顧客管理だけじゃない CRM導入で収益を向上させる方法

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CRMは顧客の情報を一元管理するだけのシステムと思っていませんか?

確かに顧客情報が1ヶ所で管理できるようになることで問い合わせ時などの顧客対応がスムーズに行えるなどの単純な業務効率化に役立つシステムではありますが、それだけではもったいないというのが正直なところです。 実際、それだけのメリットでは、セールスなどの顧客窓口担当者の業務量の増加に対してのバランスが取れず、従業員全員がCRMを適切に活用することができないといった状況になりかねません。

CRM導入の本質的な目標は、一元的に収集された顧客情報データをもとに分析し、新たなインサイトを発見すること。また、成約率や収益の向上を実現することです。

この記事ではCRM導入で収益を向上させる方法について解説していきます。

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CRM導入で収益を向上させる方法

まずは自社に合ったツールを選定することを第一に、適用は既存顧客から行い、効果を見ながら見込み客などの新規顧客に適用していきます。ポイントはあらゆる顧客への適用を一気にやろうとしないことです。運用自体もテストチームを作り改善した内容で、全社にリリースすることをおすすめします。より具体的な方法については以下に解説しています。

正しいCRMツールの選定

従業員の生産性を上昇させるため、まずは連絡先の検索やデータを入力するような手動のプロセスを除けるもしくは自動化できるツールを選定することです。例えば顧客管理システムで顧客情報を管理していても、外からのアクセスができず、顧客の連絡先を社内の事務担当者に調べて欲しいと電話をするようなセールスもいるでしょう。

また営業活動の報告を入力するために帰社し、自席に戻って日報を入力することも日常的にあるのではないでしょうか。

もし、外出先からスマートフォンやタブレットなどでCRMにアクセスし、連絡先を調べたり、活動報告ができたりすれば、セールスや営業事務担当者は、これまで使えなかった時間をより多くの顧客に割くことができます。このような面では、スマートデバイスへの対応の可否の他、特に入力画面に注目しましょう。文章での入力で多くをまかなうものではなく、選択式で現状のステージを選択するなどに対応しているものを選ぶといいでしょう。

正しいツールの導入によって、従業員の生産性を上昇させ、顧客との接触時間をより多く作り出すことで、将来的な顧客の育成や既存顧客との関係醸成に充てられる時間を増やすことが重要です。

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チームでCRMを活用する意識を持つ

CRM-活用

CRMは部分最適ではなく、全体最適を行う仕組みとして取り入れられるべきものです。セールスにとっても使い勝手のよいCRMツールを導入し、移動時間に活動報告を入力できたとしても、セールスにとっては、これまで次の商談のシミュレーションに充てていた時間を報告に充てるなど、時間の使い方の変更を余儀なくされている状況でしょう。

 日々顧客対応に忙しいセールスは、何か得られるものがなければすぐにその報告をやめてしまいます。セールスのアクションに対して、上司からのアドバイスなどがタイムリーになされるならばセールスにとってもメリットがあるでしょうが、ただ入力だけさせられて何の役に立っているのかわからないという状況になってしまえば、わざわざ貴重な時間をCRMに割くことがなくなるでしょう。

ただ現場のセールスがタイムリーに活動報告を入力するだけでは、セールスの負担が増えただけという結果になるだけです。逆にそれと引き換えに上司からタイムリーにアドバイスが受けられるというメリットが享受できれば、現場のセールスも当たり前のようにタイムリーな活動報告を行うようになるでしょう。チームで活用しているからこそ意味があるという意識を忘れないことが重要です。

CRMを他のシステムと連携する

マーケティングオートメーション(以下MA)ツールや電子メールなど、CRMツールにその他のツールを連携させましょう。なぜなら、これまでは営業活動やマーケティング施策は個々にバラバラで管理されており、成功パターンを見つけ出すことが難しかったからです。

CRMにさまざまなツールを連携することで、どのようなパターンの時に成約に繋がりやすかったのかを見通すことができ、またホットなタイミングを逃さずにアプローチすることができるようになります。特にMAツールとの連携は、CRMを導入する企業では鉄板の組み合わせです。

顧客の閲覧したメールやwebページなどの情報からスコアリングし、セールスへアプローチのタイミングを通知したり、閲覧したページにあわせてあらかじめ設定しておいたステップメールなどでおすすめの情報を顧客へお知らせしたりといったアプローチが可能です。スコアリングの高い顧客については、インサイドセールスが電話で会話することで、インターネット上の動きだけでは見えない情報を聞き出し、さらなるアプローチに役立てます。

