戦略のないマーケティング施策の落とし穴

アメリカの起業家養成スクール「Yコンビネーター」の創業者 ポール・グレアムによれば、「スタートアップが成功する確率は7%しかない。Dropbox や Airbnb などのように大化けする確率に限っては0.3%ほどしかない。」と言われています。

このような状況下で格闘しながら、サービスが磨かれ、顧客の課題を解決するプロダクトが生まれる感覚を持った時、企業はさらなる受注を目指して活動をします。その内の1つの施策として、マーケティングが挙げられます。自社の開発した商品(製品)・サービスを市場に普及させるためには、マーケティング戦略が欠かせません。

この記事では、マーケターが業務で取り組んだ施策を紹介しながら、マーケティング戦略の重要性について提唱します。

あるマーケターが取り組んだ部分最適な施策の末路

ある企業の一例を挙げます。業務管理の SaaS プロダクトを BtoB 向けに販売しており、従業員数は40名、シリーズB の調達も終了しました。マーケティングチームは合計3名、内1名はインターン生です。

マーケティング予算を投下できるかどうかのジャッジメントとなる PMF (Product Market Fit) を達成しており、経営会議では予算投下も決定しています。

そして、下記の施策を実行します。

  • Web サイトをリニューアルする
  • コンテンツマーケティング用のサイトを新設する
  • Web 広告を運用する
  • マーケティングオートメーションツールを導入する
  • 展示会に参加する

これらの業務を3人で対応することは容易ではありません。しかし、実際彼らはそれぞれの施策がうまく実行されているような感覚を持っていたのです。

なぜ、そのような感覚を持ったのか。その理由は、様々な施策からマーケティングチームがリード数を増やすことに貢献していたからです。具体的には、1Q のリード数が200であったのに対し、2Q は1000ものリードを創出していました。

本当に売上に繋がる成果は出ているのか?

ある時、マーケティングのマネージャーは経営メンバーに、マーケティング予算に対する ROI を報告することになりました。

ここで致命的な問題が発生しました。上記のたくさんの施策のうち「何がリード獲得に繋がったのか?」「今後はどの施策に注力をするべきか?」全く判断が出来ない状況になっていたのです。これではマーケティング施策の ROI が証明できません。

HubSpot の調査結果からも、「マーケティング ROI の証明」はマーケティング上の優先事項では39%です 。以上のことから、マーケティング活動全体の ROI の証明は優先度が低くなっていることが分かります。

戦略なしでやってしまいがちなマーケティング施策

多様化する施策にメンバーのタスクも増え続け、一つひとつの施策の振り返りができていません。一体、何が問題だったのでしょうか?振り返りをしてみましょう。

Web サイトをリニューアルする

トータル400万円を投資して外注業者に依頼し、Web サイトをリニューアルしました。見た目こそよくなりましたが、経営の数字にどのようなインパクトが出たのかが測定できていません。もちろん、CV 数やページセッション数、直帰率などの数字は見ていますが、Web サイトをリニューアルすることが前提になっていたので、次に打つ手がありません。

コンテンツマーケティング用のサイトを新設する

コンテンツマーケティング用のサイトを新設をしましたが、コンテンツの運用戦略がなく、定期的にコンテンツを発信することができていません。HubSpot 社によると、コンテンツ戦略を持っている BtoB 企業はわずか44% で、BtoC 企業になると39% にまで減少するという結果も出ているほどです。

Web 広告を運用する

Web 広告の運用経験者がおらず、単に40万円を投下する検証で終わってしまいました。

マーケティングオートメーションツールを導入する

マーケティングオートメーションツールとして有名な Marketo を導入しましたが、実際に打った施策はメールの一斉送信だけでした。導入することだけが目的となってしまい、成果を生み出すために必要なプロセスや便利な機能がイマイチわからないまま運用する日々になっていたのです。

展示会に参加する

展示会に積極的に参加したため、リード数(名刺の数)は増やすことができました。しかし、今後どのようにアプローチしていけばいいのか何も決まっていませんでした。さらに、3日間のイベントを乗り切ること自体がゴールになってしまいイベント後の動きは決まっていません。

このようなバラバラな施策では、効果測定ができず、次の戦略を立てることができません。そして、問題は一番重要な「これらのマーケティング施策が本当に売上に貢献したのか」が、判断ができないことです。

 

戦略的なマーケティングを実現するために必要な手順

このように、マーケティング一つひとつの施策には戦略が必要であることがわかります。そして、部分最適ではなく、全体最適が大切なのです。

例えば、「マーケティングオートメーションツールを活用したマーケティング」です。このツールを使うには、4つのプロセスがあると言われています。「戦略立案→環境構築→コンテンツ作成→キャンペーンの作成」です。

戦略立案の一例を紹介します。

  • KPI 設定
  • 全体戦略策定
  • ワークフロー策定
  • ペルソナ策定
  • カスタマージャーニーマップ作成
  • セグメンテーション
  • ROI 推定
  • スコアリングルール設定
  • 運用規定策定

一つひとつの施策を戦略的に取り組むことが事業の成長に繋がります。そして、これらの戦略・施策を確実に実行するためには、ノウハウ・人手・スキルセット・実行力などが必要なことがわかります。

これからのマーケティングとは?

戦略のないマーケティング施策では、事業を成長させることが出来ません。では、どのようにマーケティング戦略を定めれば良いのでしょうか? 有識者の採用が必要になるのでしょうか?

例えば営業が顧客に出会うまでに半分以上の購買プロセスが過ぎていることが増えてきた今、デジタルマーケティングで顧客接点を作り出すことは重要な戦略になるでしょう。実際、デジタルマーケティング市場は今後10年間でさらに拡大すると予測されています。

次の記事では、デジタルマーケティングを駆使した「インバウンドマーケティング」について、HubSpot Japan 共同事業責任者の伊佐氏にインタビューを行なっています。今の時代に求められるマーケティング戦略の作り方を学びたい方はぜひご覧ください。

【独占】HubSpot Japan共同事業責任者が語る、インバウンドマーケティングの新時代