セールスイネーブルメント 1ヶ月でトップセールスを育てる仕組み【ウェビナーレポート】

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要約SUMMARY
  • コロナ禍において、リモート営業の機会が増えています。デジタル化が進む中、顧客の営業に対する期待値も上がり、リモート営業のでも価値訴求ができるスキルが求められています。
  • セールスイネーブルメントを実施することで、営業組織の強化ができます。営業マンが短期間で結果を出すことや、トップセールスのナレッジを組織に浸透させ、科学的に実施することが実現可能です。
  • SFA や CRMはマネジメントのためのツールとなっています。SFAやCRMで分断されていたデータを一本に繋ぎ、そのデータをもとに、営業担当者に今取るべきアクションを提示してくれるセールスエンゲージメントプラットフォームを活用することで、セールスイネーブルメントを実現できます。

Magic Momentでは『セールスイネーブルメント 1ヶ月でトップセールスを育てる仕組み』のウェビナーを開催しました。

営業組織の強化において、セールスイネーブルメントが注目されています。
しかし、セールスイネーブルメントを通じて何を実現できるのかはまだまだ理解できていない方も多いと思います。

当ウェビナーでは、セールスイネーブルメントについて、1ヶ月でトップセールスを育てることができた弊社の事例を交えながらお話しします。
本記事では、ウェビナー(セミナー)内容の一部を紹介いたします。

→セールスイネーブルメントを実現し、営業の成果を10倍にした『Magic Moment Playbook』

セールスイネーブルメントとは?

セールスイネーブルメント(sales enablement)とは?

セールス・イネーブルメントの定義は、営業活動改善のための一連の取り組みです。セールス活動に関するトレーニングやコーチング、マーケティング分析、セールスツールの活用といった施策をトータルで設計しながら改善し、それぞれの施策の成果を数値化して分析を行い、次の施策に向けて更なる効率化を各企業は目指しています。結果的に営業活動のレベルアップにつながりますが、セールスイネーブルメントの実践により営業パーソンの個々のパフォーマンスが向上し、会社全体の売上の底上げを実現することができます。

これまで多くの会社は、新入社員の独り立ちするまでの教育体制はマニュアル化していましたが、独立後の教育体制は整っておらず、その後の営業活動の改善が難しいのが現状です。そこで活躍するのが、セールスイネーブルメントの概念になります。

セールスイネーブルメントの市場での注目度は高まっている

salesforce(セールスフォース)でセールスイネーブルメント本部長を勤め、日本におけるセールスイネーブルメントの第一人者である山下氏も、「成果につながる営業人材育成」がセールスイネーブルメントであると述べています。 1)

セールスイネーブルメントを導入し、適切に活用することで、営業活動を最適化し、組織全体の営業力を向上させ、ビジネスをスケールさせる効果が期待できます。近年ではセールスイネーブルメントツールやコンテンツ、コンサルサービスや求人数なども増えていることからも、注目度の高さが伺えます。

セールスイネーブルメントのメリット

営業の成果を考えるとき、分布という理解をすると分かりやすいです。セールスイネーブルメントを実施すると、数多くいるローパフォーマーが、徐々にハイパフォーマーに成長を遂げていきます。

セールスイネーブルメントを実施しなかった場合、人を増やしてもローパフォーマーの数が増えるだけになってしまいます。これが実施することで、人を増やさずともハイパフォーマーの数を増やすことでき、コストパフォーマンスのよい売れる営業マンを量産できるようになります。

セールスイネーブルメントを学ぶのにおすすめの書籍

セールスイネーブルメンについては以下の書籍からも学ぶことができます。セールスイネーブルメントを進める手順や、進める前に整備すべきことについてより深く知りたい方はこれらの書籍を読むこともおすすめします。

  • セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方
    山下貴宏(著)/2019年12月18日発売/ISBN:4761274581
  • 営業力を強化する世界最新のプラットフォーム セールス・イネーブルメント
    バイロン・マシューズ 他(著)/2019年1月17日/ISBN:4877718052

セールスイネーブルメントが注目されている背景

営業及び営業組織を取り巻く環境は大きく変化している

コロナ前から大きく環境が変わっていく中で、営業現場においても様々な変化が必要になっています。

2020年末時点で、国内企業の37.4%がインサイドセールスを導入し、うち46.9%は1年以内に導入しています。
コロナによってThe Modelなどの組織変更が進んでいます。

