営業パーソンを適切に評価するためには?メリットや評価基準、注意点を徹底解説

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営業組織を率いる中で、一人ひとりの担当者をどのように評価しているでしょうか?

マネジメント層にとって、営業担当者の評価を適切に行うことは非常に重要な仕事の 1 つです。

どんなに頑張っても評価されない組織では、社員の不満もたまり組織としての成果も出ません。逆にいえば営業担当者に対する評価制度を適切に定めることで、組織は大きなメリットを享受できます。

そこで本記事では、営業担当者の評価制度について、適切な項目を設定することによる組織へのメリットや実際によく使われる評価項目、評価制度を設計するためのポイントを詳しく解説します。

営業職を適切に評価するメリット

営業担当者を適切に評価することによる組織へのメリットについて、

・組織の生産性の向上

・優秀な人材の流出防止

という観点から解説します。

営業の生産性、業績の向上

営業担当者を評価する適切な指標を定めることは、組織全体の生産性や業績の向上につながります。組織として掲げる目標を達成するために必要な中間指標を定め、営業担当者の評価指標としましょう。指標があいまいであったり、業績に結びつかない指標が設定されていると営業担当者は仕事の意義や向かうべき方向性を見失ってしまいます。

評価指標を定める際は、短期的なゴールだけでなく、中長期的なゴールの認識を擦り合わせることが重要です。また、後から振り返りができるように測定可能な指標とすることが望ましいです。実際の目標数値はマネジメント層から一方的に押し付けるのではなく、担当者や部門管理者、または部門を超えて合意形成しながら数値を設定することが生産性の向上と主体的な行動を引き出す鍵です。

このように適切な評価制度を定めれば、営業担当者が目指すべき目標や期待されていることを明確に認識でき、ひいては営業組織全体の生産性、成績の向上に直結します。

優秀な人材の流出防止

適切な評価指標を設定し、待遇に反映する設計ができれば人材の流出防止に役立てることができます。厚生労働省の雇用動向調査(2022) によると、前職を退職した理由としてもっとも多かったのが、「労働条件や給与に関する不満」です。

営業担当者のパフォーマンスを適切に評価し、待遇に反映する仕組みを作れば離職率を低下させることができます。優秀な人材を一人採用するには時間や育成のコストがかかるため、社内の優秀な人材に残ってもらう仕組みを整えることが賢明といえるでしょう。

営業職の評価基準・評価項目の例

営業担当者を評価する際に営業成績だけで評価していないでしょうか。

営業成績は重要な指標ではありますが、営業担当者の行動やスキルを評価する方法もあります。

そこで本章では、営業職を評価するための評価項目について以下の3つに分けて解説します。

・営業成果

・業務プロセス

・定性スキル

営業成果で評価する

会社や営業部門が目標としている営業成果を指標とする方法です。多くの営業部門では、部署ごと、チームごと、個人ごとに、年間・四半期・毎月の営業成果目標が設定されています。ここでは具体的に5つの代表的な指標について解説します。

売上額/利益額

営業指標として最も主要なものは売上額/利益額です。売上と利益のどちらを採用するか、利益をどのように定義するかは会社や事業の性質によって異なります。売上額/利益額を見ていると全体の進捗を追うことはできますが、なぜ実績が上振れているのかや、なぜ売上計画から遅れているのかといった数値の裏に隠れている事象を理解することは困難です。そのため、以降で解説する営業成果指標や業務プロセス指標と合わせて活用することが有効です。

受注率

受注率は「一定期間の受注数/一定期間の商談数」ではかります。受注率が高いことは、効率的な営業活動ができていることを意味するほか、営業担当者の案件のクロージングスキルが高いことを意味します。

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利益率

利益には会計上複数の種類があるため、何を採用するかは会社や事業の性質によって異なります。ただし、利益率の異なる複数の製品を取り扱う営業組織においては、利益率を見ることは非常に重要です。営業担当者が売りやすいという理由で低利益の商品ばかり販売してしまった、ということを防ぐためにも利益率を保てているかを評価する必要があります。

LTV

LTVとは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)の略で、日本語では顧客生涯価値と訳されます。LTVは「N年内に獲得した顧客数×N年内に獲得した顧客の契約金額÷N年内に獲得した顧客のチャーン・レート」で算出されます。この指標は近年多くみられるサブスクリプション型(月額課金型)のビジネスモデルの組織において重要視される指標です。

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解約率

解約率は「一定期間の解約数/期初の契約件数」ではかります。特にサブスクリプション型(月額課金型)のビジネスモデルの組織において解約率を抑制することは重要です。解約理由をつきとめ対処をしなければ、いくら顧客を獲得しても穴の開いたバケツに水を注いでいることと同じです。アフターフォローを必要とする製品を取り扱う場合は、カスタマーサクセスのような専門チームを立ち上げ対処することも必要です。

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業務プロセスで評価する

営業成績だけでなく、架電回数や商談件数などの業務プロセスを成果指標とします。設定する指標は、組織の営業目標を達成するために鍵となる指標にします。個人ごとの業務プロセスを把握することは、リード獲得に強い営業担当者、クロージングに強い営業担当者など個人の強み、弱みの発見にもつながります。

営業担当者に事務的な負荷をかけないためにも、業務の流れの中で必要な数値を取得できるような体制を作ることも大切です。ここでは、具体的に2つの代表的な指標を解説します。

