LTV を最大化させるには?メリットや成功のための方法を徹底解説

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LTV (顧客生涯価値)は文字通り、一人の顧客が生きている間に、特定の商品やサービスを購入して企業にもたらす利益です。企業は LTV の最大化によって収益の安定化や、マーケティングコストの削減が実現でき、顧客との関係の強化といったメリットが得られます。さらに顧客ロイヤリティを高めることが、LTV 向上につながります。

この記事では、LTV がなぜマーケティングにおいて注目されているのかや、LTV と顧客ロイヤルティとの関係、LTV を最大化する方法について紹介します。

LTV を最大化する意味

多くの企業で LTV が重視されるようになった背景として、国内においては少子化による人口減少を背景として経済成長のペースが緩やかになったために、市場が成熟化してきたことがあります。市場の成熟化とは、特定の商品が広く行き渡り、これ以上パイが大きくならないことを指します。

これまで企業にとっては、市場のシェアが重視されてきましたが、今日の日本ではシェア争いは限られたパイの奪い合いに例えられます。

新規顧客開拓が難しい時代に

1980年代までの人口も経済成長も右肩上がりだった時代には、すでに車を持っている家庭は、子どもが大きくなればもう1台車を買うことが一般的でした。自動車メーカーが特に努力をしなくても、新たな顧客が増えていきました。ところが、少子化で低成長の現在の日本では、車に乗らない若い世代も増えて、自動車メーカーは新規顧客を開拓することが難しくなっています。

人口減少によって市場全体が縮小する傾向にあるため、製造業からサービス業まであらゆる業界で新規顧客の獲得が難しくなっています。

消費行動が多様化しマーケティングコストが上昇

さらに消費者行動も、今と昔では変わりました。インターネットが普及した2000年代より前までは、モノは小売店で買い、サービスはテレビ・新聞・雑誌などの広告を見てから店や会場に申し込んでいたのが、現在ではインターネットで買い物や申し込みができるのが当たり前となりました。

「さらに先進的な消費財メーカーでは、自社のウェブサイトに EC 機能を持たせることで直販機能を強化」※しました。具体的には歯みがきや石けん、洗剤などを扱うメーカーが、自社のウェブサイトで商品を直接売るような動きが、出てきています。

現在は、消費者が商品を買うルートが多様化したことにより、企業はさまざまな販売チャネルに応じたマーケティング施策を講じる必要があります。日用品メーカーなどは、テレビや新聞などにマス広告を打っていれば良かった時代から、SNS やウェブ広告、SEO までをも意識した施策を行うため、コストも上昇しています。

LTVはコスト削減の視点からも注目される

企業にとっては不特定多数の人たちに自社製品を買ってもらうより、顧客一人あたりの収益を最大化した方が、営業効率がよくコスト削減につながるのです。そこで LTV に注目が集まるようになりました。薄利多売よりも、一人の顧客に自社のサービスを継続的に使ってもらうことで、企業の収益を高める必要性が出てきたのです。

LTVを最大化させるための変数

ここからは LTV の算出方法を説明することで、LTV の重要性についてご理解頂きたいと思います。

LTVの算出方法

まず、LTV の算出方法は、下記の式になります。

LTV =平均購入単価×平均購入回数×継続年数

上記の計算式は顧客を全体としてとらえ、平均値から求める方法です。LTV を算出する前提としては、顧客一人あたりの「客単価」「購入頻度」「継続購入期間」をつかんでおくことが必要です。

客単価・購入頻度・継続購入期間それぞれの計算式は、下記のようになります。

客単価

顧客一人あたりの売上高 

客単価(円)=売上高(円) ÷ 客数(人)

購入頻度

一定期間内に顧客が商品・サービスを購入する頻度

継続購入期間

初めて商品・サービスを購入してからリピート購入し続けている期間

特に SaaS では、以下の式で算出する場合もあります。

LTV 最大化への鍵は顧客ロイヤルティ

企業にとって LTV を最大化するためには、客単価と購入頻度を高める必要があることを、先にご説明しました。

アップセルとクロスセル

客単価を引き上げるための方策としては大きく、顧客により上位のサービスに移行してもらう「アップセル」と、すでに自社のサービスを利用してもらっている顧客に付加サービスや他のサービスも利用してもらう「クロスセル」の2つがあります。

SaaS のような業態であれば、顧客に月額10万円のスタンダードプランから、同20万円のプレミアムプランに切り替えてもらうようなケースが「アップセル」。月額10万円のスタンダードプランに加えて、月額5万円のサポートサービスに入ってもらうのが「クロスセル」です。

商品の販売であれば、一人あたりの顧客による購入点数の増加は、クロスセルの結果とも言えます。顧客がその企業から買う商品数を増やす、あるいは同じ商品でも高い金額を支払うということは、顧客による企業へのロイヤルティの高さによるものと考えられます。

平均購入回数と顧客ロイヤルティとの関係

次に平均購入回数が多い顧客と、特定の商品やサービスへの信頼や愛着を意味する「ロイヤルティ」の関係について、みていきます。ブランドに対する愛着が増すほどブランドへの接触回数が多くなり、購入回数が増えると言う図式が成り立ちます。

つまり、そのブランドへのロイヤルティが高まったことによって、ある顧客の購入頻度がこれまでの1カ月から半月になるといったように、消費速度が早まるという変化が起こります。

