インサイドセールスを成功させる営業研修のポイントとは?

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要約SUMMARY
  • コロナの影響や慢性的な人材不足により、営業の現場ではインサイドセールスが増えデジタル化が進んでいる。
  • 競争も激化する市場で、安定的に成果を創出する営業組織を構築するには、新卒などの若手社員をいかに早く戦力化できるかがカギ。そのために、営業研修のプログラムの策定が重要。
  • 営業研修プログラムの策定には、KGI・KPI・KAI などの定量的な目標を立てるほか、オペレーションの整備、必要に応じたテクノロジーの活用などが必要
  • USEN-NEXT Design社は、「Magic Moment Playbook」を活用して、営業活動の効率化を実現し、新卒育成にも活かしており、米国では Magic Moment Playbook のように、複数のツール間に散財しているデータをまとめて、営業や顧客の現状を分析・可視化することで、売上予測や組織力強化につなげるツールが広く利用されている。

新型コロナウィルスの影響によりインサイドセールスが増え、デジタル化が加速する営業の現場では、競争が激化する市場で勝ち抜くためにも、生産性を高め組織力を強化する必要があります。そのためには、新人や若手社員の即戦力化を急ぐ必要があり、彼らのパフォーマンスを最大化する営業研修が必須となります。

本記事では、営業研修の重要性や営業研修を策定する際に注意すべきポイント、ツールを活かして営業活動の効率化と新人育成を成功させた事例、育成を加速させる最新ツールなどを紹介します。

インサイドセールスにおける営業研修の重要性

新型コロナウィルスの影響や慢性的な人材不足などを背景に、営業を取り巻く環境が大きく変化しています。対面型があたりまえだった営業活動はオンラインが主流となり、商談前にオンライン上で顧客との接点を増やして「顧客エンゲージメント」(顧客との関係値の総量)を高めながら、精度を上げた見込み客にクロージングを行うインサイドセールスを導入する企業が増えています。また、労働力不足を補填するために、SFA、CRM、MA などのツールや手法を取り入れ、オンライン・デジタル化による業務の効率化と質の向上、コスト削減を図る動きも多くなっています。

さらに、競争がますます激化する市場において、安定的な成果創出を実現する営業組織を構築するには、採用した人材を一定の期間内で求めるレベル以上のスキルに育成することが重要となります。

RMS の「人材マネジメントにおける課題」に関する調査によると、企業の人事担当管理職208名に聞いた現在の人材マネジメントの課題は、「新人・若手社員の戦力化」が67.3%でトップとなり、特に新人育成において、多くの企業が課題を抱えていることがわかります。

また、doda エージェントサービスの「転職求人倍率レポート(2021年7月)」によると、2021年7月の転職求人倍率は、前月比+0.29ptの2.15倍となっています。前年同月比で+0.54ptと増加傾向にあるものの、新型コロナウィルスの感染拡大前のレベルにはほど遠い状況となっています。

図:転職求人倍率・求人数・転職希望者数の推移

コロナ禍以前と比べて、転職求人倍率は低くなっており、企業側は人を集めやすくなっている一方で同業種の経験者など即戦力人材の確保はいまだ困難な状況にあります。

そのため、企業にとっては、新卒などの若手社員や未経験の中途人材を育成して、いかに早期に戦力化できるかが、組織の今後を左右することになります。そのためにも、採用基準を満たした人材であれば、誰もが一定の基準に早期にレベルアップできる、営業研修のプログラムの策定が重要となります。

営業研修の策定にあたり最初に把握すべきポイント

営業研修プログラムを策定するには、営業組織の最終目標である売上達成などの「KGI」(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)から逆算して、営業プロセスごとに設定する中間目標の「KPI」(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)を定量的に把握する必要があります。

アポイント~訪問・ニーズ把握~提案・クロージング~受注という一連の営業活動のプロセスごとに、コール数、商談数、提案数、受注数、受注単価などのKPIを設定し、各指標の定義と計算式を明らかにしておきます。これにより、各指標の関連性が明確になり、ボトルネックとなる要因もあぶり出すことができます。

 また、これらを把握した上で現状と目標のギャップをふまえ、育成対象をいつまでにどれくらいのパフォーマンスを発揮できる人材に育てるかという育成方針も、具体化することができるようになります。

