営業戦略とは?戦略の立て方と分析方法について解説

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要約SUMMARY
  • 営業戦略とは利益拡大のための長期的な計画・方針のことであり、営業戦略を達成するための具体的なアクションが営業戦術である。
  • 営業戦略では中長期的な目標の明確化を行った後、目標達成のための戦略に必要な情報を「市場調査・ターゲティング・顧客ペルソナの構築・カスタマージャーニーの作成」で多角的に行い、自社の強みや改善点を抽出することで方向性を導き出すことが重要。
  • 営業戦略を策定する際は「実行可能度・過去のデータ・顧客重視」の 3 点に着目することが必要不可欠。
  • 「 3C 分析」「 SWOT 分析」 「ランチェスター戦略」「ファイブフォース分析」「パレートの法則」などのフレームワークを駆使して、達成可能性の高い営業戦略を策定することが重要。

営業戦略とは企業の中長期的な目標を達成する上で欠かせない指針です。営業戦略を策定することは、多くの企業の経営者やマネージャー陣が担う重要な業務です。しかし、「営業戦略は立てたけどなかなか売上に繋がっていない」「顧客数は増えたけど、その割に売上が伸びてない」など、自社の営業戦略に自信が持てない方も多いのではないでしょうか。

例えば、営業戦略と混同しがちな用語に営業戦術がありますが、それぞれの意味を理解していない場合、優れた経営戦略を立てることはできません。本記事では、営業戦略と営業戦術の違いを理解した上で、営業戦略の立て方からそのポイントまで解説します。

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営業戦略の策定の前には、自社の営業組織の実態を確認しておくことも重要です。現在の営業組織の状態を把握し、何をすべきかを明確化したい方は以下資料のご活用ください。

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営業戦略とは

企業の成長や売上拡大の大きな鍵となる営業戦略ですが、営業戦略の定義を正しく理解することは効果的な戦略策定において極めて重要です。営業戦略と混同しがちな営業戦術との違いを理解して、効果的な営業戦略の策定につなげましょう。

営業戦略とは

営業戦略とは、市場シェアの向上や売上拡大などの目標を達成するための営業活動の中長期的な方針のことです。具体的には、競合に対してどのマーケットを狙うかのポジショニング戦略、商材を売り込むターゲット層の設定、売上目標・ターゲットを考えた上での適切な価格設定、マーケット獲得のためのブランディング構築なども営業戦略に含まれます。

簡単に言えば、どの市場でどんなターゲットに何を売ることで目標を達成するかの営業計画です。例えば、「採算重視の顧客開拓で黒字化を狙う」「ライバル企業との差別化でリピーターを増やす」「営業領域の拡大で受注数 UP を目指す」など、自社のリソースを注ぎ込む場所を決定するのが営業戦略とも言えます。

仮に「 10 年後に売上 10 億円」という目標を掲げた場合、目標を達成できる可能性は営業戦略が優れているかが肝となってきます。そのため、優れた営業戦略の立案は経営者やマネージャーにとって重要な責務となります。営業戦略はその他にも、ターゲティングの精度向上や成約率 UP 、組織パフォーマンスの向上など、あらゆるビジネス課題で成果を出す上で欠かせません。

営業戦略と営業戦術の違い

企業の中長期的な目標を達成するために重要な営業戦略ですが、似たような用語である営業戦術と混同してしまうことも多いです。成果を出すためには営業戦略だけでなく営業戦術もキーポイントとなるため、双方を正しく理解し機能させる必要があります。優れた営業戦略を立案するためにも、ここで営業戦術との違いを確認しておきましょう。

営業戦略は収益や市場シェアの増加を目的とした長期的な計画のこと

営業戦略は、収益や市場シェアの増加を成し遂げるための長期的な計画・目標のことを指します。そのため、個々人の営業数値といったミクロ視点ではなく、部門横断的な営業数値目標の打ち立て、新しい製品の販売や新しい市場への参入、カスタマーサービスの改善といったマクロ視点で全体像を見ることが重要です。