顧客の継続年数と顧客ロイヤルティとの関係

顧客によるロイヤルティと LTV の関係では、購入単価や購入頻度が増えるということに加えて、顧客の継続年数の長さに関係があるということも見逃せません。先ほどの計算式にも示したように、継続年数の長さは LTV に直結するからです。

顧客ロイヤルティの高さは、現在顧客が利用しているサービスからの離脱率や解約率が下がる効果が期待できます。

SaaS事業でLTVを改善する鍵となる「顧客ライフサイクル」とは? – Accel by Magic Moment 

顧客ロイヤルティを高めるには

顧客ロイヤルティの向上が LTV 最大化に深く関わっていることが、分かりました。ここからは顧客ロイヤルティを高めるための方策について説明します。

ブランド価値を広める

顧客ロイヤルティを高めるためにはまず、ブランド価値を広める必要があります。ブランド価値は目に見えない(数値化できない)ため、商品の作り手やサービスの提供元のこだわりや想いなどを言語化する、またはモデルなどのキャラクターによってイメージ化するなどして、顧客にブランドを浸透させることが必要になります。

顧客満足度の向上

顧客ロイヤルティの高さは顧客満足度とも密接なため、顧客満足度を高めるために商品やサービスの品質を高めることはもちろん、接客やアフターサービスを日々改善していくことが求められます。顧客満足度を高めるためには、ユーザーアンケートによって自社の満足度を把握し、サービスを顧客本位に変えていくことが必要になります。

優れた UX の提供

シェアリングエコノミーやサブスクリプションなどの広がりを受けて、売り切り型のビジネスが衰退している昨今、顧客体験( UX )が重視されるようになってきました。特に Saas  型のビジネスモデルの場合、サービスの利用が快適であるか、サービスの利用によって喜びが得られるかどうかは重要です。

企業がサービスの申し込み時から利用時、利用後のサポートまで、一貫した利便性や快適性をユーザーに提供することは、顧客ロイヤルティの向上につながります。

顧客とブランドの結びつきを創る

ブランドの価値を広めるのと同時に、SNS やウェブサイトなどを通じて顧客との結びつきを創りだすことも欠かせません。例えば長くサービスを利用している顧客限定のイベントを企画したり、購買単価の高い顧客に特別優待サービスを実施したりすることにより、企業に対するロイヤルティを醸成することができます。

パーソナライズしたサービス提供を行う

顧客の購買履歴や、どういった経路で顧客が購買に至ったのかという CRM データは、マーケティングにおいて重要です。これらの CRM データを分析することにより、ひとり一人の顧客にパーソナライズしたサービス提供が可能になるからです。

LTV を最大化させる際のポイント

LTV を最大化させるためには、長期にわたり継続して、データを活用した施策を行うために CRM/MA ツールを活用することが有効です。

長期にわたる取り組み

長期的な継続だと思って取り組む LTV を高めるためには1、2年といった短い期間では成果が見えません。5年、10年先、数十年を見すえて長期にわたる取り組みが求められます。

継続的に顧客との接点を作る 

顧客との接点については、顧客の離脱や解約を防ぐためも、継続して接点をつくることが必要です。例えばサービスを開始してから半年、1年といった単位で顧客による自社サービスの利用状況を尋ねたり、イベントや新たなサービスの情報を提供するといった細かな施策が必要になってきます。

データや CRM/MA ツールを活用する

LTV を実効性のあるものとして継続していくためには、 CRM/MA ツールを活用することが有効です。 なぜ CRM/MA ツールが必要になるかという理由について、以下で説明します。

多くの企業が、マーケティングに精通した人材を社内に抱えていたり、新たに雇ったりする余裕があるとは限りません。人材市場においては、デジタルマーケティングに精通した人材の賃金は上昇傾向にあり、企業が収集したデータを分析し、マーケティング施策にまで落とし込める人材は不足しています。

そこで、昨今のマーケティング人材の不足を補うツールとして、CRM/MA ツールが登場してきたという背景があるのです。社内にマーケティングに精通した、あるいは統計学の手法などを用いてデータを解析するスペシャリストがいなくても、CRM/MA ツールを活用すれば、自動でデータ収集や解析がしてもらえ、マーケティング施策のあるべき姿が見えてきます。

まとめ

これまで、多くの企業で LTV が重視されるようになった背景として、日本の少子化や経済の低成長を背景とした市場の成熟化、売り切り型ビジネスから継続課金型ビジネスへの転換が進んでいることを見てきました。

そして、これまでの薄利多売的な販売手法から、顧客との継続的な関係を維持していくなかで、顧客ロイヤルティを高めアップセルやクロスセルを実現していくことにより、LTVを最大化できることも分かりました。

LTV の最大化につながる顧客ロイヤルティを高めるためには その土台となるデータの収集と分析が欠かせないことも、重要です。そして、LTV を最大化するためには、CRM/MA ツールの活用が一つの手段となることを示しています。

そのうえで、適切なツールを選定するためにも、まずは組織の正確な現状把握を行い、ツールの導入の目的をはっきりさせることが必要です。「 BtoB 営業組織レベルチェックシート」を使って、自社の営業組織を評価してみてはいかがですか?

参考資料

消費財メーカーによる顧客の LTV (生涯価値)向上のためのデジタルマーケティング (特集 デジタルマーケティングの新潮流) https://cir.nii.ac.jp/crid/1520573329904609664

『デジタルマーケティングの定石』(垣内勇威著、日本実業出版社)