図:ギャップを埋めるための新規採用と人材育成

こうした KPI を設定してプログラムを策定するには、全ての営業活動がデータで可視化されていることが前提となります。

インサイドセールスの営業研修でおさえるべきポイント

続いて、インサイドセールスの営業研修を行う際に注意すべきポイントを説明します。

1. 定量的な目標設定

前章で説明した、営業組織としての目標に対して、育成対象をどのようなパフォーマンスレベルに育てるかという定量的な目標値を設定します。その指標としては、「KGI」「KPI」「KAI」などが挙げられます。

KGI

「KGI」は、売上目標や見込み客 XX人獲得などの、最終目標のことです。組織のミッションにおいて育成対象が達成すべき目標を、具体的な数値で落とし込みます。「1ヶ月で商談5件実施」「半年で500万円以上の案件を2件受注」など、具体的に成果を把握できる目標設定を行います。

この際には、簡単すぎず難しすぎない、努力や工夫でなんとか達成できそうな目標を掲げるようにします。

KPI

「KPI」も前章で説明しましたが、最終目標(KGI)に至るまでの、プロセスごとの中間目標のことです。KGI から逆算して、営業プロセスごとにその目標を分解して設定します。

例えば、受注金額をKGIとしたケースでは、「受注金額=商談数×提案化率×受注率×受注単価」で計算できるので、商談数、提案化率、受注数、受注単価という KPI を、具体的な数字で落とし込みます。

実際に営業活動を進める中で、KGI を達成するためには、どの KPI を伸ばせばよいのかなど、現実をふまえた目標値の変更なども必要となります。育成対象の実力と現状を考慮しながら、必要に応じて目標数値の改善を図るようにしましょう。

KAI

「KAI」(Key Action Indicators:重要活動評価指標)は、KPI を達成するために必要な活動量のことです。

例えば、KGI が「売上前年比30%アップ」、KPI が「1ヶ月で20人の新規顧客獲得」と設定した場合の KAI は、「毎日30人の新規客にアプローチする」などが考えられます。

KPI を達成するために、自分たちがコントロールできる活動内容を逆算して KAI に落とし込みますが、できる限り外部要因に左右されずに、自身の行動で改善できるポイントを設定するようにします。また、行動量で設計する場合は、他のメンバーが実際にかかっている所要時間をふまえ、勤務時間内におさまるように設定するなど、現実的に可能な範囲で目標値を立てるようにします。

2. オペレーションの整備

能力やスキルに差がある育成担当者を、早期に同じレベルまで引き上げるには、担当者によって違いがうまれやすい要素を統一しておきます。さまざまなオペレーションを統一・整備することで、育成期間の短縮や営業活動の標準化につながります。

 【採用後に水準を達成していく様子】

1.営業プロセスの統一

アポイント~訪問・ニーズ把握~提案・クロージング~受注という営業プロセスにおいて、顧客と合意形成するポイントや、各段階で必要なノウハウなどを明文化し、育成対象者全員に統一しておく必要があります。特に初期段階では担当者によって違いがうまれやすいので、全員が同じレベルになるまで、統一したプロセスを徹底させる必要があります。

また、研修中の行動改善を効率的に進めるためにも、個人の目標値やKPIといった定量的なデータの把握だけではなく、数値では図れない定性的な情報も合わせて把握・分析する必要があります。「アプローチにあたってどのような仮説を構築したか」「顧客への確認内容や合意内容」などの定性的な情報は、フィードバックを適切に進めるためにも、統一フォーマットで型化していくことが重要となります。

2.研修制度の設計

商品知識や活用事例のインプット、営業スキルの向上(仮説構築・トーク展開・ストーリー)など、育成対象者のレベルアップに必要なスキルを学ぶことができる、研修制度を整えることも重要です。実際に研修を行った効果を元に、都度改善を行っていきます。

3.提案資料の画一化

提案資料を統一することで、営業担当者が提案の際に確認しておくべき合意事項や情報を確認でき、全員で共通認識を持つことができます。また、インサイドセールス、フィールドセールスを活用する組織では、アポイント担当者と実際の商談担当者が異なることが多く、提案資料が統一されているとアポイント担当者にも商談に必要な情報がインプットされるので、その後のスムーズで効率的な商談につながりやすいメリットがあります。

