
インサイドセールス代行業者を活用する際に注意すべき3つのポイント
- インサイドセールスの代行業者を活用した後、ポイントとなる技術を社内に共有・定着させることができれば、契約終了後も社内でインサイドセールス組織の構築が可能になります。
- インサイドセールスを代行する際、アポ数は取れるが商談に繋がらない、代行契約後にインサイドセールスの組織が根付かない等の過去の失敗例を学び、できるだけ具体的に代行会社と情報を共有して質の高いアポ取得や受注率向上を実現し、売上拡大につながる環境を整えることが重要です。
近年、営業組織を営業、マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスと役割に応じて分業する The Model 型の営業プロセスが浸透しています。それにより、インサイドセールスを導入している企業は年々増加しています。
インサイドセールス立ち上げを企図する企業の中でも、人員やノウハウ不足を補うために、まずはインサイドセールスの代行会社を活用するケースがあります。しかし、インサイドセールスを代行する場合、実際には多くの企業で受注まで繋がらないという現状があります。
本記事では、インサイドセールスを代行する際に何に気をつけるべきなのか、確実に成果を生み出すためのポイントをお伝えします。
インサイドセールスの代行会社を活用することによるメリット
営業担当者が商談・提案活動に集中できる
インサイドセールスという役割やチームを設けていない場合、営業担当者は営業活動に関わる全ての業務を一人で行う必要があります。アプローチ先のリスト作成、会社概要の確認、架電、商談のためのヒアリング、アポの日程調整、商談の実施、受注後の手続き、という提案活動以外の業務にも多くの時間を割きます。
インサイドセールスとは、営業活動を全てリモートで行う営業形態やその実施組織のことを指します。多くのインサイドセールス組織では、アポイント創出までを担うことが一般的です。そのため、上記のようなアポイントの日程調整までに必要な会社概要のリサーチを踏まえた架電、商談のためのヒアリングなどを担うため、分業体制を実現することができます。
営業活動を効率化できる
世界最大のクラウド型 CRM ベンダーであるセールスフォース社の CEO 、マーク・ベニオフ氏は自著『Behind the Cloud 』の中でインサイドセールスの導入によってコスト削減と受注率向上を同時に実現できたと語っています。
このようにインサイドセールスの導入は、コスト削減、受注率の上昇などに加え、提案活動への集中による提案の質の向上という複数のメリットがあります。
商談機会を創出してくれる
インサイドセールスの使命は、新規商談の機会を作り出すことです。商談数が少ないことには、提案の機会を得ることも、契約の可能性が見えてくることもありません。インサイドセールスを代行することで商談機会の創出ができることは大きなメリットです。
インサイドセールスを代行するデメリット
無駄な商談が増えてしまう可能性
会社の進むべき方向性や自社の得意とするパターンを、代行するインサイドセールスが理解しないまま活動をしても、成果に結びつかない商談が増える可能性があります。
というのも、各部門の KPI が異なると、一貫したアプローチをお客様に提供できなくなるからです。これは結果として、アポの創出自体が目的となってしまうのです。対策としては自社サービスを十分に理解してもらい、どのように自社サービスが顧客の課題解決に貢献できるのか説明できる状態にしておく必要があります。代行会社とは、この点に留意したコミュニケーションが重要になります。
フィールドセールスとの連携不足
いわゆる営業として、外回りをして顧客と商談をするフィールドセールスは、本来インサイドセールスとのタイムリーなコミュニケーションが欠かせません。インサイドセールス代行会社が獲得した商談の結果がどうだったか、営業がフィードバックしないとインサイドセールスの改善のプロセスが回りません。両者の連携が強化されるよう、アポイントの取得の仕方、ヒアリングの改善ポイントなど積極的に営業がフィードバックをすることが重要です。
営業活動のマネジメントが難しい
在宅での勤務も増えるため、営業活動が見えづらくなることもデメリットの一つです。インサイドセールスとフィールドセールスが同じ場所で作業を行い、アポイントをとった内容をその場で共有できれば、連携もスムーズにいきます。しかし在宅の勤務の場合、コミュニケーションのハードルが上がるため、活動の状況・進捗の把握などが難しくなります。
