テレワークを導入しない営業組織が迎える未来とは

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働き方改革や労働力の減少、パンデミックの影響などで新しい働き方「テレワーク」が注目を浴びています。しかし、テレワークは働き方のメリットだけを考えた働き方であるといったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

本稿では、テレワークとは何か、テレワークが企業、そして働き方にどのようなメリットをもたらすのかをご紹介します。現在テレワークを検討している、特に営業組織の皆様のご参考になれば幸いです。

営業組織が「多様な働き方」を認めるべき理由

労働力人口の減少や働き方改革が叫ばれて、営業の改革が急務となっています。いままでの営業スタイルは足で稼ぐ、受注件数が第一といったフィールドセールスが一般的でした。

しかし、インターネットが普及したことにより顧客が自分で情報を入手可能であったり、サブスクリプションビジネスが普及してきたなどビジネス環境が大きく変わってきました。

その結果、営業の働き方も今までの営業スタイルから多様な働き方を取り入れていくタイミングになっています。たとえば、顧客のもとに通わなくてもパソコンや電話だけで遠隔で営業を行うインサイドセールスが普及しています。

アメリカでは国土が大きいこともあり早くから取り入れられ、Maximize Market Research1)の調査によると、2021年現在のインサイド セールス ソフトウェア市場規模は 54 1,700 万米ドルと評価されました。

これから売上高はさらに増加し、総収益は 2022 年から 2029 年にかけて 10.3% 増加し、11 6,760 万米ドル近くに達すると予想されます。すでに日本でも普及が始まっていますが今後さらに大きくなっていくでしょう。

また、現在注目されているのがテレワークです。テレワークとは総務省ではICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。所属オフィスとは離れた場所で仕事をするということで、自宅勤務、モバイルワークなどが含まれます。

このように様々な働き方が注目を浴びている一方、企業は既存の方法を脱却する事ができなかったり、本当に社員が働いているのか心配になるといった面から導入に慎重な企業も多くあります。

次の章からは、テレワークなどを導入することによる企業そして働き手側のメリットをご紹介します。

テレワークによるインサイドセールスが企業にもたらすメリット

インサイドセールスが普及する事によりテレワークも可能となります。その時にしっかり働いているか監視できないといったことや成果が見えにくいといったことなどを心配する方も多くいらっしゃるかと思いますが、まずはテレワークを導入することによる企業側のメリットをご紹介します。

1. 営業生産性の向上

 フィールドセールスの場合、自社オフィスから顧客のオフィスへの移動時間、交通費、次のアポイントメントまでの間の空き時間など、多くのコストが積み重なっていました。

 しかし、インサイドセールスの場合、担当者はパソコンや電話の前で営業活動を行うことができ、先ほど述べたようなコストも省けます。また今まで無駄になっていた時間を使って新たなセールスも可能です。このように時間・費用の面において営業生産性が向上します。

 また、テレワークでたとえば自宅で働いている場合、例えば、「令和3年度テレワーク人口実態調査ー調査結果ー」2)の調査によると、約84%が新型コロナウイルス感染症収束後のテレワーク継続意向があると回答しており、その理由として、約43%が「通勤時間の有効活用」と回答している。 また、自宅で自分が好んだ環境で、他の人には邪魔されず仕事に集中できることもメリットとしてあげられます。

2. 離職率低下・人材の確保

結果を残していたフィールドセールス担当者であっても、介護・育児などの都合で仕事を辞めたり、労働時間を短縮せざるを得ないことがあります。

しかし、テレワークという選択肢があることにより、顧客はそのような状況でも自宅で勤務ができるため離職する必要がなくなります。また、テレワークなど働き手の都合に柔軟な働き方を提供している企業は働き手からのロイヤルティーも高まるため、イメージの面からの離職防止につながります。

また、人材確保の面でも今までは例えば東京在住の人しか採用が出来ませんでした。しかし、テレワークを導入することにより全国どこでも、また日本に限らず世界中の人を採用することが可能になり、人材確保の面でも大きく幅を広げることになります。

このように、インサイドセールス、そしてテレワークを導入することにより多角的なメリットを享受することが可能です。

テレワークにいよるインサイドセールスが働き手にもたらすメリット

また、テレワークは企業にだけでなく働き手側にも大きなメリットがあります。ここで代表的なメリットをご紹介します。

ワークライフバランスが確保できる

オフィスに通勤するとなると、通勤時間含めてかなりの時間を仕事に費やします。しかしテレワークの場合は、通勤時間等がないため、家族と過ごす時間や自分のための時間に時間を使うことが出来ます。

たとえば、アポとアポの間にちょっと散歩に行ったり、運動をしたりなど自分が働きやすい環境を保つことで心身ともに健康を維持できるようになります。また、育児や介護などをしなければいけない状況でも、後ろめたい気分などにはならず堂々と対応可能です。

ストレス軽減

自分の時間をしっかり確保できることに加えて、自宅勤務の場合は自分しかいません。そのため、オフィスでよく起こる政治に巻き込まれたり、余計な噂話に巻き込まれることもないです。

そして自分が働きたい場所で働きたい格好で働けます。そのような結果仕事に対してストレスが軽減されます。

モチベーションが高まる

 リモートワークをしたことにより営業成績が悪くなったとは言われたくないといったことや、自分で仕事をしていることにより、自分のことを奮い立たせる事ができたり、オフィスにいるときよりも自分の裁量で働いていると感じます。その結果モチベーションが高まり、オフィスで働いていたときよりも成績が良くなることもあります。

まとめ

環境の変化に伴い、働き方の多様性も求められるようになってきました。営業でも今までのフィールドセールスといった形でなく、インサイドセールスなどを取り入れる企業が増えてきています。

また、インサイドセールスを取り入れることにより、テレワークを取り入れることも可能になってきます。テレワークは働き手側の要望に合わせた働き方と思われがちですが、企業側にもコスト削減、効率アップ、人材確保など多くのメリットがあります。

さらに、働き手にももちろん、ワークライフバランス控除などのメリットがあります。今後テクノロジーが進化していく中で、更にテレワークが可能となる環境が整ってくるでしょう。ご検討されている企業の皆様もまずはテストとして取り入れてみてはいかがでしょうか?

次の記事では、「在宅勤務のインサイドセールスが陥る3つの罠」をご紹介しています。多様な働き方ができる営業組織の実現に向けて、少しでも失敗するリスクを減らしたい経営者・営業部長の方は、ぜひご覧ください。

《引用文献》

1)Maximize Market Research.インサイドセールスソフトウェア市場ー業界分析と予測2022年ー2029年.2023-02.https://www.maximizemarketresearch.com/market-report/inside-sales-software-market/148582/,(参照2023-05-25).

2)国土交通省.令和3年度テレワーク人口実態調査ー調査結果ー.2022-03.https://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/content/001471979.pdf,(参照2023-05-25).