SalesforceとHubSpot の違いを徹底比較 自社のビジネスに適切なCRMは?

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SalesforceとHubSpotは、CRM(顧客管理)機能・各種営業支援機能により、営業部門の支援・効率化に役立つツールであると期待されています。しかし、導入に際しては、どちらを選べば適切かという点について、知って正しく導入の判断を行えないと、所期の効果が期待できなくなります。

そこで、7つの機能から、これらのツールにつき徹底比較をしました。違いをまとめると同時に、選定の基準も提示しました。営業リーダーによるシステム導入タスクフォースの運営・サービス選定の場面で比較の視点や知識についてご活用ください。

1. ユーザーインターフェースの違い

ポイント
Salesforceはどんな情報も見える化可能。反面、運用までの工数が多い。HubSpotはシンプル、運用まで極めて少ない工数で導入可能。

Salesforceのダッシュボード・レポートは、どんな組織でも合わせることができるといわれるほどユーザーインターフェースのカスタマイズ性に優れています。

見積もり・タスク・ファイル・パイプライン・グループ、といったテーマ別に、ダッシュボードに表示の優先順位をつけて表示し、それぞれを管理することも可能です。担当者別・グループ別・全社と表示レベルを変えることも可能ですので、このため、多くの営業に関するタスクを自動化する可能性があります。

しかし、これらの機能を活用するためのカスタマイズや、トレーニングなど、導入しても活用のためのタスクがさらに上乗せになる可能性が大きいです。ある程度人員の見込みの立つ大きな組織に向いているという点は留意すべきところです。

HubSpotはカスタマイズが困難である点、Salesforceのように活用の仕方により、劇的な効率化が見込めるツールではありません。コアになるCRMモジュールは、無償でもありますので、本当に最小限の機能しか提供していません。ユーザーインターフェースも名刺の並べ替えのように見える印象であり、ダッシュボード上に表示されるグラフも単純です。

そのため、入力を初めて使いだすまでにHubSpotは時間がかからないところもメリットがあります。シンプルで、あらかじめどこに何を入れるかわかりやすいインターフェースは、入力を直感的に誘導してくれるため、活用も最短距離で始めることができます。Taskとカレンダーが連携しているため、少なくとも入力が完了していれば、その日にすべきことが何かわかるレベルのタスク管理にはすぐ着手が可能です。

2. 価格体系

ポイント 
・Salesforceと違い、無償のパッケージがあるところがHubSpotの強み。アドオン・カスタマイズが必要な場合は、費用も多額になるので注意。

Salesforceの初期導入費用は、日本では15万円です。しかし、Salesforceはカスタマイズを前提に設計されているので、15万円の初期導入からすぐに数百万円単位の導入費用となりうることが予想されます。

これに対して、HubSpotは、CRM+インサイドセールス機能をいくつか付けた初期導入パッケージは無償であり、試しに使ってみたい、中小企業でも使ってみたい、というニーズには即応しているといえます。この無償パッケージで、小さい会社であればたいていのことが数人の営業担当者でも対応可能です。このため、中小企業を中心に、日本市場でも高評価となっています。

さらに、追加モジュールとして、Marketing Hub(初期費用約5万円)を導入するだけでも、インバウンドセールスに関するオートメーションツールとして多機能・高機能であり、例えばWebサイトやSNSの運営と連携・キャンペーンの管理も自動化を効率的に図ることができます。モジュールをそろえるだけでしたら、総額月々2-30万円で完結する中小企業も数多くあるようで、値打ち感が変わらないこともあります。

しかし、そもそもSalesforceよりは定型的なユーザーインターフェースがあり、ワークフローも装備してはいないので、他のシステムとの連携のような複雑なカスタマイズはあまり想定していません。こうした使い方がどうしても必要ということになると、コストの負担はSalesforceよりむしろ高くなることには留意が必要です。

3ダッシュボードとレポーティング

ポイント
・徹底的に自社のオペレーション向きに作りこむならSalesforce、最小限ならHubSpot

ダッシュボードとレポーティングについては、ユーザーインターフェースの中心部分であり、カスタマイズ性・見やすさ、そして裏付けとなるデータ分析機能に優れたsalesforceに一日の長があります。優れたダッシュボード機能・レポーティング機能、そしてこれらを支える分析機能を必要としている会社には、salesforceしか選択肢はないと思われます。