特に営業戦略は顧客との関係性を重視して策定するべきで、顧客の自社に対するロイヤリティを高めることに焦点を当てると効果的です。なぜなら長期的な売上増加には長期的にサービスを利用してくれる継続顧客の存在が大きな影響力を持ち、長期的な顧客は自社に対するロイヤリティが高い傾向があるからです。

営業戦術は成約率を上げるための具体的なアクションのこと

一方で営業戦術は、個々の販売の可能性を高めるために実行するアクションのことを指します。営業戦略で策定した目標・施策を達成・実行するために、個々の顧客に対して成約を増加させる具体的な手段や方法に焦点を当てることが重要です。

営業戦術は既に進行中の取引で成約させるために使われることが多いです。例えば、商品サンプル・サービス体験の提供や配送料の無償化といったプロモーションを打つことが営業戦術になります。

マクロ視点で長期的な売上達成計画を立てる営業戦略とミクロ視点で営業戦略を実現するための具体的なアクションを行う営業戦術は、双方全く違うものですが密接な関係があります。

長期的な売上増加を実現するには継続顧客の創出が必要であり、継続顧客の創出には企業と顧客の信頼関係を構築し、自社に対するロイヤリティを高める必要があります。そして自社へのロイヤリティを高めて売上を拡大するための計画が営業戦略であり、営業戦略を実行するには効果的な営業戦術も必要です。

このように、どれほど優れた営業戦略があったとしても効果的な営業戦術がなければ、その営業戦略を実行することはできません。

営業戦略では自社へのロイヤリティ向上が効果的であり、顧客エンゲージメントに注目する必要があります。顧客エンゲージメントが高いとリピーター増加や顧客紹介による受注数増加が期待できます。顧客エンゲージメントの理解には、以下の資料がおすすめです。

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営業戦略を確立する 5 つのステップ

ここまで営業戦略と営業戦術の重要性を説明してきましたが、優れた営業戦略を策定するには具体的にどのような流れになるのでしょうか。続いては営業戦略を策定するための 5 つのステップを紹介していきます。

1.企業の中長期的な目標を明確にする

まず前提として、企業が目指す中長期的かつ持続的な目標を策定しましょう。明確な目標が設定されていない場合、具体的な戦術につなげることはできません。営業戦略においては KGI( Key Goal Indicator の略「重要目標達成指標」)という言葉がよく用いられます。

具体的には「年間売上 10 億円」「年間の契約件数 150 件」「業界シェア 3 割達成」「昨年度より売上を 200% 成長」などがKGIといえます。四半期や年間でどれくらいの収益を出すか、自社が攻めるべきターゲットは誰か、市場のシェアを何%増加させるかといった定量的な目標を設定してください。

ここで定量的な目標を設定するのは、後から達成できたかどうかを評価可能な状態にしておく必要があるからです。特に中長期的な計画である営業戦略は、継続的に取り組みの結果を評価し続けていく必要性があります。目標に到達したか未達かが誰が見てもすぐ判断できる数値目標を設定しましょう。

ただし、いくら定量的な目標を設定したとしても、あまりに非現実的な達成目標の設定は組織内のモチベーション低下を招きます。現状の予算やリソースをもとに実現可能な売上目標をベースとして考えるように注意してください。

また、サブスクリプションビジネスは、従来の売り切り方のビジネスモデルに比べて売上の見通しを立てやすい点が特徴です。以下のような指標を参考に中長期的な目標を定めると、より有効的な営業戦略の策定につながります。

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2. 市場調査とターゲティングを行う

次に市場調査を行い、顧客ニーズやそのニーズを満たす要件、自社が置かれている市場の状況などへの理解を深めます。市場と顧客と自社商材の関係性や状況を理解した上で、そもそも顧客ニーズに対して自社ブランドが適合しているかを改めて確認しましょう。

また、この適合度を確認する作業は営業戦略を策定するにあたって極めて重要なものです。ブランドの独自の価値を明確に表現するためには、顧客にとっての価値を理解していなければ、製品やサービスを説得力を持って販売することはできません。そのため、自社の商品がどのように市場に適合するのか、市場調査や顧客へのヒアリングを通じてターゲットの解像度を高めていくことが営業戦略を考える上で必要不可欠になります。