3. 上記を支えるテクノロジーの活用

営業研修を効率よく行うには、必要に応じて SFAやCRM、BI などのツールを有効活用するようにして、育成者全員のレベルの標準化、最適化を図るようにします。

また、これらのツールの活用により、リード獲得や顧客エンゲージメント向上が効率化して、対面型では実現できなかった成果や、スキルに乏しい新人でも、パフォーマンスの最大化を図ることが可能となります。

営業の型化により効率的な営業を新卒育成で適用した事例:USEN-NEXR Design 様

ここからは、Sales Tech の「Magic Moment Playbook」を活用して、営業活動の効率化・データの可視化を行ったことで成果につなげた、USEN-NEXT Design 社の取り組みを紹介します。

USEN-NEXT Design 株式会社は、現在23の事業者が傘下にある USEN-NEXT GROUP の、インサイドセールス業務を全て担っています。

同社はリード発生からオンライン商談・受注までの流れを、リードを的確に引き継いで、いかに効率よく進めるプロセスにおいて定量的な改善目標を掲げていました。

当時のオペレーションはお客様のファネルごとに完全分業で、マーケティングセールス、ナーチャリングセールスがスプレッドシートにリード情報を記入し、各オンラインセールス担当がそこから選択してアポを実行する方法をとっていました。

しかし、 Magic Moment Playbook の導入により、空いている営業担当者に自動でリードが割り当てられ、その割り当てに従ってアプローチを実施していくオペレーションに変化しました。このオペレーションの変化により、新卒営業にとってはリードが自動的に与えられるので、迷う間もなくリードにアプローチすることができるようになりました。

また、Magic Moment Playbook を活用すると営業活動が可視化されるので、新人が接点を持ったリードから、いつ何件受注につながったかなどの経過を確認することができ流ようになりました。受注に至らなかった見込み客には、MA でどのようなメールが配信され、どのくらい開封されたかなども把握可能となりました。営業経験の無い新人であっても、自分の活動がどんな成果につながっているかがわかるので、モチベージョン向上にもつながっています。

こうした定量目標に対するオペレーション変革、営業支援ツール Magic Moment Playbook の導入という取り組みを経て、USEN-NEXT Design 株式会社商談完了率が55%から70%に改善し、コスト削減や時間創出などの生産性向上を実現しました。

営業の型化と育成を加速させるツール紹介

営業活動を効率化するツールとしては、SFA や CRM、MA などがよく知られていますが、欧米の先進企業では、これらを補助するツールとして SET(Sales Engagement Technology) や SMT(Sales Management Technology) を活用する企業が増えています。

SET・SMT は、SFA、CRM、MA など複数のツール間に散財しているデータをまとめて、営業や顧客の現状を分析・可視化することで、売上予測や組織力強化につなげることができるツールです。営業活動においては、営業担当者の取るべき行動が提案され、顧客エンゲージメントを強化できるので、効率的・効果的な営業活動につながります。

代表的なSETには、SalesLoft(セールスロフト)とOutreach(アウトリーチ)などがあり、営業研修においてもこれらの SET・SMT を有効活用することで、育成対象者の戦力化やパフォーマンスの最大化を加速することが可能です。

まとめ

  • コロナの影響や慢性的な人材不足により、営業の現場ではインサイドセールスが増えデジタル化が進んでいる。
  • 競争も激化する市場で、安定的に成果を創出する営業組織を構築するには、新卒などの若手社員をいかに早く戦力化できるかがカギ。そのために、営業研修のプログラムの策定が重要。
  • 営業研修プログラムの策定には、KGI・KPI・KAI などの定量的な目標を立てるほか、オペレーションの整備、必要に応じたテクノロジーの活用などが必要
  • USEN-NEXT Design社は、「Magic Moment Playbook」を活用して、営業活動の効率化を実現し、新卒育成にも活かしており、米国では Magic Moment Playbook のように、複数のツール間に散財しているデータをまとめて、営業や顧客の現状を分析・可視化することで、売上予測や組織力強化につなげるツールが広く利用されている。

インサイドセールスが増えデジタル化が進み、量より質を求められる現在の営業環境では、新人などの若手社員を即戦力化して、恒常的に成果を創出する強力な営業組織の構築が求められます。そのために、育成対象者を一定レベルに早期に引き上げる営業研修が必要ですが、ツールなどを活用すると、彼らのパフォーマンスを最大化でき、レベルアップを加速させることが可能です。

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ぜひデータを活用した営業研修プロセスの構築にご活用いただければ幸いです。

参考資料