HubSpotも、ダッシュボードとレポーティングのアドオンをプレミアムプランで追加すると、200種以上のダッシュボードが作成できます。しかし、Salesforceはそれをはるかに上回る分析とダッシュボード機能を持っていること、そして、HubSpotのグラフ機能は棒グラフや折れ線グラフなど基本形態に限られているもので、ここはSalesforceの圧勝、といった感があります。

リードジェネレーション・ナーチャリング機能

ポイント
・フォームやマーケティングEメール、広告連携などを備えたHubSpotが優秀

リードジェネレーションの場面において、圧倒的にHubSpotの方が有利です。Salesforceの場合、Pardotを導入しない限りMAの機能は使えないが、HubSpotではEメールやフォーム、広告連携が無料で使用できます。また、シーケンス機能があり、営業からステップメールを送信することも可能です。今までステップメールはマーケティングのものとなっていましたが、HubSpotではセールスでも扱えるように工夫しています。

パイプラインマネジメント

ポイント
・複数部署にまたがる案件管理が必要ならSalesforce、シンプルに進捗を把握するならHubSpot

案件管理は各部のプロセスが複雑に組み合わせられていることが少なくありません。
Salesforceは、どの部の情報も案件ページに表示させることが可能です。そして、複数の部署に同時並行的に走る承認プロセスを想定・管理することも、また、複数の部署にまたがる承認プロセスも管理可能になっています。さらに、管理会計との連携も可能です。

HubSpotはこの点も非常にシンプルで、案件管理は基本情報を紐づけて情報共有させる機能ができます。業務効率化のポイントがこのパイプライン管理であるだけに、この機能で必要十分といえるか、自社の実情に合わせて検討する必要があります。

サポート体制・トレーニング

ポイント
・サポート体制は圧倒的にHubSpot

Salesforceにはオンラインコミュニティがすでに多数あり、日本語でもアクセスが可能なものが数多くあります。ユーザー間でのサポートがこれにより受けられます。

ベンダーからのサポートは、24時間電話サポート、2日以内のチケット処理が保証され、こちらも充実しています。トレーニングは導入費用に含まれるもの・オプションで追加できるものがあり、かつ、無料で提供される特別トレーニングの参加も利用者であれば可能です。

HubSpotの場合もユーザーコミュニティの動きは活発です。

ベンダーからのサポートとして、導入段階における「オンボーディングサポート」は無償ではありますが、サポートプログラムは5000ドルのプログラムが標準的な価格となるなど、割高感があります。

しかし、HubSpotの機能は今まで説明した通りシンプルであり、手厚いサポートをそもそも必要としないところをメリットとして評価されているものです。その意味で、サポートを頼る利用法が本来の利用法としてよいかは疑問が残るところです。したがって、この点で双方を比較することは難しい面があります。

7 ワークフロー・ドキュメンテーション
ポイント
・ワークフローに強いSalesforce ワークフローを重視しないスタイルによりフィットするHubSpot

こちらの機能も、Salesforceは充実しています。なんでもできるといわれるワークフローは、前述のとおり複数の部署の承認系統も整理できます。また、これはオプション機能ではありません。デフォルトで柔軟なワークフローを自社主導で設計可能です。

ドキュメンテーションの自動化は難しいものの、ストレージが大量であり、ここにテンプレートを置いておき、eSignatureのプロセスに載せることでたいていの営業関連ドキュメントを扱えることも好評です。
これに対して、HubSpotの場合、ワークフローはオプションです。フリーCRMですと、ドキュメントのストレージが250メガバイトにすぎないことから、アップグレードで無制限のストレージを確保する必要があるでしょう。

まとめ

以上をまとめると、初期の導入が無料である点を除けば、CRM の機能的にアドバンテージがあるのはSalesforceです。ただUIや機能が複雑であるために使いこなせる企業は少ないと思います。そのため、シンプルなUIでサポート体制が充実しているHubSpotをお勧めします。

またCRM導入検討の段階では、運用についても考える必要があります。以下の記事ではCRMの運用で一番困る課題である「営業担当者がCRMに入力するしない理由」をまとめています。ぜひご参照ください。