顧客との関係性を深めるのに役立てる

CRMは顧客との関係性を深めるのに最も役立つツールです。これまでは各セールス個人で管理していた情報をCRM上に書き留めることによって、単に現在商談中の顧客と製品だけの情報ではなく、将来的に顧客が目指す方向などを社内全体で把握することができ、適切なタイミングでよりよい新たな提案を行うのことができるようになります。

この精度が上がれば安定した受注額の見込みも立てられます。すべてが受注に至らなかったとしても、顧客からの信頼度は格段に上がるでしょう。

 そのためには日頃から顧客にとって何が重要なのかを見極め、それらをCRM上にメモしておきましょう。具体的には顧客の事業計画などを聞き込み、CRM上でその時期を登録し、適切なタイミングで提案を行うように管理することです。その時期になればCRMから電子メールなどで通知が来るようにするか、ダッシュボードに表示させるなどの設定を行っておくといいでしょう。

売上原価の削減に役立てる

Salesforceによると、「新規顧客の獲得の可能性は5-20%、既存顧客への別製品への販売の可能性は60-70%」と言われています。1) 新規顧客は安さやキャンペーンなどで獲得の可能性を上げることはできても、基本的に信頼や関係性のないところからのスタートのため獲得が難しく、売上原価が上がる傾向にあります。

売上原価が上がっていくと会社経営を圧迫してしまいますので、既存顧客を基軸としたクロスセルやアップセルに注力し、新規顧客へのアプローチにより原価率の上昇を既存顧客で補うようにしましょう。クロージングをかけて勝率の高い顧客から攻めていくことで、限られた時間の中で効率的に売上を上げ、売上原価を下げることができます。

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CRMをよりよいカスタマーサービスに活用する

「消費者の55%はより良い顧客経験にお金を払っている」と言われています。

よりよいカスタマーサービスの提供は、販売前後の付かず離れずの距離感がポイントです。あまりに頻繁なマーケティング促進や、逆に顧客から離れすぎて何のアプローチもしないような状態ではせっかく労力をかけて獲得した顧客を遠ざけてしまいます。

顧客への対応履歴など、全ての接点情報が適切に記録されることによって、一人一人の顧客へ適したカスタマーサービスを提供することができます。よりスムーズな対応により、信用を得られ、あらたなビジネスの促進に役立ちます。

CRM内のデータをチャーンレート改善に役立てる

チャーンレートを5%を改善するとは、利益25-85%を拡大するというデータがあります。2) CRMの導入により、すべての関係を可視化することで、今にも離れていきそうな顧客も可視化することができます。そのような顧客に最適なタイミングであらたな機会を設け、継続してもらうことで顧客保持の改善を行いましょう。また、満足している顧客にはさらに活用し、成功体験を蓄積してもらうようにチーム全体で支援することで、強い関係性を結ぶことができるでしょう。

CRM内のデータから購買目的やニーズなどの深掘りを行う

一元的に収集した顧客の情報から、自社が今後アプローチ対象とすべき業界や企業規模、対象の業務など、既存顧客の購買履歴や商談中顧客の情報から分析することで、あらたなアプローチ先の選定に役立てることができます。

また、それだけでなく、まだ発見されていないインサイトを発見し、あらたな製品開発にも役立てることができるでしょう。よりリアルタイムで収集した情報を分析し、アウトプットできるよう、分析にも優れたツールを選定し、活用していきましょう。

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まとめ

新たなシステムの導入には、大きな労力がかかるものですが、その先に得られるものが大きければ全社的に取り組む意欲が湧くでしょう。

CRMとは単なる顧客管理台帳の代わりとなるソフトウェアではありません。CRM内の顧客データを分析し、そこから得られた顧客インサイトを活用していくことで、収益の向上や、顧客への提供価値を高めることができます。

しかし、CRM内のデータの質が低いが故に、実際にCRMを活用して収益向上に繋げられている企業は少ないという実態があります。なぜ、CRM内のデータの質は下がってしまうのでしょうか?

CRMの顧客データをはじめ、社内のデータが活用できなくなってしまう原因は、データを蓄積→活用していくプロセスの中にあります。

下記の資料で詳しくそのメカニズムと解決策をご紹介していますので、よろしければぜひご活用ください。

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