図1:営業および営業組織を取り巻く環境の変化(Magic Moment 作成)

リモート営業はまだまだ導入に至ってない

テレワークは導入が進んでいるが、リモート営業となるとまだまだ導入している企業は多くありません。しかしながら、テレワークもリモート営業もここ1年で導入した企業が多く、特に直近1年以内にテレワークを導入した企業は77%と比率が高く、強制的に変化をしなければならない状況にもきています。

図2:テレワーク・リモートワークの現状(HubSpot Japan『日本の営業に関する意識・実態調査2021』 2)より Magic Moment 作成)

顧客との関係構築に苦戦している

『テレワーク中の営業活動の課題調査』のアンケート調査より、リードの獲得数や顧客の商談数が減っているという結果が出ています。
しかしながらリモートワークのため、社内の MTG は増えており、コロナ前と比較し、忙しくなっている人もいらっしゃるようです。

図3:テレワーク営業活動の課題(Innovation & Co.『テレワーク中の営業活動の課題調査』よりMagic Moment作成
より Magic Moment 作成)

顧客は更なる「提案力向上」「ツール活用」を期待している

『リモート商談に関する実態調査』のデータを見ると、リモート営業に対する顧客の期待値が上がっており、営業は提案力向上やツールの活用が求められています。このように、テレワークやリモート営業が進んでいる一方、営業への求められる期待値も上がっている厳しい状況になっています。

また、意思決定者の90%以上がデジタルツールの活用が進んでいくだろうという見立てをしており、その期待に応えられる営業の提案力が求められているのです。

図4:要求される営業スキル(有限責任監査法人トーマツ『リモート商談に関する実態調査』よりMagic Moment作成)

セールスイネーブルメントを成功させるポイント

セールスイネーブルメントを成功させるポイントは以下6つです。

  • 短期集中の座学 + 実戦トレーニング(架電)は効果的
  • トレーニング下、活動量は成果と比例する重要な指標
  • 人数が増えるほど知見が指数関数的に蓄積し、オンボードが容易に
  • 営業活動の記録と示唆出しが要諦であり、合意形成に着目
  • 既存SFA/CRMで上記を実現するには大きくコストがかかる
  • 海外では Sales Engagement Tech が勃興しており、日本でも取り組み可能

実際に弊社で行ったセールスイネーブルメントの事例を元に、解説していきます。
※弊社は人事ではなく、現場の営業担当者がトレーニングを担当しています。

短期集中の座学研修+早期実戦トレーニング(架電)は効果的

図5:セールスイネーブルメント1ヶ月でトップセールスを育てる仕組み(Magic Moment 作成)

すでにセールスイネーブルメントの体系が整っていれば、基本的な座学を行なった上で実践を行うことが重要です。
その際、期間を設けて集中的にトレーニングを行うことで効果が期待できるでしょう。

早期実戦のためには、営業メンバーの不安解消が重要

トレーニングを行う際、参加メンバーにトレーニングによって得られる効果や期待値を事前に伝え、目的を明らかにすることでトレーニングの効果を最大化できるでしょう。目的がないと、なんのためのトレーニングが理解が十分でないため、メンバーの不安は解消されません。

また、営業メンバーが日々の活動で不安に感じていたり、自信がない領域を理解した上でそのポイントを解消できるような内容にすると良いでしょう。
トレーニングを受ける前と受けた後で何が改善されたか、評価軸を揃えることで正確な効果測定が行えます。

トレーニング下、活動量は成果と比例する重要な指標

図6:活動量と成果は比例する(Magic Moment作成)

どれくらい企業にアプローチしたかというアプローチ社数と、アポイントの数は比例関係にあります。活動量は一定のレベルまでは結果に直結するため、
活動量の重要性をエビデンスを引き合いにして伝えることは、トレーニングを受ける側のモチベーション向上に寄与するでしょう。

図7:営業活動量の増加(Magic Moment作成)

活動量を増やすことのメリットは非常に多いです。メリットの1つ目として、経験が増えて打率が高まります。これは量が質に転換するという話です。
顧客と話すことにより、営業担当者の経験がどんどん増えることにより、成長が早められます。

もう一つは、打率の低さを打席数でカバーできるようになり、顧客から多くのフィードバックを貰うことができます。
結果として、成果を早く出せるというところがメリットです。