市場と自社ブランドの適合性を見極める方法としては、SWOT 分析(内部要因と外部要因から事業環境分析を行う手法)がよく使われます。自社でコントロールできる内部要因と、社会動向・法規制・業界・競合・顧客ニーズなどの外部要因に分けて整理し、さらにそれぞれをプラス要因とマイナス要因に分ける分析手法です。内部要因と外部要因のうちのプラス要因を活かした戦略を作ると効果的だとされています。マイナス要因は目標達成の障害と考えて戦略立案時点で対策を練っておきましょう。

3. 顧客のペルソナを構築する

続いて、実施した市場調査をもとに理想的な顧客ターゲット像を設計していきます。現在の自社商品・サービスが顧客ニーズをどれほど満たせるか、どのような価値を提供できるのかを明確にし、理想的な顧客がなぜ自社商品・サービスを利用するのかまで具体的に詰めていきます。

顧客ペルソナを策定する際には、業界や企業規模、想定単価、人口統計などに基づいて顧客をセグメントに分割します。このセグメント分割を行うことにより、必要性や利益率の低い顧客にリソースを割くリスクを回避できるのが大きな利点です。セグメントを分けることでターゲットの優先順位が明らかになるので、必要なターゲットに必要なリソースを分配し、効率良く成果を出すことができるようになります。

以下の図はセグメントの1例です。規模と業種で整理した表から大企業かつ BtoB企業を狙っていることが分かります。

次に、それらのセグメントごとに 1 つの顧客ペルソナのプロファイルを作成します。プロファイルには、架空の名前と役職、業種・年齢・給与・学歴、目標と課題、顧客ニーズとの適合理由などを設定すると良いでしょう。こうして描いたペルソナをもとに、自社商品が顧客ペルソナの抱える課題をどのように解決し利益をもたらすのかを明確にします。また、ペルソナ作成後はマーケティングチームと連携して、定期的に見直していくことが重要です。

4. 顧客体験を向上するカスタマージャーニーの策定

顧客ペルソナの設計によって狙うべきターゲット像が明らかになりましたが、次に着手したいのがカスタマージャーニーの策定です。カスタマージャーニーでは、顧客が自社のサービスを知って購買に至るプロセスをフェーズ毎に分け、どのような顧客体験(感情・行動)をさせているかを整理します。カスタマージャーニーの策定により、顧客に対してフェーズ毎にどのようなアプローチを行うべきかを考えやすくする点がポイントです。

特に B to B 企業では顧客が商材を購入するまでに時間がかかるため、購入までのプロセスの中でフェーズ毎のマイナス要因を特定することが鍵となってきます。できるだけ顧客が自社商材の購入を控えるきっかけとなった要因を改善していくことが、成約率の向上に繋がっていくからです。

カスタマージャーニーの改善ポイントを知るためには、既存顧客や営業担当へのリサーチ、競合他社のカスタマージャーニーの作成を行うと効果的です。例えば、営業担当とのやり取りで気に入った点・不満点、ロイヤリティの高い顧客の取引履歴や製品利用データなど、定性/定量の両面から情報を集めていきます。

顧客が自社商品を気に入った理由や購入要因だけでなく、ターゲットが購入に至らなかったフェーズや要因、購入後の阻害要因などを特定していくことも重要です。顧客のニーズに対して価格が見合っていないケースや商品・サービスの価値が理解しにくい・説明機会がないケースもあるでしょう。また市場調査の段階で、自社商材が顧客ニーズを満たせていないケースや適合ターゲットにアプローチできていないケースも考えられます。

さらに競合他社のカスタマージャーニーの作成により、ターゲット層が競合商品の購入に至らなかった要因を自社で解決できれば、自社の顧客として狙える可能性も出てきます。こうして改善ポイントを明らかにした後は、ターゲットに与える阻害要因を解消する方法を練っていきましょう。

