デジタル化する営業組織に必要な営業力強化の方法とは?


新聞やニュースでは、DX (デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく目にするようになりました。これに伴い、DX 推進を経営目標に掲げる企業も増えています。

しかし、営業を含む DX の推進を経営からミッションとして提示されたものの、「何から手をつけたらよいか分からない」という方もいるのではないでしょうか?

本記事では、データを活用した人材育成によって、営業力強化を実現する方法を解説します。

なぜ営業力強化のためにはデータを活用すべきか?

まずは DX (デジタルトランスフォーメーション)の定義について解説します。

 DX とは、「デジタル技術とデータを活用しながら、サービス、ビジネスモデル、組織、プロセスを変革し、企業の優位性を確立すること」です。

DX への取り組みはメリットが多い一方、取り組みが遅れると多大な損失が発生する可能性があります。経済産業省がまとめた報告書「 DX レポート~ IT システム『2025年の崖』の克服と DX の本格的な展開~」では、「2025年までにシステムを刷新しないと、それ以降に年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性がある」と述べています。このため、 DX への取り組みは、待ったなしの経営課題と言えます。

営業活動においても同様であり、DX への取り組みが先進的な企業はオンライン営業などのチャネル拡大に取り組むなど、営業プロセスの変革に成功して売上アップにつなげています。このため、 DX の取り組みが遅れると、先進的に取り組んでいる企業との間に埋められないほどの大きな壁ができるかもしれません。

営業力強化に欠かせないのは人材育成です。そして、人材育成には、どれだけの戦闘力(ケイパビリティ)が必要なのかを可視化し、定量的かつ定性的に測定することが必要です。なぜなら、定量的かつ定性的に測定できないと、営業チームの目標達成が個人のスキルや経験に依存することになるからです。そして、結果的に、個人スキルや経験に依存したチームは、目標達成の確度が低くなってしまいます。

では、データを活用し、定量的かつ定性的に測定し、人材育成するにはどのように行えば良いでしょうか?以下に、「営業力強化のための5つのステップ」として、取り組むべきステップを紹介します。

営業力強化のためのステップ1営業オペレーションの可視化

ステップ1は、「営業オペレーションの可視化」です。

具体的には、自社の営業プロセスにおいて、以下の観点で見える化することが必要です。

・どのプロセスに、どの程度必要なリソースを投下すればよいのか?

・どのような時間軸で動いているか?

・どの程度の効果があるのか?

そのためには、営業プロセスを標準化することが必要です。

一般的に、顧客ライフサイクルは以下の流れで推移します。

①見込み顧客を見つける

②見込み顧客を顧客に変える

③顧客との関係を深める

④顧客との関係性を維持する

そして、顧客ライフスタイルの中で、上記図のように、各フェーズの月間目標数、フェーズとフェーズの期間や割合を基準値として数値化します。

その後、CRM や SFA を活用しながら各フェーズ毎に実績を登録し、基準値と実績値を比較します。もしギャップが生じた場合、その要因は何かを分析します。分析結果を組織や各営業担当者にフィードバックすることで気づきが生まれ、行動が変わるきっかけとなります。

そのためにも、まずは営業プロセスを標準化し、基準値、及び実績値との比較結果を明確にできる仕組みを整えましょう。

営業力強化のためのステップ2 各営業担当者の成果の可視化

ステップ2は、「各営業担当者の成果の可視化」です。

営業プロセスの可視化、そして、実績値の登録や結果分析を行う仕組みを整えたら、次は、営業プロセスにしたがって、各営業担当者が創出している成果をデータから可視化していきましょう。そして、営業担当者毎にパフォーマンスを比較し、相関が強い要素を発見しましょう。

上記図の例では、「コール数と獲得総額」、「解約率と獲得総額」、「獲得総額と LTV 」、「解約率と LTV 」の相関関係を表しています。そして、これらの相関図を見ると、「LTVには、解約率の差が大きく影響する」、「現状はトップセールスでも解約率が高いため、解約率を低く抑える必要がある」などが見えてきます。その結果、「コール数よりも解約率を低く抑える商談の進め方が重要」ということが分かります。

このように相関関係が強い結果、もしくはトップセールスの特徴を見つけることができたら、次のステップで理想的な営業担当者の特徴を言語化していきましょう。

営業力強化のためのステップ3理想的な営業担当者の特徴の抽出

ステップ3は、「理想的な営業担当者の特徴の抽出」です。

ステップ2でトップセールスの特徴を見つけることができたならば、それを言語化しましょう。定量的・定性的に理想的な営業担当者を定義することで、人材育成のゴールが見えてきます。

以下に、定量的・定性的な特徴の例を示します。

・定量的な特徴

 ・月にコールできる数:200件以上

 ・月に進められる商談数:25件以上

 ・商談受注数:35%

 ・解約率:5%以下

・定性的な特徴

 ・コーチング応用力:マネージャーのコーチングを受け入れ、応用できる

 ・好奇心:効果的な質問とヒアリングで顧客ニーズを理解できる

 ・成功体験:過去に優れた業績や目覚ましい成功を収めた経験がある

 ・知性:複雑な概念を同時に理解し、分かりやすく説明できる

 ・勤労意欲:達成目標に向けて十分な活動量を保てる

これらの条件と比較することで、トップセールスとパフォーマンスの低い営業担当者のスキルギャップが見えてきます。

営業力強化のためのステップ4 スキルレベルの可視化

ステップ4は、「スキルレベルの可視化」です。

このステップでは、理想的な営業担当者の特徴と比較し、営業担当者に求める水準を定めます。

例えば、月間受注数など、求めるスキルをレベル毎に以下のように定義します。

・ Level 1:1〜5件

・ Level 2:6〜10件

・ Level 3:11〜20件

・ Level 4:21〜


このとき、営業担当者に求める水準は、組織の目標値と整合性を合わせる必要があります。

例えば、以下の通りに逆算します。

①事業目標 → 受注金額 = 受注単価 × 受注数

②受注数 → 受注率 × 提案率 × 商談数

③商談数 → 商談化率 × クロージング担当受け渡し率 × リード数

④リード数 → 担当者リーチ率 × 通過率 × 架電・アプローチ数

このように、事業目標から逆算すると、「目標達成のためには、これだけの件数を顧客にアポを取ろう」など の行動目標が明確になります。

営業力強化のためのステップ5採用・育成プロセスの改善

ステップ5は、「育成プロセスの改善」です。

このステップでは、データから見えてきた各営業担当者の弱点を補うためのトレーニングを計画します。

例えば、問い合わせ数に対して商談数が低い場合、問い合わせに対して有効なアプローチができていないという仮説を立てることができます。このため、「問い合わせのあった見込み顧客に対して商談に結びつけるためのロールプレイを行う」など、トレーニングの計画が立てやすくなります。

とはいえ、一律にトレーニングを増やすだけでは効率がよくありません。このため、営業担当者によって差が生まれやすい要素については、「オペレーションの統一」、「ツール・アセットの統一」など、平準化のための仕組みづくりが大切です。

まとめ

本記事では、データを活用した人材育成によって、営業力強化を実現する方法を解説しましたが、いかがでしたか?

強い組織をつくるためには、営業担当者1人1人のスキルに依存するのではなく、組織として理想の営業担当者の姿を具体化・言語化し、そこに至るまでのプロセスを明確にすることが大切です。

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