CRMデータを活用し、営業力強化を実現する最先端テクノロジー

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営業組織のデジタルトランスフォーメーションの重要性

企業がデジタル・トランスフォーメーションを検討する上で、何から手をつけたらいいのか分からないといった悩みを抱えていらっしゃる企業の担当者の方が多いのではないでしょうか。

デジタル・トランスフォーメーションによってより効率的な受注獲得を実現し、事業を成長させたい場合、売上に直結する営業組織のデジタル化こそが真っ先に着手すべき事項だといえます。

実際、営業担当者の業務には、営業活動によって収益を拡大する以外にも事務的な作業など売上に直結しない不要な業務が多く、営業活動に集中できず無駄なコストを支払ってしまっている傾向があります。ある統計データによると、営業担当者が営業活動に費やせる時間は、労働時間全体の34%という結果があります。

図1 :1週間のうち営業担当者が各業務に費やす時間の割合( Salesforce state-of-sales-3rd-ed よりMagic Moment 作成)

企業活動において売上を増加させるのは営業活動であり、営業活動では顧客や顧客と企業との関係性こそが先行指標になります。

また、顧客からもたらされる情報は、自社が提供するソリューションや戦略・組織を考える上で大きな示唆を与えてくれます。

このような理由から、営業組織のデジタル化に着手し、営業担当者が顧客に対して行動を起こす時間を増加させることは非常に重要です。

後ほど紹介しますが、GAFA をはじめ欧米の先進企業においては、SFA、CRM、MA といった営業組織をデジタル化するツールの利用に加え、Sales Engagement Platform ( SEP )というツールの導入が進んでいます。SEP は営業担当者やカスタマーサクセス担当者が取るべきデータドリブンな行動を具体的に提案してくれるので、担当者の顧客エンゲージメントを強化するために利用されています。

CRM 活用の難しさ

CRM (顧客関係管理ツール)は、営業組織のデジタル化のため導入するべきツールだと言えますが、導入時の期待とは裏腹に、実務での活用に苦労している企業が多いのも現実です。

以下では CRM 活用において多くの企業が直面する課題と、営業担当者の視点から考えた原因を解説します。

データ取得の課題

CRM にはデータの土台として顧客データを入力する必要がありますが、営業担当者によるデータ入力の段階で多くの障壁があります。

データが入力されない

まず、そもそもデータが入力されないといった課題が挙げられます。

営業担当者にとって、データの入力は入力項目が多く面倒に感じる、入力する手間や煩雑さに見合ったメリットを感じられていない、あるいはITリテラシーが低く入力に苦手意識を感じているのが理由です。その他失注時の代替案件としたいために、あえてデータとして入力しないこともあります。

不正なデータ入力が生じる

また、データを入力しても、不正なデータ入力が生じることがあります。例えば実質失注している案件が停滞した状態になっている、営業活動状況の見た目をよくするために月末にダミー情報を入力し月初めに消去する、といった事案が起こり得ます。

営業担当者にとってフェーズの達成が評価指標となっている場合、CRM 上での結果を良くみせるためにこのような不正入力が起こってしまうと考えられます。

入力データの粒度が荒く、分析や活用ができない

せっかく入力されたデータでも、商談メモがテキスト形式であったり、受注確度が営業担当者の肌感覚であったり、受注結果のみが入力されていたりと、データの粒度が荒く分析や活用ができないといった課題があります。

これは、営業担当者の間で入力に関する明確なルールが存在していないこと、入力項目が多すぎることに起因すると考えられます。

データがリアルタイムに入力されていない

リアルタイムで顧客関係の管理ができるのが特徴の CRM であっても、データ入力がリアルタイムにされておらずそのメリットを享受しづらくなってしまうことがあります。例えば平日に時間が取れないため土日に入力が行われる、案件の更新が行われず新規から受注にステータスが飛ぶ、といったことが起こります。

リアルタイムで入力されづらいことの原因として、営業担当者が入力の手間や煩雑さに見合ったメリットを享受できていないこと、一定期間ごとに利用する報告ツールとみなされていることが考えられます。

データ分析の課題

データが入力されていても、そのデータを分析する際の課題として、部門ごとのデータ構造がバラバラでデータの連携ができない、データが構造化されておらず成型が必要、分断されたデータを繋ぐために膨大なコストがかかるといった課題に直面することが考えられます。

これらの課題は、組織ごとに独自のサービスやシステムを導入している、テキストデータなどの非構造データが多くデータが構造化されていない、といったことが要因として挙げられます。

データ活用の課題

CRM 上でデータの分析ができても、その結果を有効的に活用しづらいという課題があります。

チャネル別の投下コストに対する ROI が見えない

顧客データや受注結果がデータとして蓄積されていても、チャネル別の受注に対して投下されたコストが計算できず明確な ROI 指標として活用できないことが挙げられます。