5. 活動指針を策定する

最後にこれまでの調査をもとに最初に定めた目標( 1. 中長期的な目標設定)を達成するための活動指針を策定しましょう。具体的には、「顧客のアップセルを増加させる(既存顧客から利益を生み出す)」「営業支援ツールの導入によりリードの獲得数を増加させる(効率化)」「新しいチャネルを開拓し顧客との接点を増加させる(チャネルごとの獲得効率[ ROI ]などをみていく)」など、目標を達成するためのアクションプランを作成します。

営業戦略を策定する準備として、2. 〜 4. にて以下の情報整理を行ってきました。

2. 市場調査により自社商品と適合度の高いターゲット顧客と自社ブランドの価値を理解

3. セグメント毎に分けた顧客ペルソナのプロファイル作成でリソース分配の優先順位を確認

4. カスタマージャーニーでフェーズ毎の顧客体験の改善点を特定

ここで念頭に置いて頂きたい点が、基本的に「顧客視点」を忘れないということです。これまで行ってきた自社商品と適合度の高いターゲティング設定も営業で良質な顧客体験を提供するためのカスタマージャーニーも、全て起点は顧客の課題解決にあります。目標を達成するための指針を策定する際は、顧客を成功に導く指針であるかを常に確認するようにしましょう。

営業戦略の策定には数多くの視点からのリサーチや情報整理が必要です。こうした情報整理のための分析をサポートする頼もしいフレームワークを以下の記事で紹介しています。詳しく知りたい方は是非ご覧ください。

あわせて読みたい:営業戦略の策定に使えるフレームワークとは?

営業戦略を策定する際のヒント

今後の企業の成長を左右するとも言えるほど重要な指針である営業戦略、調査や情報収集などで時間的にも多くのリソースを必要とします。そんな営業戦略を策定する中で「本当にこの戦略で大丈夫だろうか」と不安になってしまうこともあるでしょう。ここではそんな時に振り返って頂きたい営業戦略を策定する際のヒントを 3 つ紹介していきます。

実行可能な戦略を策定する

まず確認していただきたいのが、現実的に実行可能な営業戦略を策定できているかどうか、という点です。営業戦略は組織全体の活動の方向性を示すため、チームの活動指針として機能する必要があります。そのため、現実からあまりにも乖離した営業戦略を策定した場合、結果として実行不可能な営業戦術を構築してしまう危険性がある点には注意しなくてはなりません。

現実的な営業戦略かどうか、判断基準に迷った場合は、自社のリソースを確認することから始めてみてください。どの部門にどのくらいのリソースがあるのかを適切に評価することで、現実的な営業戦略の策定が可能となります。また、あると分かったリソースが本当に使えるのかどうかまで調査することが重要です。

過去のデータを参照する

営業戦略の不安解消には過去の顧客データを参照することも役立ちます。そもそも継続顧客の創出には顧客ニーズの仮説を正確に立てる必要がありますが、正確な仮説を立てるには、顧客の取引データ・サービスの利用データ・顧客の属性など、様々なデータを活用しながら、顧客の購買意欲の源であるインサイトを導き出すことが不可欠です。

顧客のインサイトが導き出せれば、「自社サービスに価値を感じるターゲットは?」「高い利益が期待できる顧客は?」「購買意欲を沸かせるスイッチとなる情報は?」といったヒントが得られます。こうしたインサイトは、商材開発・営業アプローチ手法・宣伝広告など、あらゆる場所に利用できるので、営業戦略においては非常に重要です。

また、顧客が利用する商品・サービス、ロイヤリティを持っているブランド・企業などのデータを分析することで、顧客ニーズをより正確に把握できます。例えば、顧客の自社商材へのロイヤリティを予測することで、継続顧客になる可能性や顧客紹介を行う可能性など利益をもたらすことが期待できる顧客だけでなく、解約する兆候などの減収のリスクを予測することができます。顧客の行動データを分析できれば、タイミングよくアップセル・クロスセルを促したり、顧客が不満に思う点を改善して解約を防いだりすることも可能です。

顧客データを収集することは顧客理解にも繋がり、営業の型作りにも役立ちます。部下の育成や営業メンバーのスキルのバラつきに課題を感じている方は、以下の記事を参考にしてみてください。

