SaaS とは?わかりやすく解説

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要約SUMMARY
  • SaaS とは、近年市場が急拡大しているクラウド型のソフトウェアサービスです。インターネットを通じてクラウド環境にアクセスすることで、いつでもどこでも誰とでも共同で利用できます。
  • SaaS と混同されがちな IaaS/PaaS についても、それらの特徴や SaaS との違いについて分かりやすく解説します。
  • 最後に、SaaS を代表する8つの国内外のソフトウェアツールについて、サービスの概要を簡単にご紹介します。

近年、Netflix や Spotify といったサブスクリプション型ビジネスの台頭に伴い、SaaS という言葉も一般的になりました。

しかし、SaaS の言葉の意味を理解して、同僚や友人に説明できるでしょうか。SaaS と似た言葉には PaaS や IaaS などがあり混同する場合もあるでしょう。

この記事では、SaaS の基本的な内容をわかりやすく解説します。

IaaS / PaaSとの違いや、SaaS 製品を利用するメリット・デメリット、代表的なサービスについても紹介するので、参考にしてください。

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SaaS の基本とは?分かりやすく解説

SaaS の概要

SaaS とは「Software as a Service」の略で、読み方は「サース」または「サーズ」です。

従来のソフトウェアは、パッケージと呼ばれるシステムをサーバーや PC にインストールして利用することが主流でした。SaaS では、ソフトウェアを利用する際にクラウド上に作られたアプリケーションにインターネットを通じてアクセスして利用します。

身近な例では、ウェブ会議システム「Zoom」や Google のウェブメールシステム「Gmail」も SaaS のサービスです。詳しくは「代表的な SaaS サービス」の章で紹介します。

SaaS の特徴

SaaS を従来のソフトウェアと比較すると3つの特徴があります。

  1. インターネット接続さえあれば、いつでも、どこでも、どの機器からでもアクセスが可能
  2. ソフトウェアの契約・解約が容易であり、利用期間・回数など従量課金制の費用負担
  3. 一つのデータベースを複数人でシェアして共同利用・編集が可能

例えば Google のストレージサービス「Google Drive」も SaaS のサービスです。ドキュメントやスプレッドシートは、個々人の端末ではなく Google のクラウド上に保存されており、必要に応じて保存容量を増やせたり、複数人での共同編集もできます。

SaaSの将来性

SaaS は、国内外問わず市場規模が拡大傾向にあります。

国内SaaS市場1)は年平均成長率約13%を維持しており、市場規模は2025年までに約1.5兆円まで拡大することが予想されています。

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PaaS や IaaS との違い

次に SaaS と似ている言葉である PaaS、IaaS について解説します。

PaaS の基本とは?分かりやすく解説

PaaS の概要

PaaS とは「Platform as a Service」の略で、読み方は「パース」です。

従来、エンジニアが一から構築していた開発環境をパッケージ化して、サービスとして提供するものです。PaaS を使えば、OS 設定やミドルウェア設計など環境構築の労力を削減でき、エンジニアがアプリケーション開発に集中できます。

SaaS との違い

SaaS はソフトウェアの利用者を対象としたサービスですが、PaaS の利用者は開発エンジニアです。PaaS ではソフトウェアが稼働するための物理インフラから OS やミドルウェアまでの開発環境を提供しています。効率的にソフトウェアの開発に取り組みたい企業やエンジニアが導入します。

PaaS 代表的なサービス

主な PaaS のサービスには、以下のものがあります。

  • Google App Engine
  • Microsoft Azure:App Service
  • Amazon WebService(AWS):Lambda、Elastic Beanstalk

IaaS の基本とは?分かりやすく解説

IaaS の概要

IaaS とは「Infrastructure as a Service」の略で、読み方は「イアース」です。

アプリケーションが動くためのハードウェア(ネットワーク、仮想サーバー)をサービスとして提供するものです。エンジニアは物理的なハードウェアを一から構築する必要がありません。IaaS 上ではミドルウェアやアプリケーションを自由に動かすことができます。

SaaS との違い

SaaS はソフトウェアの利用者を対象としたサービスであることに比べ、IaaS の利用者は開発エンジニアです。IaaS で提供されるインフラ上で、エンジニアは自由に開発環境を構築し、アプリケーションを設計できます。開発の自由度は高いものの、高度な専門性が必要なサービスです。

IaaS の代表的なサービス

主な IaaS のサービスには、以下のものがあります。

  • Google Compute Engine
  • Microsoft Azure 仮想マシン
  • Amazon Elastic Compute Cloud

あわせて読みたい:SaaSに欠かせないカスタマーサクセスの役割とは?

SaaS のメリット・デメリット

SaaS を利用するメリット

SaaS を利用するメリットは主に3点あります。

1.導入が簡単

SaaS は、手軽に利用できることがメリットです。従来のソフトウェアに比べて初期投資が不要で、利用した機能や期間の分だけ支払いが発生する「従量課金制」を採用しています。初期開発が不要なため、ユーザー登録をすれば導入期間ゼロですぐに使い始めることができます。

サービスが不要になった場合はすぐに解約もできるため、コストの適正化という観点からも優れたサービス設計です。

2.運用・管理が簡単

SaaS では、ソフトウェアの運用・管理が簡単というメリットがあります。

従来のソフトウェア運用・管理で必要だったバージョンの更新や障害対応は全てソフトウェア提供事業者が行います。利用者によるメンテナンスが不要なため、システム管理・運用に必要な人員や労力を削減することができ、サービス全体の収支改善にも役立ちます。

