製造業のDXの要諦:サブスクリプションへの挑戦

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日本だけではなく世界規模で製造業の改革や DX が進んでいます。現在は、従来のビジネスモデルを転換しサブスクリプションビジネスの導入や活用を模索しています。

現在では製造業をやってきた企業の DX やサブスプリクションビジネスの成功事例も明確に存在している為、これから変革を進めていく上でのバイブルとして利用することも可能です。しかし、単純にサブスプリクションモデルを模倣するだけでは意味がありません。

そこで、今回は製造業におけるDX/サブスプリクションビジネスが成長するためのポイントを成功事例も踏まえて解説していきます。

明暗を分けているメーカーの現状

製造業においては、各社独自の改革を行っています。しかし、ここ1年では大きく明暗が分かれ始めています。

まず最初に、製造業の主要企業の株価を比較していきます。この比較により各メーカーのおかれている状況を把握することが出来ます。(株価:2020年11月12日時点)

売上高営業利益利益率売買価格上昇率※
ソニー4兆824億500万(+1%)5,461億5,900万(+7%)13.4%916,000円 +35.4
リコー7,619億4,800万(-23%)-306億1,800万(-163%)-4%68,000円 ▲37.7
パナソニック3兆591億5,500万(-20%)966億2,700万(-31%) 3.2%105,200円 +3
富士通1兆6,318億3,700万(-11%) 622億4,800万(-12%)3.8%1,341,000円 +4.25
日本電気1兆3,150億3,000万(-9%) 199億7,300万(-57%) 1.5%566,000円 +30.6
京セラ6,960億3,700万(-13%)240億6,500万(-60%)3.5%611,600円▲14.9

※上昇率=1年前との株価比較による上昇率

 

上記の図では、製造業における全てのメーカーを比較している訳ではありませんが、現在ではその成長においては明暗が分かれているとされています。では、成長しているメーカーの特徴とはどういう内容でしょうか。

その成長の最大の特徴が「DX」への取り組みに成功している為と数多くのメディアで紹介されています。

では、どういった取り組みがその成功に起因しているのでしょうか。今度は、上記で紹介している中で「ソニー」「NEC」「富士通」の成功事例をご紹介していきましょう。

製造業 DX とサブスクリプション 事例紹介

これからDXを取り入れる場合でも、DXでの効果を今以上に求める場合には、成功している3社のサービス導入(活用)を検討することが自社での成功の近道です。

事例①|ソニー:リカーリングモデル

最初にご紹介するのはソニーの「リカーリングモデル」です。

ソニーの復活を後押ししたのが、このリカーリングモデルですが、ソニーは同時にサブスクモデルも提唱をしています。この2つは似ている様でも大きな違いがあります。

 リカーリングサブスクリプション
直訳の意味(英語)繰り返される・循環する予約購読・年間購読
事例(BtoC)PlayStationaibo
料金形態従量課金制定額制
特徴・利用されることが収益モデル

 

・継続利用の努力が必要

 

・定額制により利用有無に関わらず収益が望める

 

・利用頻度を下げる工夫が必要

従来はこの様に、違うモデルとして利用されていた2つをリカーリングモデルのサイクルの中にサブスクを取り込むことで継続的に利用されるモデルを構築し成功を果たしています。この概念は当初、リコー独自の概念とされていましたが、現在ではこのモデルを利用した様々な事例が誕生しています。

 

事例②|富士通:DXへシフト

富士通では、「SNAPEC-PF S1/Platform」を展開しています。これは、EC(電子商取引)基盤により商品やサービスの展開をするサブスクリプション型サービスです。このサービスは特にレンタル・リース販売サービスに適しており、SaaS型クラウドサービスとして提供しています。サブスクリプション型ビジネスにいて「受注、契約、請求」までの一連サービスを提供する仕組みです。フロントエンドとしては、ECサイトとしての基本機能を保有しておりECサイト構築サービス「FUJITSU Business Application SNAPECシリーズ」と連動して利用することが可能です。

 

事例③|NEC:DX、AI、5Gへ経営資源を集中

2020.2.3に通信回線をソフトウエアで制御する「ソフトウエア・デファインド・ネットワーク(SDN)」事業にサブスクリプション(定額課金)モデルを導入するニュースを発表しています。従来は、個々別の企業要望で対応していたネットワーク機器の貸し出しや運用を見直し今後3年間で1000億円をめざすとしています。

このサービスには、NECの得意とするAI・IoT技術やIaaSを駆使したサービス事業の技術を最大限に適用することで従来の課題を解決することが出来るとしています。

提供するサービス形態は

①ネットワーク機器と保守をセットで提供する機器サービス

②サービスデスクや機器の監視、運用管理を担うサービス

の2つとして展開していくとしています。 

製造業のDXでも注目のサブスクリプションビジネスとは

製造業のDXにおいても注目されている「サブスクリプションモデル」。このモデルは、商品や提供されるサービスに対して、都度、直接代金を支払う方法ではなく、「定額制」と言われるある一定期間は同額の料金でサービスを利用できるモデルのことです。

サブスクリプションビジネスは掛けたコスト(投資)の回収が中長期的になり、その時期のみを捉えるP/Lやキャッシュフローだけでは事業の健全性は判断できないのが特徴です。

長期的な売上や利益を確保する上で、ユニットエコノミクスやチャーンレートだけでなく、マーケティングや営業の生産性や顧客満足(顧客価値)を測る指標が事業投資を判断する上で必要となってきます。

このように評価指標が変わるということは、従来のBS/PL 的な事業評価の考え方も変わっていかるということになります。

これらのサブスクリプションビジネスの成功のために重要な指標に関しては、「サブスクリプションビジネス経営者が見るべきKPI10選」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

こうした今までとは異なる指標が事業評価にあたって重要になっているということは、つまり日々の業務の生産性などに関する正確なデータの可視化及びその活用がサブスクリプションビジネスを成功させる大きな鍵となっていると言えます。

サブスクリプションビジネス成功の要締

サブスクリプションビジネスでは、長期的な売上や利益を確保する上で、ユニットエコノミクスやチャーンレートだけでなく、マーケティングや営業の生産性を見るための正確なデータを確保することだけでなく、顧客との関係性にフォーカスすることも肝要になります。

これは、顧客がいつでもサービスを解約することができるサブスクリプションビジネスでは、顧客との関係性が長期的な売上や利益の確保に直結するためです。こうした顧客との「深い関係性」「友好的なつながり」「親密さ」を「顧客エンゲージメント」と言います。

従来の売り切り型のビジネスモデルでは、製品を売ってしまった時点で売上や利益の金額がある程度確定するため、「モノを売る」ことや目先の売上が事業運営や営業組織運営で重要視されてきました。

しかし、顧客との関係性が最重要になるサブスクリプションビジネスでは、「顧客エンゲージメント」にフォーカスしなければならないため、それに伴って組織も変革する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

製造業における DX とサブスクリプションビジネスモデルについて、ご紹介しました。

一言でDXといっても、その導入と成功までには様々なステップを踏む必要があります。今回ご紹介している内容は、そのほんの一部でしかありません。サブスクリプションの事業とは、顧客といかに向き合うかで成功の有無が決まってくることはご紹介している通りです。最終的には、ビジネスの成功とは顧客との向き合い方により決まってくるということも踏まえて、今後の検討の際の手始めとして本記事を参考にして頂ければ幸いです。