あわせて読みたい:営業組織がスケールするためになぜ「型化」が必要なのか

既存顧客を重視する

最後に重要なポイントは、既存顧客を重視した営業戦略が策定できているかどうかです。多くの営業組織では、新規獲得に注力しようとする傾向があります。確かに新しい顧客の獲得は営業スキルの向上を感じることができますし、顧客数を増やすことで売り上げを伸ばした感覚を得られるかもしれません。

しかし、ANNEX CLOUD によると、「企業のビジネスの約65%は既存顧客から成るものであり、顧客維持率が5%上昇すると、利益が25%以上増加することがわかっています。また、一般的に新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストと比較して、5倍のコストがかかると言われています。」1)つまり、既存顧客を維持する方が大きな収益が狙えることは肝に銘じておきましょう。また、既存顧客だからといって、必ずしも次回も購入してくれる訳ではありません。定期的に顧客にとって最善のタイミングでアプローチをかけるなど、信頼関係を構築し続ける必要があります。そのため、既存顧客により多くの商材や高い商材を購入してもらうための戦略が有効です。

1)ANNEX CLOUD. 21 Surprising Customer Retention Statistics for 2021. Grace Miller.
https://www.annexcloud.com/blog/21-surprising-customer-retention-statistics-2021/, (参照 2022-02-01)

特にサブスクリプションビジネスを導入している SaaS などの企業は、顧客の継続的な利用を前提としたビジネスモデルであるため、既存顧客の維持が非常に重要になります。そのため、営業戦略を構築する際には、新規顧客だけではなく、既存顧客の自社に対するロイヤリティを高めることで収益獲得につながる戦略となっているかが非常に重要です。

従来の収益モデルと違うサブスクリプションビジネスは、立ち上げや運用に苦戦する企業も多いです。サブスクリプションビジネスの立ち上げや運用で売り上げが伸びないとお悩みの方は、以下リンクより無料 DL できるガイドブックを確認してみてください。

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営業戦略を策定する具体的なフレームワーク

収集したデータや情報を活用して効果的な分析を行うことは、成果を出す営業戦略の策定にとって極めて重要です。ここでは営業戦略の策定に役立つ具体的なフレームワークをご紹介します。

3C 分析

3C 分析とは、マーケティング環境分析のフレームワークで、自社を取り巻く業界内外の情報を把握するのに役立ちます。3C とは、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の 3 つの頭文字を取ったもので、マーケティング環境を抜け漏れなく把握できるのが特徴です。

Customer(市場・顧客)→ Competitor(競合)→ Company(自社)の順番に分析していきます。Customer(市場・顧客)分析では市場規模・業界の成長性・顧客ニーズ・顧客行動など、Competitor(競合)分析では各社のシェア・競合の特色・参入企業や代替企業の脅威・業界でのポジションなど、Company(自社)分析では企業理念・商材(売上・シェア・戦略)・強みと弱み・リソース(人・金・もの)・資本力や投資能力などを、それぞれ分析します。こうして自社の状況を理解した後は、さらに SWOT 分析を行うことで、より詳細な分析を行う流れが主流です。

3C 分析を行うメリットは、自社を取り巻く市場や競合などの状況を把握できるため、営業戦略の方向性を見出すことができる点にあります。特に B to B 企業の場合は顧客が法人になるため、顧客の 3C 分析から行うと効果的です。顧客が目指す方向性を理解していることで、顧客が成功するための自社商材や顧客が興味を持つマーケティング・営業アプローチを練ることもできるようになります。

SWOT 分析

SWOT 分析とは、企業の競争力を評価し、戦略を策定するために使用されるフレームワークです。自社でコントロールできる内部要因は Strength(強み)・Weakness(弱み)に、社会動向・法規制・業界・競合・顧客ニーズなどの外部要因は Opportunity(機会)・Threat(脅威)に整理し、合計 4 つの要素で分析する手法です。

4つの要素をリスト化した後は、プラス要因(強み・機会)を活かした戦略を作ると効果的と言われています。逆にマイナス要因(弱み・脅威)は目標達成をする上での障害と認識し、営業戦略を策定する際には対策を練る必要性があります。4つの要素に分割したリストを眺めることで、アイディアが練りやすくなる点もこの分析が有効である点の一つです。

