なぜインサイドセールス導入の効果が出ないのか?分業を成功させるデータ統合の重要性

従来はウェブ上での顧客獲得を実現するマーケティング手法が浸透していなかったため、営業マンが顧客の購買プロセス全体を担当することができました。しかし、現代ではデジタルと融合したマーケティングが発展し、顧客が自ら情報収集する環境が整っています。潜在顧客にいち早くアプローチをかけることが、顧客獲得競争が激しいサブスクリプションビジネスにおける成功の鍵となるでしょう。

そこで注目を浴びたのがインサイドセールスです。ウェブ上や架電で集めた顧客の情報をもとに「受注に繋がりやすい確度の高いリード」を絞り込み、リードナーチャリングを経て、営業にトスアップするのがインサイドセールスの役割です。確度の高いリードから優先的にフィールドセールスに引き継ぎ、受注率の向上と収益の増加を実現します。Pacific Crest社の調査でも、成長率の高い37%の企業がインサイドセールスを導入していることが分かっています。

しかし、インサイドセールスを導入しても「期待していた成果を出せていない」という課題を抱えている企業が多いという実態があります。インサイドセールスの立ち上げにかかったコストに見合う費用対効果が発揮されていないのならば、原因を突き止める必要があります。

本記事ではインサイドセールスの導入が収益に還元されない原因を紐解き、その要因を解消するための具体的な取り組みを説明します。

インサイドセールス導入の落とし穴とは?

インサイドセールスの導入に踏み切る企業の多くは、より効率的・効果的な顧客獲得プロセスの構築を目的としています。ここでインサイドセールスに期待される役割は、マーケティングから創出されたリードの状態を見極め、的確なナーチャリングを行い、ホットになったリードをフィールドセールスに送ることです。担当する業務の範囲が限られるため、本来なら各部門の専門性と生産性が向上するはずです。

しかし、顧客獲得プロセスの分業には落とし穴があります。それは、分業によって視野が狭まり、各部門の部分最適に陥ってしまうことです。

インサイドセールスが部分最適に陥ってしまうと、

  • マーケティングから創出された個々のリードに最適化したナーチャリングが行えない
  • ナーチャリングが十分でない確度の低いリードをフィールドセールスに渡す
  • リードに必要のない情報を提供し、顧客体験を損ねる

といった問題が発生してしまいます。

このような状況では、インサイドセールス導入にかけたコストに見合った費用対効果を得ることができません。

The model導入企業が分業に失敗する理由は、こちらの記事で解説しています。

インサイドセールス導入で分業の落とし穴にはまってしまう理由と弊害

部門間連携の強化がインサイドセールス導入後の分業を成功させるために重要であると認識していながらも、なぜ多くの企業が落とし穴にはまってしまうのでしょうか。

理由:部門間でデータが分断されているから

従来の営業では、1人の顧客に対して1人の営業担当者が付き、情報収集・比較検討・意思決定といった顧客の購買プロセス全体を担っていました。そのため、初めの接触から購入までの流れが分断されず、顧客情報が営業担当者の頭の中に集約されていました。顧客情報が一箇所にまとまっていれば、顧客体験を損ねることなく、確度の高いリードからアプローチをかけることができます。

しかし、インサイドセールスの導入で顧客獲得プロセスを分業している場合、複数の担当者が1人の顧客に接触することになります。顧客情報がマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの部門間でバラバラに散らばった状態では顧客理解が深まらず、それぞれの部門が保有している顧客情報だけを考慮した部分最適が進んでしまいます。

弊害:機会損失に伴うコスト

インサイドセールスが確度の低いリードばかりをフィールドセールスに渡していると、そのリードが最終的に受注に結びつく可能性は極めて低いです。

もし仮に、フィールドセールスの努力で案件を受注に結びつけることができたとしても、確度の低いリードを顧客に変えるまでにフィールドセールスはどれだけのリソースを費やすでしょうか。多くの時間と能力を消耗するはずです。

さらに深刻で緊急性が高いのは、フィールドセールスが受注に繋がらないリードの対応に追われ、本来獲得できるはずだった顧客を失ってしまうことです。顧客との継続的な関係構築がサブスクリプションビジネスの成功には欠かせないため、高いLTVをもたらす可能性のあるリードを失うことのコストは非常に大きいです。ANNEX CLOUD社の調査でも、事業を支える収益全体の65%を占めているのは、既存顧客からの利益であることが説明されています。

つまり、どんなにフィールドセールスが顧客獲得のために奮闘しても、確度の高いリードにアプローチできなければ「収益は伸びないのにコストばかりがかかる」といった状況に陥ってしまいます。自社の顧客獲得プロセスがこのような状況にある場合、わざわざインサイドセールスの立ち上げに投資し、業務を分業するメリットはありません。

インサイドセールスが機能するためには?

インサイドセールスが機能する分業のシステムを構築するために、組織内でバラバラに散らばった顧客データを統合し、様々な顧客を多角的に分析します。インサイドセールス部門を設けることの1番のメリットは、フィールドセールスに「受注に繋がるリード」を渡すことであるため、受注に繋がりやすい顧客の状態や属性を特定することは重要必須課題です。

データを統合する具体的な方法として、ツールの連携が有効です。Marketo・HubSpot・Salesforceなどを代表とするMA・CRM・SFAツールをAPI連携でつなぎ、顧客情報を1つのツール内で確認できるようにします。分断されていた顧客の属性データ・行動データが統合されることで、顧客理解が深まります。API連携の重要性や注意点をこちらの記事で解説しています。

例えば、MAではWebページの閲覧履歴やダウンロードされた資料など、オンラインで獲得できる情報だけを基にリードを分析するため、個々のリードの関心度や課題感の解像度を上げることが難しいです。インサイドセールスがメールや電話でアプローチをしても、自社が立てた仮説とリードの課題感が一致していなければ、興味本位で動いていたリードにとってはかえってストレスになってしまうこともあるでしょう。

一方で、MAをCRM・SFAと連携させると、さらに多くの情報を把握できます。過去に受注に結びついた顧客の全体購買プロセスや、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスそれぞれとのタッチポイントが確認できれば、より精度の高い顧客のプロファイル分析が実現します。

そこから、「どのような状態にあったリードが受注に繋がりやすいのか」といったベストプラクティスを発見し、インサイドセールスは一定の基準を満たしたリードだけを選別して、フィールドセールスにトスアップします。

フィールドセールスが確度の高いリードへの販売活動に注力することが可能になるため、ここで初めて分業化のメリットが収益の増加に繋がります。

インサイドセールスの導入で収益を伸ばすためには

インサイドセールスの導入による顧客獲得プロセスの分業化で、部分最適に陥ってしまう原因と、その解決策を説明しました。

インサイドセールスが本来の役割を全うすることができれば、全体プロセスの生産性が向上し、収益の増加に繋がるはずです。Salesforce社で行われた調査では、調査対象である営業担当者のうち60%がマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス間の部門間連携が強い場合、生産性は25%向上し、パイプラインも増加すると答えています。

しかし、分断されたデータを統合するプロセスは複雑で、実行することが難しいのも事実です。データベースに正しいデータを入力する習慣や、データを加工・統合する技術力などが組織内になければ、誤った意思決定をしてしまう恐れがあります。正しい手順を理解していなければ「結果は出ないのに普段の業務に負担ばかりかかる」といった状況に陥りかねません。

このような状況を回避するための具体的な取り組みを含め、BtoBビジネスの成長を実現する4つの打ち手を、こちらのe-bookで詳しく解説しています。この機会に併せてご覧ください。

BtoBビジネスの成長を妨げる4つの壁