営業は、会社という組織において、自社のプロダクトやサービスを売り出し、利益をあげるために必要不可欠な存在です。そこで、営業担当者の採用や、営業オペレーショの構築を進めようとしているが、なかなか営業効率が改善されずに悩むスタートアップ経営者や営業担当者の方は多いのではないでしょうか。特に、急速な成長を遂げる特徴のあるSaaSスタートアップでは、フェーズごとに打つべき施策を考えなければなりません。そこで、本記事では、SaaSスタートアップの成長フェーズごとに営業が抱えている課題とそれらを解決するための施策を紹介します。
目次
【フェーズ別】SaaSスタートアップが抱える営業の課題
多くのスタートアップでは、営業責任者が複雑な業務をいくつも兼任していることがあります。しかし、会社の利益獲得のために重要な営業という部門を率いる責任者がタスクに追われて会社や事業の成長にうまく貢献することができないという事態は避けなければいけません。では、成長速度の早いSaaSスタートアップの各フェーズごとで、営業が抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか?
フェーズ1:年間経常収益(ARR)1億円未満
状況
プロダクトやサービスは開発途中の段階です。しかし、最初の営業責任者は採用しており、更に営業担当の社員を4人程度、主にアウトバウンドセールスを担当するインサイドセールス担当社員を2人程度雇っていることが一般的です。このフェーズの営業チームは、今後の事業成長の予測が難しい段階ではあるものの、さらなる成長に向けた生産性向上に注力する傾向にあります。
このフェーズで営業責任者が担っている業務
- セールスプロセスの構築
- メンバーの能力向上のためのトレーニング
- オンボーディング
- 案件獲得
- 会社全体の事業計画デザイン
- 予算・事業計画
- 案件獲得
セールスが抱えている課題
セールス責任者が複数の業務に携わっているため、セールス責任者が予算・事業計画策定に注力できず、その人に頼るマーケティング とは困難になっています。また、営業データ分析とその共有が徹底されていないため、セールスチームをはじめとして社内の人が成約率・セールスベロシティなどのビジネス全体の動きを理解できない状況になっています。
フェーズ2:年間経常収益(ARR)1億円から10億円
状況
プロダクトやサービスにタウする需要が市場に存在することある程度検証できており、顧客が増え始める成長のステージです。
このフェーズで営業責任者が担っている業務
- 営業プロセスの改善
- チーム内の他のメンバーが提案作成するための支援
- 競合との差別化計画策定
- 予算・事業計画策定
- 案件獲得
セールスが抱えている課題
新しく入った営業担当者がまだ生産的な業務ができていない場合があります。チーム内の生産性が低いため、成約率も低くなってしまいます。このようなもう今日に対して、営業責任者などは、彼らの育成やフォローに時間を取られてしまいます。これらが合わさって、全体的な営業の生産性も下がってしまいます。
フェーズ3:年間経常収益(ARR)が10億円以上
状況
経営が軌道に乗り、収益が伸びていくことで大きく成長するフェーズです。大きなVCからの投資を受け、投資ラウンドで言うと、シリーズBに当たります。
このフェーズで営業責任者が担っている業務
このフェーズでは、営業担当者は主にGTMと呼ばれる役割を担います。具体的には、どのように自社サービスや製品を顧客に発信して、営業活動に繋げていけばいいかを考えます。
セールスチーム全体が抱えている課題
まず、営業担当者は多くの企業に対して広く浅いアプローチを繰り返しており、リソースが無駄になっているとことが課題として挙げられます。また、このような手当たり次第の営業のアプローチはパイプライン分析を困難にしてしまいます。質の低いアプローチを繰り返してしまっているため、結果として、不当な割引を要求される会社と取引を開始してしまうなど、案件の質も下がってしまいます。
打つべき3つの施策
打つべき施策は大きく3つあります。
- 技術的なオペレーション構築
- 営業効率の管理
- 営業オペレーション全体の管理
では、もっと具体的に各フェーズで何を行なっていけばいいのかを解説します。
フェーズ1
技術的なオペレーション構築
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- CRMの活用
- 営業データの報告と分析
- 各営業担当者に払っている金額に対して彼らのパフォーマンスがどうか
- 成長戦略策定のためのインプット
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フェーズ2
技術的なオペレーション構築
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- 営業データの報告と分析によるインサイトの抽出
- 各営業担当者に払っている金額に対して彼らのパフォーマンスがどうかの確認
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営業効率管理
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- 各プロジェクトマネジメントの徹底
- トレーニングシステムを設計する
- トレーニングと認証の付与
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フェーズ3
営業効率管理
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- 営業データの報告と分析によるインサイトの抽出
- 営業担当者に払っている金額に対する彼らのパフォーマンスがどうなっているかの確認
- セールスのオンボーディング
- トレーニングシステムの確立
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営業オペレーション全体の管理
- 事業成長計画を含むセールスオペレーション計画策定
- 案件獲得のための指導
- 顧客領域の確定
- 競合との差別化戦略策定
- 予算・事業計画策定
まとめ
それぞれのフェーズで営業責任者が担う業務は多く、煩雑化しています。そのため、上記で紹介したような「打つべき施策」を実行する人を新たに雇うということの手段の1つとして考えられます。たとえば、フェーズ2で打つべき施策の実行には、セールスに関する深い知見と経験が求めらるということからも、これらの施策に対する専門性を備えた人材を雇う必要性は見て取れます。
米国では、BtoBスタートアップを中心にこれらを担うSales Opsという営業から独立した組織の導入が進んでいます。Sales Opsが注目された背景や役割などをこちらの記事で解説していますので、併せてご覧ください。