架電回数

新規顧客を獲得する際の、架電件数を行動指標とします。営業プロセスにおける起点となる行動であれば、メールや会話など電話以外のアクションで評価することも有効です。

商談件数、デモ実施件数

電話やメールから、新規の商談やデモの紹介につながった件数を指標とします。

定性スキルを評価する

営業担当者の成果、行動を評価するほかに、スキルや姿勢を評価するというやり方もあります。パフォーマンスの高い営業担当者に共通するスキルや姿勢を導き出し、他の担当者の目標として項目立てて設定できるようにし、身につけてもらうことで組織全体のパフォーマンス向上が期待されます。ここでは具体的に5つの代表的なスキル、姿勢を解説します。

コーチング応用力

コーチング応用力とは、マネージャーからのコーチングを受け入れ、自分に当てはめて応用する力のことです。意見を傾聴する力、身につける力、場面に応じて実践する力を測ることができます。意見を柔軟に取り入れ、改善に結び付けられるかどうかを測るものです。

好奇心

ここでいう好奇心とは、効果的な質問とヒアリングで顧客のニーズをつかみ取る力をさします。顧客の発言の裏にある真意は何なのか、本当に解決したいと思っている課題は何なのか、好奇心を持って顧客に向き合う姿勢を評価するものです。

成功体験

過去に優れた業績や目覚ましい成功を収めたことがある人は、何事にも前向きに取り組む傾向にあります。営業担当者を評価する際に、ささいなことでも構わないので「自分でもできた」という成功体験を評価するというやり方があります。

知性

ここでいう知性とは複雑な概念を素早く理解し、わかりやすく説明できるスキルをさします。製品知識やサービスの利用方法は、顧客よりも営業担当者の方が知識量が多いものです。顧客の疑問に対して、適切な製品知識やナレッジを順序立てて分かりやすく説明する、いわば論理思考ができることとも言い換えられます。

勤労意欲

組織および個人で設定した目標に向けて十分な活動量を保てたかどうかを測ります。個人として十分な活動ができたかを測るほか、他の担当者と協力しチーム全体が目標を達成するために貢献できたか、という観点でも評価できます。

適切な評価制度を設計するためのポイント

適切な評価制度を設計するには、いくつかの重要なポイントがあります。制度設計をはじめる前にこれから解説する3つのポイントをおさえましょう。

営業オペレーションの可視化

まずは売上の増加・拡大に必要な業務プロセスを可視化しましょう。ゴールから逆算して、商談、契約、受注、解約などの段階を設定し、それぞれどれくらい再現性がある活動ができているか把握します。

全体を俯瞰してみると、売上増加・拡大を見据えた時に組織として課題になっている指標や、注力することで大きな変化を起こしうる指標が見えてきます。また、現時点での売上と照らし合わせると、売上拡大のためにはどの指標をどれくらい改善すべきか逆算できます。

初めて取り掛かる場合は、数値を正しく集計するだけでも時間を要するかもしれませんが、組織全体の活動傾向をつかむためにも必要な作業です。各段階における平均値を認識することで、後述の個人の成果の良し悪しの判断にも役立ちます。

営業担当者の成果を可視化

営業オペレーションの全体構造を把握できた後は、個人の担当者の成果を可視化します。一連の営業オペレーションにおいて、それぞれの担当者が貢献している数値を集計し、組織全体の傾向と比較します。比較対象があることで、各担当者の得意分野と苦手分野を認識できるようになります。

全体の傾向と比較して優れた点は積極的に評価しましょう。担当者のモチベーションアップにつながります。一方で改善すべき点はフィードバックを行い、スキルアップの施策をうつことで組織全体の営業力アップにつなげることもできます。

可視化したオペレーションの指標と照らして、営業担当者がどの位置にいるのかをデータとしてリアルタイムに把握できる体制とツールを確率することも重要です。

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理想的な営業担当者の特徴を抽出

最後に営業活動において優れた成績を収める営業担当者の特徴を抽出し、言語化できるようにしましょう。

各個人の営業オペレーションを可視化すると、リード獲得に優れた担当者や受注率の高い担当者などの特徴が出てきます。成果を上げている担当者の行動量やスキル、知識をまとめ、理想の営業担当者の行動量、スキル、知識を言語化します。それこそが、営業担当者として評価されるべき項目です。

それぞれの営業担当者に足りない行動量やスキル、知識を身につけてもらうことで、組織全体の営業力の底上げに寄与します。また、新しい担当者を採用する際にも、どのようなスキルや知識、特徴を持った人が成果を出せているのか、参考にできます。

まとめ

本記事は営業部門を率いる管理職や役職者に向けて、営業担当者をどう評価するべきかを解説しました。

適切な評価制度を導入することは、営業組織全体の生産性、業績の向上につながるだけでなく、優秀な人材の流出を防止することにも役立ちます。

営業担当者を評価をする際には、単なる営業成績だけでなく、営業目標を達成するための行動指標や各担当者がもつスキルや仕事に対する姿勢を評価項目に含めることが重要です。

実際に営業担当者の評価制度設計する際には、優秀な営業担当者を参考にすることが近道です。そのためにもまずは、組織全体の営業オペレーションを可視化し、各個人の成果を把握します。そこから優れた成果を挙げている営業担当者を抽出し、その人物の営業活動量や知識、スキルなどの共通項を見出し、他の営業担当者が目指すべき指標(=評価項目)としましょう。
営業担当者のスキルや経験が蓄積されることは、組織全体の営業パフォーマンスの向上につながります。担当者の育成を通じて営業組織全体の底上げをしたい、何となくの勘と経験に頼った育成ではなく科学的なアプローチによる人材育成を目指したい、そんな場合は「営業組織の育成ハンドブック」も参考にしてみてください。