インサイドセールスを代行するときに気をつけるポイント3点
注意点その1:インサイドセールスの代行を導入する目的を明確にする
インサイドセールスの代行業者を活用する場合、何を目的とし、何のために依頼をするかを明確にしておくと良いでしょう。目的は具体的であればあるほど良く、できれば定量的な目的を設定することで代行するインサイドセールスが動きやすくなります。例えば KGI と KPI を設定し、目的を明確化することが効果的に動いてもらうポイントになります。
注意点その2:継続的なインサイドセールスの体制構築を見据えて代行会社を選ぶ
インサイドセールスの体制自体は、代行会社に依頼することでスピーディーに構築できます。しかし重要なことは、代行会社が抜けた後を見据えて内製化できるようなロードマップを描いておくことです。
方法としては、インサイドセールスのノウハウを自社でも再現できるよう共有し、代行会社が抜けた後もインサイドセールスを継続できる体制を作ることが望ましいでしょう。
代行会社には、アポイントの件数を多く取ることが得意な会社もいれば、依頼会社の意図を汲み取って、件数は少なくとも質の高いアポイントを取ることが得意な会社もあり、特徴はさまざまです。
本来営業が行うべきヒアリングまでできる会社や、顧客との契約締結までできる代行できる会社もいます。代行会社は他社と差別化を行うために、インサイドセールス業務に付加価値をつけてサービスを提供していることも多いです。依頼する会社は、何を目的として代行会社に依頼をするか明確にしていくことが、依頼後のミスマッチを防ぐことに繋がります。
注意点その3 費用対効果を総合的に検討する
アポイント数ではなく、受注数・受注率を視野に入れた ROI を基に、本当に成果創出につながるのかを検討することも重要です。アポイントは件数を取ることも重要な目的の一つですが、最終的には営業がクローズできる可能性の高いアポイントを取ることが理想です。
したがって代行会社には、自社の得意とする受注パターンや、得意な業界を事前にインプットし、できるだけ勝ちパターンを満たす条件でアポイントをとってもらえるよう依頼をすることが重要です。
インサイドセールスを代行するときのよくある失敗例
アポの獲得を目的としてしまっていた
代行会社と社内のクロージングを行う営業間でのリードの温度感や顧客課題の共有の体制ができておらず、アポが受注につながらないといった失敗事例があります。特に商材が複雑な IT の場合、アポイントの件数を KPI にすると失敗に陥る可能性があります。したがって件数ではなく、アポイントの質も重視することが必要です。
KPI を設定する際も、できるだけ条件を具体的にした上で代行会社にアポイントの依頼をすべきです。特定の業界、特定の部門、特定の利用方法など、アポイントを取る代行会社へわかりやすい条件を伝えます。さらに自社の受注パターンを理解してもらうことで、数が少なくても質の良いアポイントを取ってもらい、失敗を防げるでしょう。
インサイドセールスのスキルや知見がたまらない
代行を止めた途端に成果が出せなくなってしまうケースもあります。日々の業務で代行会社がどのように、何に着目してアポを獲得しているのかが分からないと、社内で再現性を持った営業ができなくなってしまいます。インサイドセールスを代行会社との契約が終わった後も仕組み化して継続させたい場合は、代行会社のノウハウをマニュアルやプロセスとして落とし込めるようにしておきましょう。
例えばですが、自社の中からインサイドセールスのスキルを身につけさせたい候補者を数名選び、代行会社のインサイドセールスがどのような動きをしているか学べるような体制を作るのも一つの手段です。リストアップの方法、電話対応の仕方、アポイントの日程調整や、オブジェクションハンドリングなど学ぶ点は多くあるはずです。
インサイドセールスで成果を上げている企業
LINE 社の例
先述の失敗例に対し、インサイドセールスにおいて成功を収めている LINE 社では、社内で顧客課題を把握し、共有する体制が構築されています。LINE 社は弊社とともに、商談管理やリードの創出などの営業活動に欠かせないフローを全体最適化し、社内全体のデータを繋いで顧客にフォーカスすることで、受注率10倍という驚異的な成果をあげています。
LINE 社はまず、部門ごとに散らばっていた顧客データを統合しました。それは、営業成果を向上させるうえで、お客さまとの関係性を示す「顧客エンゲージメント」が必要だったのです。
そのため、弊社とともに顧客エンゲージメントの形成に必要な経営指標と顧客データの可視化に取り組みました。ただの分業ではなく全部門がお客さまの体験を育成することに重点を置いて体制を構築していきました。