スクリプトを用意しても、やはり最初はロボットのように読み上げるだけになってしまうため、打席を増やすことで、自然とスクリプトなども自分に定着化していくことが期待できます。

人数が増えるほど知見が指数関数的に蓄積し、オンボードが容易に

図8:セールスイネーブルメントでトップセールスを育てる(Magic Moment 作成)

営業人数を増やせば増やすほど、生産性は挙げられます。どのようなトークがささったのか、どのような業界がアプローチしやすいかといった情報をトークスクリプトに落として改善していくことができます。そのため、新しく入社した人でも、すぐにキャッチアップできる環境がつくれていくのです。

通常であれば人数増えると、生産性はどんどん落ちていくイメージがあると思いますが、セールスイネーブルメントであれば逆の結果が起きるのです。

例えばKPIとして100件検証に必要なサンプルがあったとした場合、1人で20件のアプローチが可能だとします。
その場合だと5日間かかりますが、5人いれば1日で終わらせられ、5日間で500件の検証結果をまわすことができるのです。

セールスイネーブルメントで最も重要なポイント:合意形成に着目

図9:「合意形成に着目」(Magic Moment 作成)

セールスイネーブルメントでは、「合意形成」と「全体最適」にこだわる

上記の図のアポイント数だけ見ると、一見田中さんがトップと読み取れますが、LTV の観点でいうと山田さんの方が生産性の高い真のトップセールスと結論づけられます。
このような貢献度の高い人を真のトップセールスと呼び、この実態を理解し、再現性を高めて営業組織全員を育成していくためには、
山田さんのようなパフォーマンスを残せる背景を理解しておく必要があります。

山田さんの LTV は結果であって、なぜ山田さんが結果を生み出せているかという理由は、アポイントの数や売上という結果だけを見ていると読み取れません。

例えばヒアリング時点で「予算の有無を確認しているか」「決裁者が誰かを確認できているか」というように、何をヒアリングできているか、それがどのような影響を及ぼしているのか、という背景を理解するためにデータ分析が必要になってきます。

したがって、予算の合意ができているか、ツールに項目を入力してもらうことにより、山田さんは架電時に田中さんより予算に関する情報をヒアリングできるということがわかってきます。

セールスイネーブルメントは SFA/CRM など既存ツールのみでは難しい

CRM/SFA はマネジメントのためのツールと化している

CRM/SFA がマネジメントのためのデータ入力ツールになっており、それでは営業担当者は負担でしかありません。
なかなかデータ入力も定着がしなかったり等、不正確なデータしか集まらなくなってきます。

したがって、正しくデータを入力してもらうためには、データが営業担当者のためにある、価値がある、普段の営業活動に効果的であるという状況を作らなくてはいけません。

図10:SFA/CRMはマネジメントのためのツール?(Magic Moment 作成)

営業記録の徹底は難しい

マネージャーの方はできる限り解像度をあげて現状を把握したいと思っています。なぜならば経営陣から「あの案件はどうなっているか?」と具体的にあ数字を求められてしまうプレッシャーを日々感じています。結果として、社内報告のために、さまざまなデータを現場担当者に入力してもらおうと促すようになってしまいます。

その結果現場担当者は、「あれも入力しなきゃ、これも入力しなきゃ」といった状況に陥ります。その結果、データ入力の時間がますます肥大化していき、顧客と向き合う時間がますます減っていくという本末転倒な結果になってしまいます。
このような背景から、データ入力の負担に非常に大きくなってしまい、営業記録が入力されなくなっていきます。

図11:営業記録の徹底は難しい(Magic Moment 作成)

データの入力・加工・分析を行うために組織が存在

現在はデータを活用するために、ツール担当者のような方が、データを都度都度修正したり、月末や月次定例などの報告のために、 MA や CRM のデータを何度も何度も修正し、つなぎ合わせ、辻褄が合うようデータ修正に多大なる労力をかけています。

図12:最先端の営業オペレーションとは?:SET 以前(Magic Moment 作成)

データ活用を行うためには既存の CRM や SFA で成果を出そうとすると、実現できないことはありません。しかし、営業メンバーに入力してもらうことや、入力したデータを活用するために加工する人が必要になります。