3.業務効率が向上する

SaaS の製品は、時間や場所、端末にとらわれずに利用できることがメリットです。

テレワークの普及によってオフィス以外で仕事をする人も増えてきました。インターネット経由で同じデータベースにアクセスすれば、いつでも、どこでも、どのデバイスからも利用が可能な上に、複数人で共同作業するのも困りません。

あわせて読みたい:すぐに実践すべき営業業務の効率化方法とは?効率化におすすめのツールも紹介

SaaS を利用するデメリット

SaaS を利用するデメリットは主に4点あります。

それぞれメリットとの裏返しでもあるため、デメリットを認識した上で対策することが大切です。

1.カスタマイズの自由度が低い

SaaS のソフトウェアは、カスタマイズの自由度が低いというデメリットがあります。

個別の企業ごとにカスタマイズできるのは、ソフトウェア事業者が提供する機能の範囲でのみです。

サービスを選ぶ際に、自社の導入目的を達成する機能を備えているかを確認してから契約をすることが大切です。

2.セキュリティリスクがある

インターネット経由でサービスを利用するため、インストール型のソフトウェアと比較してセキュリティリスクがあります。

SaaS 事業者はセキュリティ対策を行なっていますが、どのような対策が施されているか、過去にセキュリティ事故が起こっていないかなど確認し、信頼できる事業者と契約をすることが大切です。

3.ネットワークやサービス提供会社の障害に影響

SaaS が安定的に稼働できるかは、ネットワーク事業者やサービス提供会社に依存します。SaaS 事業者は安定稼働のための施策を施しているものですが、心配な場合はどのような対策を施しているか、万が一障害が起こってしまった時の対応方法について確認をすることが大切です。

4.契約期間中は、ずっと料金が発生する

SaaS は実際の利用有無に関わらず、契約期間中はずっと料金が発生します。

解約手続きを忘れて、使っていないのに請求だけ続いてしまうこともあり得ます。契約しているサービスを管理し、必要に応じて契約を終了し、厳選したサービスだけ契約するなど工夫が必要です。

代表的な SaaS サービス8選

この章では、代表的な SaaS のサービスを8つご紹介します。

Slack

Slack は2013年にアメリカでリリースされた、ビジネスチャットツールです。

2019年には世界の DAU(日次利用者数)が1,000万人を突破したことが発表され、新型コロナウイルスの流行によるテレワークを追い風にさらに利用者が増えていることが予想されます。日本は Slack における第二の市場ともいわれており、スタートアップから大企業まで多くのビジネスシーンで使われています。

Chatwork

Chatwork は日本発のビジネスチャットツールです。2011年にリリースされたChatworkは2022年現在、導入企業36.5万社を突破、総ユーザー数は534万件となり、国内利用者数No.1の中小企業向けビジネスチャットです。2019年に東証マザーズに上場し、国内発のチャットツールとしては勢いがあるサービスです。

Zoom

Zoom は、アメリカの Zoom ビデオコミュニケーションズが提供する Web 会議システムです。Zoom はコロナ禍という社会情勢もさることながら、優れた顧客体験でシェアを拡大してきました。特にユーザー登録不要で URL さえあれば誰でも、どこからでも、テレビ会議に接続できること、大人数の会議にも耐えうる強固なシステムは同社のサービスが支持されている理由です。

2020年4月時点の日次ミーティング参加者数はグローバルで3億人、国内で10ライセンス以上導入している企業は2万社超です。

Skype

Skype は2003年リリースの老舗の Web 会議システムです。

2011年に Microsoft 社に買収され、現在も同社のサービスとして提供されています。Web 会議システム市場は前述の Zoom に勢いがありますが、Skype も2020年3月時点の日次利用者数をグローバルで4,000万人と発表しており多くのユーザーに利用されています。

Google Workspace

Google Workspace は、Google が提供する Gmail や Google Drive などの各種アプリケーションを法人向けにパッケージ化したサービスです。それぞれのアプリケーションの利用方法は個人向けと同じでありながら、大容量、安定稼働、セキュリティ管理の実現などビジネス水準のサービスを提供しています。

Trello

Trello は、2011年アメリカでリリースされたプロジェクト管理、タスク管理のツールです。Trello の特徴は、優れたUIがタスク管理のダッシュボードを視覚化し、チームのコラボレーションをスムーズにすることです。Slack や Google Drive など、他のクラウドサービスと連携すれば、Trello を見るだけでタスクが把握できるサービスとなっています。

freee

freee は個人事業主から中小規模法人向けのクラウド会計ツールです。

日々の経理業務から確定申告まで、これまで手作業で行われていた業務の効率化を目指しています。現在では人事労務にかかるクラウドシステムなど、バックオフィスの効率化という切り口から複数のサービスを提供する事業者です。

Salesforce Sales Cloud

Salesforce は世界シェア No.1 のクラウド型 CRM(顧客管理)ツールです。同社が提供する Sales Cloud は、営業活動に必要な業務を管理できる営業支援ツールです。顧客管理、商談管理を通じてパイプライン管理が可能になり、将来の売上予測まで可視化できます。 

あわせて読みたい:【2022年最新】営業の生産性を上げるおすすめ SFA を徹底比較 – Accel by Magic Moment

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まとめ

本記事では、SaaS について基礎的な内容から代表的なサービスまで紹介しました。

多くの企業で従来のパッケージ型のソフトウェアからクラウド型に移行する流れがあり、今後も SaaS 型のサービスの市場規模は拡大していくでしょう。

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《引用文献》

1)hubspot, SaaS業界とは | 日本国内における業界の特徴や将来性について解説, https://blog.hubspot.jp/marketing/saas-industry#:~:text=%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AE,%E3%82%92%E7%B6%AD%E6%8C%81%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82