LINE 社の成功モデルからわかることは、顧客の行動や合意形成をするための指標などの顧客データを収集し、社内全体の KPI をもとに顧客起点の営業プロセスを可視化する。そして、各部門が顧客との関係構築に徹底的にフォーカスすることが、売上の基盤を構築し、組織を拡大させていくということです。
LINE 社の広告事業本部の林さんは「今後は、データを活用してより再現性の高い営業プロセスを組み、顧客エンゲージメントを高め続ける組織に変革し、継続率を高める仕組みを作っていきたい」と話しました。
このように、インサイドセールスで成果を上げるためには、分業自体は重要ではありません。重要なことは、会社全体で顧客エンゲージメントの形成に必要な指標を定義し、共有することです。
インサイドセールスで成果をあげるためには
インサイドセールスの使命の先には、獲得したアポを受注まで繋げていけるかという観点があります。そのために、代行したインサイドセールスとフィールドセールスが連携して PDCA を回せる体制を作ると受注確度にも繋がってきます。
見込み顧客への聞き取りを入念に行い、アポイントを丁寧に取ることが出来れば良い商談になります。そしてそのようなインサイドセールスの活動内容が共有され、メンバーにも周知徹底されれば、ノウハウが少しずつ溜まっていきます。結果として、将来的にインサイドセールスを内製化する際にも、再現性を持って自社内で質の高いインサイドセールス活動を持続することができるでしょう。
成果創出のプロセスを体系化するCS-BPOの魅力
CS-BPO とは
営業支援 SaaS を提供する Magic Moment は、『 CS-BPO, Inside Sales 』という従来のカスタマーサクセスより更にクライアントの内部から営業組織変革を目指す、新たなサービスを生み出しました。この CS-BPO は、インサイドセールス専門の人材を提供し、お客さまとともに成果を創出するサービスです。
インサイドセールス代行会社と CS-BPO の違い
専任のスタッフが受注につながるアポを短期間で創出する
成果の出るプロセスを構築した上でアポイントを創出する点が、通常のインサイドセールス代行会社との最大の違いです。アポイントの獲得段階で、顧客の課題を業務プロセス、業界特有の状況を踏まえて把握するため、営業は見込みのある商談に絞って集中することができるようになります。インサイドセールス代行会社が取得するアポイントより深いレベルで見込み顧客を理解するため、質の良いアポイントを積み上げていくことができるようになります。
アポ獲得から受注までのオペレーションを構築する
日々の営業活動を通じ、営業のシナリオや商談のトークスクリプトを作成・改善することでお客さまにノウハウが蓄積されます。インサイドセールスの業務であるアポイント獲得に留まらず、営業活動、受注のクロージングプロセスまでのオペレーションを構築します。
したがって、営業活動時における課題やノウハウ、提案内容を理解した上でインサイドセールス業務に反映できる点が CS-BPO の特徴です。
お客さまのメンバーの一員として成果創出を行います。
アポの納品を目的とせず、あくまでお客さまの売上を KGI として取り組むことで、一連の行動が成果と密接に関連するものになります。CS-BPO はインサイドセールスのアポイント獲得の先にある受注を最終目標としています。その目標から逆算し、どのようなアプローチをしたら売り上げに繋がるアポが獲得できるかという点を意識して活動できます。
まとめ
インサイドセールスを代行することで、自社にインサイドセールス組織を構築できるようになりますが、代行業務後を見据えた組織づくりを意識する必要があります。Magic Moment の CS-BPO を利用することで、インサイドセールス業務だけでなく、インサイドセールス営業活動から得たノウハウや実行のオペレーションの構築までを担います。
弊社とともに売上の拡大、営業組織の強化をしませんか。是非 こちら を参考にお気軽にご連絡ください。
参考文献
- クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語 (ダイヤモンド社)
- Gertner “Inside Sales”, https://www.gartner.com/en/sales/glossary/inside-sales
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