営業戦略の策定におけるメリットとしては、企業にとってのマイナスポイントを明確にできる点があります。自社の弱点を理解して改善策を練る、将来的に企業に対して打撃となる要素をいち早く予測して対策を講じるなど、営業戦略策定の際には非常に役立つフレームワークです。

ランチェスター戦略

ランチェスター戦略は、新規参入を検討している企業に役立つビジネス戦略です。元々、軍事力を定量化することで戦争の勝敗を予測する軍事戦略から採用された戦略なので、競合の強さを定量化することで、自社が競合に勝てる見込みがあるかどうかを予測することができます。基本的には強者は起業力と弱者のコピーで圧倒し、弱者は狭い範囲でシェアを得ることでトップシェアを目指すという戦略です。

新規参入の際に参考にできるランチェスター戦略としては、具体的に以下のようなものがあります。

・近接戦:顧客との距離感を密にすることで、競合にはできない信頼関係を築いてシェアを獲得します。

・一点集中戦法:自社の強みが活かせる狭い市場を狙ってトップシェアを獲得します。

・陽動戦:競合が思いつかないようなブランディングや販売方法で一気にシェアを獲得します。

・一騎打ち戦法:競合他社が 1 社の業界、競合他社が極めて少ないニッチな業界でトップシェアを狙います。

ランチェスター戦略のメリットは、勝てる見込みのない市場でリソースを無駄にすることを防ぐことができる点です。狙った市場で競合に勝てる見込みがある場合は勝てる戦術を考え、ない場合は勝てる見込みのある市場を探すことで効率的な営業戦略作りに活用できます。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析とは、企業にとって脅威となる 5 つの競合要因を特定するのに役立つビジネス分析モデルのことです。 5 つの力には、「業界内の既存の競合他社・新規参入企業・販売企業の交渉力・顧客の交渉力・代替品の脅威」があります。このそれぞれを分析することで、業界や自社の弱点と強みを理解する際に活用できます。

営業戦略においては、自社の競争状況を理解することが重要であるため、自社のポジショニングを考える上で非常に参考になる分析です。例えば、企業にとって脅威となる競合が少ないほど、高価格での提供が可能になるため、売り上げを伸ばすことが期待できます。逆に競合が多いほど、価格の引き下げや顧客獲得の難易度上昇といったリスクを予測でき、前もって対策を講じることができます。これにより、業界の収益構造から売上を予測したり、新規参入・事業撤退などの判断基準にしたりすることも可能になります。

ファイブフォース分析のメリットは、競合分析においてSWOT 分析よりも広範囲の競争環境を理解することができる点にあります。そのため、営業戦略のような長期的な計画を立てる場合は、ファイブフォース分析と SWOT 分析の結果を合わせて考えることで、より正確に自社の競争環境を理解することができます。

パレートの法則

パレートの法則とは、「結果の 80% は 20% が作り出している」という観察結果から生じたもので、「 80:20 の法則」ともいわれています。営業においては「売上げの 8 割は 2 割の社員に依存する」といった傾向のことです。こうした人的リソースの配分の他に、企業全体での予算の割り当てから個人レベルの時間管理まで、あらゆることに用いることができる考え方です。

特に営業戦略の策定シーンでは、「顧客の上位 20% が売上の 80% を占めている」という考えに応用することができます。しかし、単純に顧客の上位 20% だけに人的リソースを注ぎ込むということは全ての顧客に等しくサービスを提供したい企業にとって非常に困難です。そのため、顧客の上位 20% と同様の顧客を 20% 増やすという戦略で収益を増やす企業が多いです。具体的には、上位 20% 付近にいる顧客を 20% に引き上げる、上位 20% になる見込みのある新規顧客を獲得する、などがあります。

パレートの法則のメリットは、リソースを効率的に割り当てるヒントとして活用できる点にあります。営業戦略の策定時に、選択と集中の割り当てで迷った場合は参考にしたい考え方と言えます。ただし、これはあくまで法則ではなく観察結果なので、80 : 20 の割合は参考程度に考えるようにしましょう。

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