴリは、過去の顧客とのコミュニケーションから取得されるヒアリング結果や提案時のリアクション、BANT 情報などの情報です。インサイドセールスがアプローチする際、これらが整理されているとアプローチの成功率が高まります。

⑤顧客情報の精査

顧客(見込み客含む)の情報は前述のとおり限定された情報が多いため、ひとつの顧客に対してより細かく、より深い情報が精査できていた方が、インサイドセールスの活動にプラスに作用します。

自社が今まで蓄積していたデータだけでは足らないケースがあれば、外部データを活用し、既存のデータに付加して整理することをおすすめします。

また、既に自社サービスを導入してもらっている既存顧客のプロダクトに対する利用状況のデータも精査しておくことが必要です。クロスセル、アップセルをインサイドセールスが仕掛ける場合、とても有効な情報になります。

⑥Sales Enablement

ステップ1〜5は、インサイドセールスのアクションや、活用するデータの定義、ツールの整備でした。

最後に、実際にインサイドセールスのアクティビティを上げ、実践的な育成を行う Sales Enablement についてご説明します。

この機能を充実させることが人材のミスマッチや早期退職、立ち上がりの遅さなどのランプアップの長期化といった採用・育成リスクの低下させることにつながります。

インサイドセールスとしての効果的なアクションの実践のために、あるべきスキル定義を行い、スキル定義に基づいた実践的なトレーニングを行うことが、Sales Enablement において重要です。

インサイドセールスのアクションに特化したトレーニング、実際に活動を振り返るなど、具体的な育成施策であることが通常の人材育成における研修とは大きく違うところになります。

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まとめ

「インサイドセールス」という言葉は一般化しつつありますが、その導入や運用のポイントはまだまだ一般的ではないのではないでしょうか。

今回のウェビナーでも、繰り返しお伝えしたように、大企業においてもインサイドセールスの導入が加速しています。しかし、大企業特有の事情によって、自社の目的に合うインサイドセールスの導入は難易度が高いと言えるでしょう。

インサイドセールスの導入について、お悩みがあれば、ぜひ、弊社の「インサイドセールス・スタートブック」をご覧ください。