無論ツール利用料そのものがかかっており、初期の導入費用や設定費用がかかっています。このように金額に落とし込むと、営業担当者1名あたり1年で150万くらいコストがかかっている計算になります。

図13:既存SFA /CRMではコストがかかる(Magic Moment 作成)

セールスイネーブルメントはセールスエンゲージメントプラットフォームを活用することで実現可能

セールスエンゲージメントプラットフォームは、今まで SFA や CRM で分断されていたデータを一本に繋ぎ、そのデータをもとに、営業担当者に今取るべきアクションを提示してくれます。既存の SFA や CRM がマネジメントのツールになっていますが、セールスエンゲージメントプラットフォームであれば、営業担当者の役に立つためのツールとして活用できます。

セールスエンゲージメントプラットフォームの役割

  • 目的: MA・ CRM/SFA など顧客データの入力 / 活用による、オペレーションの効率化と組織営業力の強化
  • 理想の状態: CRM/SFA ツールへのデータ記録の自動化/効率化や、顧客データの活用による顧客コミュニケーションの効率化、営業における組織力の可視化と改善へのインサイト導出です。
  • よくある失敗例:そもそも CRM に顧客データが活用可能な形で入っていない、 CRM との連携が上手くいかない、営業シナリオ( Playbook )の自社策定が困難である点。
  • 導入/運用におけるポイント:現状のオペレーションや利用するツールとの連携性を担保(特に CRM やコミュニケーションツール)、自社の営業プロセスの確立と営業活動におけるベストプラクティスの抽出。
図14:先進ツール事例(Magic Moment 作成)

国内では、弊社Magic Momentが「Magic Moment Playbook」というセールスエンゲージメントプラットフォームを運営しております。
ご興味ある方は、ぜひご覧ください。

▶︎海外のツールに関して、以下記事でも解説しております。
オンライン営業を成功に導く先進テクノロジー Outreach とは
オンライン営業を成功に導く先進テクノロジー:Salesloft

セールスエンゲージメントプラットフォームでデータ入力文化を根付かせ、マネジメントに対して信頼性の高いレポートを出せる

セールスエンゲージメントプラットフォームが導入されることにより、営業担当者には、営業活動を効率化する支援ができるようになります。具体的にはリアルタイムで活動を記録したり、そのデータに基づき今すべきアクションを提示してくれるようになります。

マネジメントにとっては、営業組織の活動状況や顧客の情報、必要なインサイトというものを提供してくれるようになるのです。

図15:最先端の営業オペレーションとは?:SET 以後(Magic Moment 作成)

まとめ

コロナ禍によって顧客の考え方の変化や求める価値が変わってきています。営業は無論顧客に合わせ活動を変化し、顧客のニーズを満たしていく必要がありますが簡単ではありません。

セールスイネーブルメントを通じ、今の顧客に求められるスキルを身につけ、強い営業組織を作ることが求められています。そのためには SFA や MA だけでなく、セールスエンゲージメントテクノロジーの活用が不可欠です。

セールスエンゲージメントプラットフォームを導入し、活動データを分析することで、いままでになかった視点やインサイトが得られます。結果として経験の浅い人や、なかなか結果が出ない人でも化学的なアプローチや、効果的なコーチングを受けることで生産性を上げることができるのです。

Magic Momentでは日本にまだ普及していないセールスエンゲージメントプラットフォーム領域のプロダクト「Magic Moment Playbook」を販売しております。実際に成果を10倍にした事例なども創出しております。

ご興味ございましたら、ぜひ以下をご覧ください。

《引用文献》

1)ワンマーケティング株式会社, セールスイネーブルメントとは? 第一人者の山下貴宏さんが語る本当の意味. 2022-05, https://www.onemarketing.jp/contents/sales-enablement_01_re/ (参照 2021-11-06)

2)HubSpot Japan, 日本の営業に関する意識・実態調査2021. 2021-02, https://www.hubspot.jp/company-news/stateofsales-20210208 (参照 2021-11-06)

3)SalesZine, 8割以上がテレワーク中の営業活動に課題感 1位は新規リード減少/Innovation & Co.調査. 2020-11, https://saleszine.jp/news/detail/2019 (参照 2021-11-06)

4)有限責任監査法人トーマツ, リモート商談に関する調査結果. https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/risk/articles/ra/remote-sales-report-2020.html (参照 2021-11-06)