これはチャネルごとにかかった費用を判別するためのデータやプロセスが構築されていない際に起こると考えられます。

LTV や CAC などの経営指標が見えない

LTV や CAC など経営指標が明確に分からないのは、受注前と受注後のデータが分断されており、顧客起点でデータの閲覧ができなくなっていることが考えられます。

要員の再配置やアロケーションの見直しができない

要員の再配置の見直しができないのは、案件に費やしている工数が収集されていない時に起こります。

属人化を脱した組織力の強化ができない

属人化を脱した組織力の強化ができないのは、データが蓄積されておらず、営業プロセスも標準化されていないため、人の判断に依存する点が多くシステム導入のメリットを享受しにくくなっていることが原因と考えられます。

CRMデータを活用する新たなテクノロジーの登場

セールス・イネーブルメント( Sales Enablement )とは、営業チームがより多くの取引を成立させるために必要なコンテンツ、ツール、知識、情報を反復的に提供するプロセスを指します。

Sales Engagement Platform ( SEP )は、セールス・イネーブルメントを可能にする技術で、SFA、CRM、MA など複数のツール間に散らばっているデータを収集・分析・可視化し、それに基づいて売り上げ予測や提案を行います。

SEP を活用することで、営業担当者やカスタマーサクセス担当者が取るべきデータドリブンな行動が提案され、担当者の顧客エンゲージメントを強化してより効果的な営業活動につなげることができます。

欧米の先進企業では、MA や CRM を補助するツールとして SEP を活用

日本において、SEP はまだ認知の少ない概念ですが、欧米の先進企業では Salesforce、Hubspot、Marketo といったMA / CRM ツールを補助するツールとして SEP が活用されています。

以下では主な SEP である SalesLoft と Outreach について紹介します。

SalesLoft(セールスロフト)

SalesLoft はアメリカ発のSETツールで、営業部門やカスタマーサクセス部門の顧客エンゲージメントを支援します。具体的には、見込み顧客の優先順位づけや、メール・架電をひとつのツールで行うことができます。

SalesLoft は、Facebook、WeWork、Zoom、Stripe、IBM、CISCO といったアメリカの先進企業で導入されています。

Outreach(アウトリーチ)

Outreach は SalesLoft 同様アメリカ発の SEP ツールで、営業部門やカスタマーサクセス部門の顧客エンゲージメントを支援します。SFA / CRM / MA と連携し、効果的な見込み顧客の育成のために役立つ行動を把握することができます。プレイブック作成機能やレポート機能がある点も特徴です。

Outreachは、Microsoft、Adobe、DocuSign、Okta、Showpad といったアメリカの先進企業で導入されています。

上記のようなテクノロジーに関連し、本資料を読めば、以下の2点をクリアできるように、必要な情報を厳選しています。

①多くの企業が直面している CRM およびそのデータ活用の実態について知る
②上記課題を解決する最先端テクノロジーの概要と効用について理解する

ぜひご活用ください。

CRM データを最大活用する最先端テクノロジー

SEP を利用する際の具体的な効果

欧米の先進企業で導入が進んでいる SEP ですが、SEP を利用することで具体的にどのような効果があるのでしょうか。以下では、SEP を導入することの主なメリットを解説します。

1. データ統合することで、多大なコストを削減できる

社内で MA や CRM など多様なツールを使用している場合、その全てのデータをつなぐためのシステム開発やデータ設計費に膨大なコストが必要になります。100人の営業組織の場合、そのコストは年に2.0億円にのぼります。

SEP を導入すると、MA や CRM 内のデータを統合でき、利用価値のあるデータとして活用することができます。

2. 営業担当者が適切なタイミングで適切なアクションのガイドを受けられる

MA や CRM を駆使したオペレーションでは、営業担当者に表示される画面上のアラートが不明確で、具体的に実施するアクションを担当者自身が判断する必要があります。そのため見込み顧客へのアプローチ方法やタイミングは営業担当者に依存します。

営業担当者個人の判断に行動が依存する場合、マーケティングからのデータが営業活動として生かされず、MA や CRM と連携しているデータの価値がほとんど失われてしまいます。

SEP を導入すると、Webサイト訪問、資料ダウンロード、問い合わせといった顧客の行動に基づき、営業担当者に対して「〜を〜〜するために電話しましょう」など具体的な行動と目的が表示されます。そのため、営業担当者は個人の判断に依存せず、適切なタイミングで適切なアクションを起こすことができます。

まとめ

企業が DX に取り組む中で、まず着手するべきなのは営業組織のデジタル化です。特に欧米の先進企業においては、SFA、CRM、MA といった営業ツールの利用に加え、顧客エンゲージメントを強化する SEP の導入が進んでいます。SEP は日本ではまだ新しい概念ではありますが、SEP を導入することでより高効率な営業活動を実現し、DX の成功を目指しましょう。

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